「はまっ子どうし」を飲もう

注)本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、JICAの公式見解を反映しているものではありません。

vol.186 1 April 2008
JICA国際協力専門員 杉下恒夫

あなたは「はまっ子どうし」というミネラルウォーターを知っていますか? と、力んで聞いてみても、横浜市民以外では知っている人は少ないと思う。「はまっ子どうし」は、横浜市の水道局が、県内の名水として知られる道志の森の清流水をボトルして、売り出しているミネラルウォーターだ。

もっとも、それだけなら最近、各地で見られる地元の名水を活用した天然水と変わらないが、今の「はまっ子どうし」は、ほかの地元名産ミネラルウォーターとはひと味違う。それは、5月末に横浜市で開かれる「第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)」のオフィシャル・ドリンクであるということだ。

「TICAD IV」特別バージョンともいうべき「はまっ子どうし」は、横浜市水道局が「TICAD IV」の開催を記念して売り出したもので、3月20日から6月30日までの約3か月、期間限定販売されている。「TICAD IV」をサポートしているJICAの横浜国際センターもこの企画に協力、子どもと一緒に井戸水を汲むアフリカのお母さんの写真など、JICAから提供されたアフリカの写真が特別ラベルとしてボトルに貼られ、なかなか個性的な飲み物になっている。市水道局では販売期間中、50万から60万本の売り上げを目指しているという。

このアフリカの子どもたちの写真を貼ったボトルは、TICAD関連の会議の席で机上に並べられ、また、TICAD IV主催者が開催するパーティーなどでの飲料水として使われる予定だが、この天然水にはもう一つの役目がある。それは、売上金から、1本につき1円が世界食糧計画(WFP)と、JICAに均等に分割寄付され、WFPの「学校給食プログラム」などアフリカの子どもの栄養、教育問題の解決へ向けてのプロジェクトや、JICAの「世界の人々のためのJICA基金」に使われることだ。

味覚音痴の私には、世界中のどこの名水も、味にあまり差を感じない。だが、そんな私でも「はまっ子どうし」は、アフリカの諸問題の解決にわずかでも寄与すると思って飲むと、おいしく感じるから不思議だ。ラベルの井戸水を汲むお母さんや、笑顔いっぱいの子供たちの顔を見ながらゴクリと飲めば、のどの渇きだけでなく、心の渇きも癒してくれるやさしい水である。

本欄をお読みになって「はまっ子どうし」を一飲して見ようという気になった方は、直販(24本、6本をケースごとに配達)している横浜市水道局サービス推進課(045‐671‐3084)か、JICA横浜センター(045‐663-3251)までお問い合わせください。

付記すると、JICA横浜国際センターが行っている「TICAD IV」支援は、「はまっ子どうし」特別バージョンへの協賛だけでない。3月29日には緒方JICA理事長の講演と、中田横浜市長や国連開発計画(UNDP)親善大使の女優、紺野美沙子さんらがパネリストとして参加したシンポジウムを開催したほか、板垣真理子さんの写真展「AFRICAN BEAUTY」(4月16日〜5月11日、JICA横浜ギャラリー)、南アフリカを中心とした南部アフリカ地域を紹介するイベント(4月4日〜13日、赤レンガ倉庫)など盛りだくさんの「TICAD IV」支援企画が用意されている。

過去3回の「TICAD」を取材した経験を持つ私は毎回、広報活動の不足などに不満を持っていたが、今回、外務省、横浜市、JICAなどによる「TICAD IV」の事前広報は、これまでの「TICAD」とは比べ物にならないほど充実しているといって良いだろう。すでに3月末には、過去最多の43か国のアフリカの主脳級が参加を表明しており、「TICAD IV」は、日本とアフリカ諸国間の会議を超える世界が注視する国際会議になるだろう。会議をさらに成功させるためには、国民みんながホストとなって会議を支える態勢を強化することが必要だ。1本のミネラルウォーターもその役割を担っている。