水産

【水産】

課題の現状

魚は途上国の多くの人たちにとって安価に入手できる動物タンパクであり、カルシウムやビタミンなどの栄養素も豊富です。また、水産業は漁業・養殖に加え、加工、流通等も含めると多数の雇用機会を提供しています。農地や技能を持たない貧困層でも就業可能な漁業形態があり、また、産業の乏しい島嶼や辺境な海岸地域でも開発できる可能性があるため、貧困削減や格差是正への貢献も大きいといえます。さらに、水産物は重要な外貨獲得源でもあり、その輸出総額はコーヒーやゴムなどの主要農産物品を大きく上回っています。

他方で、水産資源の約9割が生物学的再生産可能レベルの上限もしくはそれ以上の利用にあると考えられており、1990年代から世界の漁獲量はほとんど増えていません。人口増加と健康志向により増加している水産物需要を満たすために、水産養殖の生産量が急増していますが、養殖種苗と餌飼料を天然魚に依存し、養殖場の造成等により沿岸生態系に影響を及ぼすなど、その持続性には多くの課題があります。

こういった状況の改善を目指して、「海洋と海洋資源の保全と持続可能な利用」が、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール14として掲げられています。

JICAの方針

水産資源を持続的に利用し、その経済的便益を増大させるために、「水産資源の管理」「限られた水産資源の有効利用」「水産養殖の持続性の向上」に取り組んでいます。

水産資源の管理では、沿岸の零細漁業者の生計向上と漁業管理を両立させる「漁民と行政の共同管理(コマネジメント)」、「水産資源の産卵・成長に重要な干潟/湿地・藻場・サンゴ礁等の沿岸生態系の保全」「地域重要魚種や高度回遊性魚類(カツオ・マグロ類)の水産資源の評価」「違法・無報告・無規制(IUU)漁業対策」を支援します。

水産資源の有効利用では、品質劣化等による漁獲後の損失(ポストハーベストロス)を削減する水揚場及びコールドチェーンの整備や、限られた漁獲量から収益(付加価値)を確保する漁獲物の鮮度保持及び水産加工を支援します。

水産養殖では、農村の生計を向上させ、持続性にも優れた小規模内水面養殖普及を実施しています。また、天然種苗に依存しない人工種苗生産や魚病に強く抗生物質の投与を減らせる品種改良等の研究も支援しています。

課題別指針

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

1982年に採択された国連海洋法条約により、開発途上国も自国の排他的経済水域(Exclusive Economic Zone, EEZ)の水産資源の開発の権利と適切な保存管理措置の義務を有することとなったことを受け、資源調査、漁業監視、水産教育等新たな支援ニーズに対応した協力が実施されることとなりました。

海洋環境の保全と資源の持続的利用に対する漁業の責任とその履行のための方策を示すべく、1995年に「責任ある漁業のための行動規範(Code of Conduct for Responsible Fisheries)」がFAO総会で採択されました。法的拘束力を持たない規範ですが、多くの国が同規範を水産政策の理論的支柱としており、また、現在もFAOの水産委員会で進捗状況がモニタリングされ、必要に応じて追加的な技術的指針が作成されてます。

持続可能な開発における水産の貢献という点では、2014年のFAO水産委員会(COFI)で取り上げられたBlue Growth Initiative(BGI)と零細漁業振興のためのガイドラインが重要です。BGIは海面及び内水面の生物資源の経済的、社会的、環境的に持続的な利用と保全を推進し、成長と保全、産業・商業指向と零細・自給指向をバランスさせ、地域社会の公正な発展を目指しています。また、零細漁業振興ガイドラインは上記行動規範を補完する文書として作成され、責任ある漁業における零細漁業の重要性を示しています。

2017年6月に開催された国連海洋会議でブルーエコノミーの推進が議論され、海面と内水面を対象とした持続可能な経済活動が途上国でも注目されています。海運、港湾、鉱物資源、観光、海洋安全保障等の関連する活動を広く対象としており、水産もその重要な要素に位置付けられています。

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