- 協力期間:
- フェーズ I 2003年~2007年/フェーズ II 2008年~2011年
- プロジェクト概要:
- JICAはグアテマラにおけるシャーガス病対策支援の経験を活かし、2003年より、エルサルバドル3県及びホンジュラス4県において、シャーガス病の感染中断を目的に、プロジェクトのフェーズ1を実施してきた。青年海外協力隊が各県レベルのシャーガス病対策を支援し、保健省に派遣された長期専門家が全体調整やドナー連携を行い、ホンジュラス派遣の「広域プロジェクト運営」専門家がPAHOとの連携、エルサルバドル・ホンジュラスのプロジェクトへの技術支援及び広域研修実施等を担当する形で、県・中央・広域の三層にアプローチしてきた。さらに監視体制の検証を重ね、持続的な媒介虫対策の定着とフェーズ1の協力対象地域外の高リスク地域における媒介虫対策に着手するために、2008年よりフェーズ2を開始している。*以下、フェーズ1の成果
最終受益者への効果が発現しているか
感染リスクの減少
媒介虫対策班や保健推進員を初めとする保健省職員への研修を実施し、プロジェクト対象地域において媒介虫基礎調査を実施した結果、媒介虫の生息状況を把握し、対策活動計画を立案することが可能となった。また、媒介虫の発見された家屋とリスクの高い家屋に対する殺虫剤散布を実施し、その後の評価活動を、保健省媒介虫対策員が実施した。
また、保健関係者や教員が住民や学童への啓発活動に活用できるよう、プロジェクトで各種教材を開発した。紙芝居は、西部地域で活動する保健推進員全員に配布し、保健推進員が日常的な家庭訪問時にチェックするべき生活改善の視点も盛り込んだ。
エルサルバドルでは在来種の生息率が高いことが課題となっていたが、これらの活動の結果、対象3県のパイロット5地区のうち、4地区において在来種の減少(生息率5%以下)を確認し、感染リスクの減少に成果を挙げている。
行政による人々の保護能力が発現しているか
他のセクターとの連携
プロジェクトでは、住居改善と生活改善もシャーガス病対策の戦略の一部と考え、「耐震普及住宅の建築普及技術改善プロジェクト」と連携し、土壁家屋改善ワークショップや教材の開発に取り組んだ。その結果、保健省のイニシアティブで、シャーガス病対策における連携を探るため、住宅省への働きかけも行われた。
また、小学校における啓発活動を推進するため、2007年に西部地域レベルにおいて教育省と保健省間で協定が締結され、プロジェクトのパイロット地区以外においても、保健所単位、学校単位の啓発活動、学童によるサシガメ探しキャンペーン等が進んだ。
このように、住居や生活に関わる複数のセクター間の連携が進んでいる。
人々のリスク対応能力が向上しているか
住民参加型媒介虫監視体制の導入
パイロット地区において、住民参加型媒介虫監視体制の構築を試行導入した結果、殺虫剤散布により低下した媒介虫生息率の維持を目的として、監視体制が構築されつつある。また、啓発活動の進捗と共に、学童や住民リーダー間にシャーガス病の情報が浸透し始めている。
貧困層の多くが住む土壁の家屋
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