セネガル「安全な水とコミュニティ活動支援計画(PEPTAC)」

最終受益者への効果が発現しているか

安定した水の供給→衛生改善、教育環境改善

住民が定期的に公共水栓周辺の共同清掃活動を実施することで水周りや家庭の衛生環境が改善されつつある。また、女子の水汲み労働を軽減することで女子の授業出席時間が安定し、就学率の向上が見込まれている。また単に安全な水の供給改善という課題にだけにアプローチするのではなく、教育や保健における課題や人々の所得向上に対する取り組みを組み合わせ、できるだけマルチセクトラルにアプローチすることで、コミュニティや人々が抱える多くの課題の改善に向け、相乗効果を生むことに繋がっている。

社会的弱者が特定され、確実に恩恵が届いているか

民族バランス・ジェンダーへの配慮

セネガルでは、同じ地域に異なる民族が共存しており、ASUFORメンバーの選出においては民族バランスに配慮した。また、ASUFOR内部規定書、啓発普及活動に使うツールや解説書なども、フランス語だけでは住民の理解が進みにくいため、複数の現地語に翻訳している。このように複数の民族に公正なシステムは、対立を予防し協力関係を構築することにも繋がる。

また、同国では、1997年に他ドナーの協力によって女性・既存組織・衛生集落の利用者の参加を規定したASUFOR規定の標準モデルが策定されてから、ASUFOR普及のための類似の取り組みにおいて、女性の参加への配慮が浸透しつつある。同プロジェクトでもこれを踏襲し、ASUFORメンバーの選出や出席に関しジェンダー指標を設定した。それによって女性の参加を確保し、複数の目が届くことで透明性が高まるよう努めている。コミュニティにおける野菜栽培では、特定の活動において女性を優先し、女性の能力強化と自信の醸成、経済的自立とコミュニティ内での発言権向上に貢献している。

行政による人々の保護能力が発現しているか

啓発・普及活動の展開

プロジェクトで作成した教材やツールを使い、カウンターパートだけでプロジェクト対象外の53サイトで啓発・普及活動が行われた(2005年12月)。また水利省ではPEPTACで実施された住民参加型の水管理の仕組みやコミュニティ活動のモデルを他地域でも展開することを目指し、他ドナーによる支援を得ることも考えている。

人々のリスク対応能力が向上しているか

社会層・グループを越えた協力関係の醸成(民族間、男女間、村落間)

幅広い社会層・グループの参画を配慮したことによって、「中心村落と衛星村落間の関係」「民族間の関係」の向上、「男女の相互理解」「団結力の増大」などのインパクトが生まれ、住民のオーナーシップの向上に繋がっている。

住民組織の活性化による生計向上

水管理を通して得られた資金、水資源、人的資源を他分野へ適用することにより、新たな生産活動の発展を図っている。農作物栽培には、病虫害、異常気象、家畜による食害、人為的なミスや妨害などのリスクが伴うが、生産活動を多様化することでリスクを予測し、次の活動のための資金を蓄積するシステムができつつある。また、各種活動に興味を持つ住民(9割以上が女性)が活動資金の一部を自己負担して、活動を開始している。コミュニティや住民の財政基盤の強化、資産の形成は、災害や病気などのリスクに対する耐性を確実に強化することに繋がっている。

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ASUFORについて、紙芝居を使用して啓発