貧困削減

JICAの事例紹介

コンポーネント型のマイクロファイナンス案件調査

より有効にマイクロファイナンスを技術協力に取り入れるために

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住民組織によるマイクロファイナンス活動で用いた帳簿(ガーナ)

JICAのマイクロファイナンス関連案件で、件数として最も大きな割合を占めるのが、技術協力案件の活動のなかでマイクロファイナンスを組み入れたケース(コンポーネント型のマイクロファイナンス)です。このンポーネント型のマイクロファイナンスの効果を高めるための現地調査を行いました。

コンポーネント型のマイクロファイナンスとは

JICAは、金融アクセスの改善を通じた貧困削減に貢献するため、技術協力や資金協力などを通じてマイクロファイナンスに取り組んでいます。その一つに、コンポーネント型のマイクロファイナンスを実施した技術協力案件があります。

多くのケースでは、農村・都市スラムなどでの生計向上事業や農業生産事業において、プロジェクトの目的を実現する手段の一つとして、住民参加によるリボルビングファンドが採用されてきました。これは、プロジェクトからの収入の一部や住民の拠出・貯蓄を原資として、住民組合内で貸し出し・回収を行うものです。

これらの活動は伝統的な地域共同体にしばしば見られる「助け合い活動」の一環であり、生計の安定や所得向上のために、最貧層を含む貧困層が金融サービスを利用する重要な第一歩として考えられています。

このようなマイクロファイナンス導入の手法は途上国政府やドナーにより行われてきましたが、具体的な成果を出している例は限定的で、持続性や返済率の低さが指摘されてきました。他方、近年の国際開発の潮流において、マイクロファイナンスや公式な金融へのアクセスの重要性が再認識されつつあるなか、技術協力案件におけるマイクロファイナンスの効果的な活用に対するニーズは高まりつつあります。

教訓を抽出

これを受けて、コンポーネント型のマイクロファイナンスの現状と効果、課題を整理し、今後より有効にマイクロファイナンス活動を取り入れるための方策に関する案件調査を実施しました。調査は、アジアやアフリカでの7つの技術協力案件を対象とし、農業開発、環境保全、復興・コミュニティ開発案件が含まれています。

調査の結果、貸し付けを受けることで、事業投資を行い収入源が多様化・拡大したり、貯蓄をした場合には、不安定な収入や急な出費にも対応できるようになるなどの効果が確認されました。マイクロファイナンス活動が、技術協力案件の目的である、農民の生計向上や森林保全の促進、コニュニティ再建の達成を後押ししたことが認められました。

一方で、持続性や金融としての管理体制の観点での課題も明らかになりました。そして、既存のマイクロファイナンス機関との連携の必要性、融資に先立ち貯蓄を行うことの重要性等の教訓が抽出されました。これらの教訓を生かし、より有効なコンポーネント型のマイクロファイナンスを実施していきます。

CGAPマイクロファイナンス公開セミナー

世界では労働年齢にある成人のうち、約25億の人々が公式な金融サービスを利用することが出来ず、持続的な経済成長と貧困削減の足枷になっているといわれています。

貧困層などの金融アクセスを確保し、自立を支援する手段としてのマイクロファイナンス(MF)が、APEC、G20等の国際場裏で、金融包摂(Financial Inclusion)として改めて注目を浴びています。MFは、近年、急速に拡大・進化を見せており、市場原理に基づく社会ビジネスとしての可能性にも大きな期待が寄せられています。

2013年3月8日、金融包摂に関する研究・政策提言のための国際機関であるCGAPを代表する二人、Tilman Ehrbeck氏(最高経営責任者(CEO))、Vijay Mahajan氏(CGAP経営委員会・会長、インド大手MF機関BASIX創設者)を招聘し、財務省・JICA共催(外務省後援)のもと、CGAPマイクロファイナンス公開セミナーが開催されました。

セミナーでは、日々進化するMFの現状と貧困削減への可能性、取り巻く課題と解決に向けたCGAPの先駆的な取り組みについて、途上国の現状を踏まえた紹介が行われ、辻JICA客員専門員(埼玉大学国際開発教育研究センター長・教授)より、CGAPと日本・JICAとの関係について共有が行われました。当日は100名を超える参加者のもと、金融包摂に関して活発な議論が行われ、多くのメディアからの参加もあり、MFに関する関心の高さが伺えました。

