ガバナンス

JICAの事例紹介

ミャンマー 法整備支援プロジェクト

法・司法関係機関の能力強化を支援

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ミャンマー最高裁判所による新任判事研修で、JICA長期専門家が刑事法分野の講義を実施

2015年のASEAN統合に向けて法整備が急がれるミャンマー。JICAは、同国の法・司法機関が、時代に適した法整備、運用を行うための組織的・人的能力向上を支援しています。

経済法等の整備が急務

2011年3月の民政移管以降、ミャンマー政府はさまざまな改革を精力的に進めています。法・司法セクター改革による法の支配の確立は、これら改革を進めるうえで不可欠な要素です。特に、2015年のASEAN経済共同体の設立に向けて、市場経済化の促進や投資環境整備のための法・司法制度の整備が喫緊の課題となっています。

この協力では、ミャンマーが直面する経済法等の起草・改正の課題に対応する活動を行いながら、法務長官府の法案審査能力、最高裁判所における法案起草能力の向上を図ります。また、より中長期的な観点から、両機関に所属する検察官や裁判官等の人材育成の基盤整備、法令相互の整合性・体系性、立法の優先順位などの検討を支援します。

首都ネピドーには3名の日本人専門家が常駐しており、両機関の職員と日々、議論しながら活動を進めています。

日本で得た知見を基に

2015年下期予定の総選挙に向けて、多数の法律の新規立法・改正が進められていますが、その進捗状況は芳しくありません。そこで2015年3月、日本や他国の立法過程を紹介し、日本の専門家との意見交換を通じてミャンマーに最も適する立法過程を検討するため、本邦研修を実施しました。他の関係機関からも研修員を招いたことで、政府提出法案の審査過程にとどまらず、立法過程全体についての議論ができたのは大きな収穫でした。

法務長官府の研修参加者は帰国後に早速、報告会を開催。立法過程の効率化に向けて、各省庁での起草過程への専門家の関与やパブリックコメントの活用などを提言しました。立法過程における改革が少しずつ始まろうとしています。

南スーダン TV・ラジオ組織能力強化プロジェクト

紛争国における国民のための公共放送局化支援

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南スーダンTV・ラジオ局の取材の模様

JICAは、国営南スーダンTV・ラジオ局が公共放送局へ移行し、政府から独立した正確・中立・公正な情報を国民に提供するための支援を2012年度から続けています。

国内紛争中は周辺国で研修

2013年12月に勃発した武力紛争により、2014年度は専門家が入国できない状況が続きましたが、JICAはケニアやウガンダなどの周辺国で研修を実施、プロジェクトを継続しました。

研修では、公共放送局化に向けた課題と対応について議論し、公共放送局化に向けたロードマップ案を作成したほか、「農業」や「民族融和」等、南スーダンの公共的な利益に沿ったテーマを研修員が自ら抽出して、番組提案の仕方から構成表の書き方、ロケーション撮影、編集等の一連の作業を学びました。研修で制作された番組も実際に放送されました。

また研修では、報道能力の強化のため、政府発表ではなく、情報源に対する取材に基づいたニュース企画の提案や番組制作の手法を学び、ニュース報道の質の向上を目指しました。

カンボジア 法制度整備プロジェクト フェーズ3

公布から4年を経て、新民法が施行

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新民法施行の記念式典

カンボジアでは、1970年代のポル・ポト政権下で法令がすべて廃止され、旧民法も失効して以降、体系的に定めた社会生活関係の基本法が存在せず、相続や一部の契約などの重要な制度の拠り所となる法令が存在しない状態となっていました。JICAは、1999年から法整備支援を開始し、民法と民事訴訟法の起草、立法化支援、関連法令の起草支援を行ってきました。

起草支援では、カンボジア側の起草チームと日本側作業部会のメンバーと専門家が討議を繰り返しながら、カンボジアの旧民法・現行法令や慣習、日本民法のほか、フランスやドイツの民法なども参考にして、共同作業により一条ごとに草案を検討し、これまでクメール語になかった新しい概念や制度を表現するため、法律用語の確定などの作業も行いました。

民事訴訟法は公布から1 年を経て2007年に適用開始となりました。しかし、1,305条から成る民法は、2007年に公布されたものの、さまざまな関連法令との調整や付随する制度の整備などが必要とされたため、別に民法適用法を策定して適用開始日を決定することとなりました。その間、JICAは、民法適用法、登記その他の関連法令の起草も支援し、公布から4年を経た2011年12月21日に民法の適用が開始されました。

今後、新しいカンボジア民法と民事訴訟法がより適切に運用され、人々の安定した生活が保障されるよう、JICAは、司法省職員、法律実務家、大学教員などに対する新法定着・普及のための継続的な支援を行っていきます。

カンボジア 政府統計能力向上プロジェクト フェーズ3

カンボジア初の企業の「国勢調査」を支援

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事業所で調査を行う調査員

カンボジアでは内戦の影響などにより統計の整備が遅れていましたが、2011年3月にカンボジア史上初となる経済センサスが実施されました。JICAは技術協力と資金協力を組み合わせ、信頼性の高い統計のための支援を行いました。

経済センサスとは企業・事業所の国勢調査のことで、カンボジア全国の企業・事業所を対象に、事業所の所在地、従業員数、売り上げ、資産などの調査が行われました。

プロジェクトでは、日本人専門家を派遣して、中央省庁が実施する州指導員や調査員などに対する各種研修を実施したほか、見返り資金を活用して4,000人の調査員を動員するなど、技術協力と資金協力を組み合わせての支援を行いました。この結果、カンボジア全国の事業所の実態が初めて明らかとなり、信頼性の高い統計が作成されました。

カンボジア各省庁からも今回の経済センサスに対する期待は高く、商務省からは「商標登録に関するデータの収集に問題を抱えているため、経済センサス結果を活用したい」、カンボジア国立銀行からは「国民所得やGDPを把握するうえで極めて重要な調査である」といった評価と反響がありました。

2011年経済センサス結果は、中央や地方政府の各種政策や計画の立案に利用されるほか、大学や研究所での学術研究、民間部門での経営戦略や市場調査などに利用される予定です。