水産

JICAの取り組み

JICAの基本方針

世界的に過剰漁獲の傾向が顕著になり、多くの沿岸住民の生計活動の根幹を脅かしかねない状況になっており、水産資源を適切な管理下におくことは最優先事項です。しかし、水産資源の管理を強化しながら、増加する水産物需要に対応するには、養殖振興に注力して水産物の安定的供給を確保する必要があります。水産分野の食料安全保障への貢献を考えるうえでは、資源管理と養殖生産への取り組みは車の両輪の位置づけにあるといえます。

一方で、「水産業を通じた持続的な成長と貧困撲滅」には、水産資源の現状を踏まえ、「より多くの魚を獲ることなく水産資源のもたらす経済的便益を最大化する」という視点が重要です。伝統的に水産資源をさまざまな形で活用してきたわが国の強みを生かし、生産から消費までを包括したバリューチェーン開発に特に力を入れています。

以上を踏まえ、JICAは以下の3分野に重点を置いて取り組んでいます。

1. 水産資源の管理と生態系の保全

行政と漁民による共同水産資源管理の推進

人材および財政面において多くの制約を抱える途上国の水産行政機関にとっては、漁民の主体的な管理努力を促す共同管理は効果的に成果を発現し得る現実的なアプローチです。共同管理の推進においては、管理方策の実施支援だけでなく、代替生計活動などの支援方策も適切に組み合わせ、管理努力の持続性にも配慮した技術協力に取り組みます。

重要生態系の保全

サンゴ礁、藻場、干潟といった沿岸生態系は、Criticalhabitatsと呼ばれ、水産資源の再生産と成長の基盤を成し、その保全は水産業存続の前提条件といえます。

2. 水産養殖振興

内水面養殖の普及

途上国における養殖生産は内水面(淡水魚)養殖が主流であることから、内水面養殖を重点的な支援分野とします。普及方法は、農民間普及アプローチ(farmer tofarmer extension)などを活用し、行政の支援に過度に依存しない持続性・自立性の高い養殖振興を図ります。

持続的養殖システムの開発

養殖により増大する水産物需要をまかなうためには、餌・飼料や種苗を天然魚に依存せず、環境も汚さず、病気も蔓延させない生産システムが必要です。大学や試験研究機関と連携し、日本の先進技術・知見の途上国への応用を推進します。

3. 水産バリューチェーン構築

水産物は、開発途上国において対先進国向けの重要な輸出産品ですが、同時に安価な水産加工品も国内・域内で広く流通しています。市場が求める水産物のニーズに合致した生産を行うことができれば、現地の経済成長と雇用・所得の増加に大きく貢献できます。