南南協力

アジア・アフリカ知識共創プログラム「きれいな病院」

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必要なファイルがひと目で見つかるよう整理

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キャッスルストリート病院前で研修員と談話する、講師のスリランカ人講師

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ダンボールに紙を貼った手作りの箱を利用して薬や医療用具を整理(エリトリア)

JICAは「アジア・アフリカ知識共創プログラム(AAKCP)」において、アジアとアフリカが知識・経験を共有し、アフリカの状況に合致した課題解決策を見出だす試みに取り組んでいます。この枠組みのひとつとして、2007年に「きれいな病院プログラム」がスタートしました。第一グループとして、8か国(ケニア、ウガンダ、タンザニア、マラウイ、ナイジェリア、エリトリア、セネガル、マダガスカル)が参加、更に2009年からは第二グループとして(モロッコ、マリ、ブルキナファソ、ベナン、ブルンジ、コンゴ(民)、ニジェール)が参加しています。

アフリカの多くの病院は、医師や看護師などの人材、医療サービスに必要な機材や医薬品、さらには、病院運営における重要な要素である予算が不足するなど、難しい問題を多く抱えています。他方、スリランカでは同様の問題を抱えながら、日本の製造業で発展した総合的品質管理(TotalQuality Management: TQM)の手法である5S(整理・ 整頓・清掃・清潔・しつけ)とカイゼン(KAIZEN)を病院管理に取り入れ、新生児感染症の低減等の成果をあげた事例があります。そこでこのプログラムでは、日本とスリランカのリソースが連携し、5S−TQM-KAIZENの実践を通して病院の職場環境を整えると共に、働く人の意識を向上させて医療サービスの質を高めることを目的としています。

まず、アフリカの病院関係者および病院管理を担当する保健省行政官を日本、スリランカに招いて5S-KAIZEN-TQMの理念を研修し、実際に5S-KAIZEN-TQMが運用されている工場や病院を視察します。そしてアフリカからの参加者は研修を通して、自国のパイロット病院で、実施するための組織体制づくり、実施スケジュール等を含めたアクションプランを策定します。帰国した研修員はアフリカ各国でのパイロットプロジェクトを実施し、5Sを自国で実践し広めていく取り組みをしています。5S-KAIZEN-TQMを通して、パイロット病院運営と医療サービスの質をより改善し、今後のより広範囲の普及を促進するため、日本とスリランカ双方の講師陣がアフリカ各国を巡回指導することが計画されています。

「きれいな病院プログラム」は、自分達の努力と発意、工夫次第で職場環境を改善でき、医療サービスの質と安全性も向上させることができると各実施国で高い評価を得ています。既存のリソースを活用することでコストを抑え、かつあらゆるレベルの医療機関の日々の業務にも比較的容易に取り入れることができることから、各国でパイロット病院から他の医療現場に広がり始めています。参加国の一つであるタンザニアでは、当初一つの病院で開始された5S活動を、同国保健省がその成果を認め政策に取り入れることにより、全国への病院への広がりを見せています。スリランカ日本双方の講師陣が参加しているこのプログラムはJICAの三角協力(南南協力)の優良事例といえ、アジア・アフリカ諸国間の関係強化やアフリカ域内の広域的な展開、さらにはアフリカの保健人材育成・保健システム強化にも貢献できるプログラムとして期待されています。