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JICAの取り組み

JICAの基本方針

1. 法・司法制度整備

JICAは1996年以降、市場経済化に向けた法制度の構築・改善が必要とされている国や紛争終結国の法・司法制度の再構築・人材育成に対する支援を、日本の法曹関係者の協力を得ながら「Peer to Peer(同業者協力)」のアプローチにより実施しています。

2014年度は、中国とラオスで新たなプロジェクトを開始し、基本法の整備や体系的で一貫した法令の起草、運用のための支援と、ビジネス環境整備に直結する法整備支援に注力しました。ベトナムでは、日越共同イニシアティブ等との一層の連携を図りながら、2015年度からの次期協力のための調査などを実施しました。インドネシアでも知的財産法を含むビジネス関連法令の起草・審査における整合性の向上と、知的財産保護体制の強化を目指すプロジェクト実施のための調査を行いました。

このほか、ミャンマー、カンボジア、ネパール、モンゴルなどに対しても、法令整備、運用能力強化や調停制度普及、裁判実務改善等の支援を継続しています。

アフリカに対しても、TICAD Vのイニシアティブや持続可能な開発目標(SDGs)の設定に向けた議論も踏まえ、2014年12月からコートジボワール司法省に司法アドバイザーを新たに派遣し、司法アクセスの改善や刑事司法分野の人材育成支援に取り組んでいます。

2. 民主的制度の整備

JICAは、公正な選挙の実施に向けた選挙管理委員会の能力向上、議会の機能強化、権力の監視機能となるメディアの能力強化など、開発途上国における民主的統治の基盤強化の支援に取り組んでいます。

また、カンボジア政府からの選挙改革に向けた支援要請を受け、支援実施可能性の調査と改善に向けた各種提言を行いました。2015年に議会選挙を予定しているエジプトでは、選挙管理・運営能力の向上のため、高等選挙委員会の委員を対象に本邦研修を実施しました。

ミャンマーやコソボでは、2015年度から開始予定のメディアに関する支援に向けた準備を行いました。

このほか、ベトナムの国会事務局に対する支援を本格的に推進するとともに、ミャンマー下院関係者を日本に受け入れ、日本の知見を提供するなどの協力を実施しました。ウクライナにおいても、日本の民主主義の発展における経験・実績、取り組み、課題を共有するとともに、自助努力を支援するための調査を実施しています。

3. 公共安全分野

JICAは、警察組織の民主化、市民との信頼関係を基盤として犯罪予防・抑止を推進する交番/地域警察活動、鑑識に代表される犯罪捜査技術など、開発途上国の治安向上のための支援を、警察庁と都道府県警察の協力を得ながら実施しています。

2014年度には、ブラジルで交番/地域警察活動を全国普及するためのプロジェクトを開始。インドネシア、東ティモール、ホンジュラスでも、市民警察・地域警察の推進に向けた体制整備や人材育成の支援を継続しています。シンガポールで実施してきた第三国研修「コミュニティー・ポリシング戦略」コースは、20年目を迎えました。

このほか、鑑識技術(フィリピン)、警察幹部向けの日本警察の概要や人材育成の紹介(コンゴ民主共和国)等の研修や、国連警察と連携した警察官の基礎能力向上のための現地研修(コートジボワール)、警察官に対する柔道訓練(アフガニスタン、於:トルコ)等を実施しました。

複数国対象の本邦研修では、国際捜査や薬物犯罪取締りに加え、サイバー犯罪分野の研修を新たに開始しました。

また、チュニジアとモロッコに対して、テロ対策機能強化のための無償資金協力(機材供与)の協力準備調査を実施しました。

4. 行政・公共財政・金融

行政・公共財政・金融は、一国の政策形成と実施、経済運営の基礎にあたります。支援にあたっては、当該国の政治経済的な背景に十分注意を払い、短期的な成果を求めるのではなく、中長期的な視点で改革プロセスを俯瞰することが求められます。

JICAは以下のような協力を行っています。

(1)行政

公共セクターのサービス改善(バングラデシュ、ガーナ)、住民に裨益する公共サービス事業の提供を目指す地方自治体の計画策定能力の強化(ブータン、タンザニア、ホンジュラスなど8カ国)に取り組んできました。カンボジアでは、人口・経済センサスなど統計調査の実施に必要な技術や知識を移転し、統計局および州計画局職員の能力強化を図っています。またバングラデシュでは、公務員向けの研修コースに総合品質管理(Total Quality Management:TQM)を導入し、日常の気づきを業務改善につなげることで、公共サービスの質を向上させる取り組みを行っています。2014年12月、「カイゼン国際大会」が首都ダッカで開催され、研修受講者のなかから業務改善に大きな成果を上げた代表者による発表が行われ、人事省担当大臣から表彰されました。

汚職対策では、バングラデシュ政府内部の清廉性向上に向けた体制構築の支援や、ウクライナ向け民主化支援の一環として汚職対策セミナーを開催しました。

(2)公共財政管理

公共財政管理(Public Finance Management:PFM)は、公共セクターの資金の流れに関係するあらゆる項目、例えば予算計画、予算編成、歳入計画、国庫管理、会計・調達、内部統制・監査、財務報告、外部監査等、中央・地方政府の運営など国民生活維持の根本を支える分野であり、開発計画から公共セクターのマネジメントのあり方まで、広く関係する重要な開発課題です。

2014年度には、英国のロンドン大学政治経済学院、シンクタンクであるODI(Overseas Development Institute)、英国勅許公共財務会計協会本部、米国では国連、国際通貨基金、世界銀行、ハーバード大学などの機関でJICAのPFM分野における支援の取り組みを紹介し、意見交換を行いました。現地事情に配慮し、相手国のキャパシティ・ビルディングを重視したJICAの公共財政管理への取り組みについて、関係機関から高い関心が寄せられました。専門家養成研修などを通して、公共財政管理分野の知識の普及とJICA事業に携わる人材育成も積極的に行っています。また、業績予算の導入(インドネシア)、公共投資管理(ラオス、バングラデシュ、マラウイ)、内部監査(モンゴル、タンザニア)、官民連携(PPP)(モンゴル)など幅広い支援を実施しています。

一国の歳入行政に大きな役割を持つ税務や税関分野に対する支援にも継続的に取り組んでいます。貿易円滑化推進を目的として2014年4月にベトナムの通関システム導入を実現し、通関業務の大幅な効率化が図られました。同様の支援をミャンマーでも開始しています。アフリカ地域では、引き続き東部・西部・南部の各地域で国境通過を円滑にするためのワン・ストップ・ボーダー・ポストの取り組みを進めています。

(3)金融

金融分野は民間セクター開発を支える重要なソフトインフラです。近年、協力へのニーズが高まっており、JICAの支援も増えています。ベトナムでは日本の経験も活用し、経済分野の最重要課題である国営企業改革と銀行の不良債権処理問題に取り組んでいます。ミャンマーでは、中央銀行を対象に資金・決済システムの近代化に向けた支援のほか、インターバンク市場育成や証券取引市場の整備に関する支援など金融近代化の黎明期を支えています。モンゴルにおいても資本市場整備に向けた協力を行っています。