01 池上彰と考える『SDGs入門』 SDGs、それは世界に広がるビジネスチャンス

01 池上彰と考える『SDGs入門』 SDGs、それは世界に広がるビジネスチャンス

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Q3 なぜ、JICAと連携してビジネスを開く企業が増えているの?

JICAというと、ODA(政府開発援助)や青年海外協力隊という印象の強い方も少なくないでしょう。でもJICAの仕事は変わってきているようです。

「2008年にJICAは国際協力銀行の海外経済協力部門と統合し、新しい独立行政法人JICAとして発足しました。以来この約10年の間、途上国における開発ニーズの莫大な増加、日本政府による企業の海外展開を支援する様々な施策を踏まえ、より自由な発想と多様な枠組みで民間企業などと取り組みを進めています」と小西さんは話します。

そのJICAは、「3本の柱」を中心にSDGsに取り組むことを表明しています。

この3本の柱を打ち出すにあたっては、JICAの内部でも組織横断的な議論があったと小田さんはいいます。

「SDGsは『誰一人取り残さない』という理念のもとに17のゴールなどを掲げていますが、これは、JICAが掲げるミッションである『人間の安全保障』、『質の高い成長』と合致しています。そこでJICAは、SDGsゴールの達成に向け、途上国開発の基盤となり、日本自身の開発の経験や、JICAの長年の国際協力で蓄積された知見が活用できる教育、保健といった課題を入口とし、取り組みを拡げるアプローチを考えました」

すららネットのeラーニングシステムを使い、学習塾で勉強する小学生(スリランカ)。
SDGsのゴール4「質の高い教育」を推進する取り組みとして注目される(写真提供:すららネット)

JICAと企業、企業と企業のパートナーシップ、オープンイノベーションを推進

さらに小田さんは、SDGsへの取り組みには民間企業との連携が欠かせないと強調します。

「JICAはSDGsの採択以降、より一層企業との協働、パートナーシップを推進しています。SDGsの内容は野心的で広範囲なので、各国政府や援助機関のみで達成することは困難だからです。企業の自由な発想と技術、ノウハウを活用して新たな手法・アプローチを生み出し、課題を一足飛びに解決する、イノベーションの創出への取り組みもその1つです。JICAはこのような取り組みを通じ、JICAと企業とのパートナーシップだけでなく、企業間のパートナーシップ、オープンイノベーションの中継点、あるいは触媒としての役割も果たしていきたいと考えています。同時に、企業の皆様が途上国のSDGsに取り組むことでビジネスを成長させ、途上国社会の発展とビジネスの両者を持続可能にする、その取り組みを後押ししていきたいと考えています」

なるほど。SDGsは169のターゲットからなる広範囲の目標なので、企業がすでに取り組んでいる事業が17のゴールのいずれかに関わっていることも多いはず。自社の強みを生かし、世界でビジネスを展開するうえで、JICAは強力なパートナーになってくれそうです。

JICAでは、企業との連携事業を円滑に進めるため、下の図のような連携メニューを用意しています。中小企業・SDGsビジネス支援事業は年2回、春と秋に企画書の募集を行っています。海外投融資や協力準備調査(PPPインフラ事業)は、随時企業の方からの内談に応じています。

JICAが用意している民間連携事業の支援メニュー。中堅・中小企業向け、大企業向けという企業規模に応じ、
それぞれ「情報収集」「ビジネスモデル策定」「ビジネス計画の実証」「具体的なビジネス」という
事業フェーズに合った枠組みを用意している

自社の事業内容、強みなどを考えながら、これらの連携メニューで活用できそうなものを選び、JICAと相談しながら検討していけば、皆さんのビジネスを世界に広げる大きな後押しになるでしょう。SDGsは、持続可能でグローバルなビジネス展開を目指す企業のキーワードなのです。

さあ、あなたの会社でも、今日からSDGsへの取り組みを始めませんか。