マイクロファイナンス公開セミナー・プレゼン資料

マイクロファイナンス公開セミナー

マイクロファイナンスを活用した貧困削減への取り組み

途上国では約27億人の貧困層が公式な金融サービスから疎外され、持続的な経済成長の足枷となっているといわれています。適切な金融サービスを受ける権利は基本的人権のひとつ、という認識が広く共有されているなかで、貧困削減のツールとしてマイクロファイナンス(MF)への注目が高まっています。

こうした状況のなか、JICAではこれまでに調査研究を実施しMFへの取り組み方針案を策定してきました。また、2011年1月13日には東京(場所:JICA研究所国際会議場)で公開セミナーを開催し、JICAの当面の対応策を説明するとともに、当該分野の外部有識者を交えたパネルディスカッションを行い、MFを取り巻く課題や将来的な可能性を様々な視点から議論しました。このセミナーにはコンサルタントや金融機関を含む民間関係者や政府関係者、学生など計136名の参加者が集まり、MFへの高い関心とともにJICAへの強い期待をうかがうことができました。

JICAでは、引き続き、効果的にMF事業を取り込んだ技術・資金協力プロジェクトを実施し、途上国の貧困削減に貢献していく方針です。

マレーシア アジア・アフリカマイクロファイナンスセミナー

金融サービスへのアクセスを高めて自立を支援

貧困層向けのマイクロファイナンス(小規模金融サービス)が注目を集めています。

JICAは、アジアの経験をアフリカへ共有するため、開発途上国の政府・民間金融機関のスタッフを対象に研修を行っています。

第三国研修に約50名が参加

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マイクロファイナンス機関のグループ視察

マイクロファイナンスは、民間ビジネスとして成立しづらいとの認識がありましたが、アジアの一部の国々で成功しており、近年、アフリカ諸国でも注目が集まっています。

JICAの研修では、貧困層が融資、貯蓄、送金、保険などの金融サービスにアクセスできるように、サービス提供に関わるアフリカ諸国の政府・民間の金融機関のスタッフを対象に、アジアの経験を共有することを目的としています。

マレーシアで開催した第三国研修「アジア・アフリカマイクロファイナンスセミナー」には、アジア、アフリカ諸国から約50名が参加しました。貧困層が利用しやすい貸付や貯蓄サービスが安定的に提供されるためには、従来の公的機関だけでなく、民間の金融機関によるビジネスとして成立つことが重要です。民間金融機関の参入を促し、利用者の貧困層を保護する政府の役割も欠かせません。研修では、マイクロファイナンスに対する政府や中央銀行の役割について、活発な議論と経験の共有が行われました。

エチオピア ベレテ・ゲラ参加型森林管理計画プロジェクトフェーズ2

自分たちの森を管理して生活向上につなげる

JICAは、政府と住民グループの森林管理組合が仮契約を結び、伝統的な森林の利用を認める代わりに森の保護・管理を行うことで、生計確保と持続的な利用を両立させる取り組みを支援しています。

森林管理仮契約と農民学校などの相乗効果

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天然コーヒーが自生する森林

エチオピアの森林優先地域では、JICAは、政府と集落ごとに結成された住民グループ(森林管理組合)との間で「森林管理仮契約」を締結することで、伝統的に住民が管理してきた森林内に自生する天然コーヒーの利用権と森林優先地域内での居住権を政府が認める代わりに、住民が仮契約で定められた事項に沿って森林保護・管理を行うことによって、「安定的な生計の確保」と「持続的な森林管理」が両立できるよう支援をしています。これまでに93の森林管理組合がオロミア州森林公社と仮契約を結び、自分たちの管理する森の保全・利用計画を作成し、計画に沿って活動しています。

また、国際NGOのRainforest Allianceの認証を取得して、住民が森から収穫する森林コーヒーに市場価格より15 〜25%の付加価値の上乗せを図っており、森林コーヒーを買い付け・出荷する協同組合も結成されて住民の収入が増加しました。

さらに、各森林管理組合では改良農業技術の普及を目的とした「農民学校」を毎週実施しており、参加者は1年間のセッションを通じて堆肥を利用した野菜栽培法や、果樹の苗木生産などの技術を学んでいます。これまでに4,500名以上の農民が卒業し、学んだ農業技術を実践しています。