南南・三角協力

【南南・三角協力】

活動概略
開発途上国が別の途上国を支援する南南協力は、かつて戦後間もない日本が実践した国際協力と言えるものです。現在、JICAではその経験を生かして、第三国研修、第三国専門家派遣を含む多様な形で、南南・三角協力を積極的に支援しています。

南南協力とは、開発途上国の中で、ある分野において開発の進んだ国が、別の途上国の開発を支援することで、JICAは、「開発途上国が相互の連携を深めながら、技術協力や経済協力を行いつつ、自立発展に向けて行う相互の協力」と定義しています。

((注)先進国と開発途上国の格差の問題などを「南北問題」と呼びますが、これは、開発の進んだ国の多くは北半球にあり、多くの途上国が南半球にあることから名付けられたものです。同様に、南南協力は、ある途上国(南)が他の途上国(南)を支援することから、このように呼ばれています。)

JICAでは、途上国が他の途上国に対して行う南南協力を積極的に支援しており、このような形式は国際的には「三角協力」と呼ばれます。三角協力とは、先進国や国際機関が、途上国が他の途上国に対して行う南南協力を資金・技術・運営方法等で支援することを指します。

これからの説明をわかりやすくするために、三角協力における国の関係を、例えば、援助する側の途上国をA、援助を受ける側の途上国をB、そしてAからBへの援助を支援する先進国(日本など)または国際機関をCとします。この関係を表したのが以下の図になります。

【画像】

南南・三角協力の意義

開発課題が多様化・複雑化するなかで、先進諸国や国際機関だけでは解決できない多くの問題が存在し、これらに対しては世界的な取り組みが必要であると言われています。また近年、新興国の発展は急速に進んでおり、このような状況で、途上国・新興国の中から新たな支援者(上図のAにあたる国)が誕生することは、世界的にこれらの問題に取り組む仲間が増えることとなります。具体的には、A国の資金や人材、A国で培われた技術やノウハウがB国支援に活用できることとなります。しかし、A国がB国への援助に意欲を持っていても、必ずしもA国側の資金や人材、援助の経験が十分とは限りません。そこで、三角協力とは、このような新しい援助の仲間(A国)の取り組みを、先進諸国・国際機関等が、これまでの援助実施の経験を活かして手助けしようというものです。

一般的に、A国には日本などの先進国から移転された技術が現地に適した形となって定着しており、かつB国と言語や文化、気候が類似していたり、同じ途上国としての最近の開発経験に基づく協力を行ったりすることで、A国からB国への南南協力では、適正な技術の移転がスムースに行われ、持続的な開発につながると言われています。さらに、これを支援する日本などの先進諸国にとっては、B国に直接支援する場合に比べて経費を低く抑えることができ、かつ、自国の技術がA国だけでなく、B国にも活かされ、結果的に多くの途上国の開発に貢献できることとなります。

A国にとっても、南南協力に取り組むことは、これまでの教わる側から教える側に立つことになり、援助国としてのノウハウや経験を蓄積することとなります。その結果、国際社会の一員としての役割を果たすとともに、自国の発展に対する自信と能力を身につけることにもなります。南南協力に取り組む途上国の多くは、国際社会への貢献への強い意志や、途上国同士の連帯意識を南南協力実施への動機としています。

日本の役割

こういった途上国・新興国の自助努力を尊重し、その取り組みを支援することは、日本の重要な役割となっています。

1954年、日本は、アジア・太平洋地域開発のための国際機関であるコロンボ・プランに加盟しました。つまり、まだ戦後復興中で多額の援助を受ける国であると同時に、援助国となり途上国への協力を開始したのです。当時の日本が、まさに「南南協力」を実践し、今日のような援助国への道を歩き始めたと言えるでしょう。

日本は、このような自国の経験から、南南・三角協力を有効な協力手段と考え、三角協力に最も積極的に取り組んでいる援助国の一つです。2015年に改定された開発協力大綱においても、「新興国を始めとする諸国と連携した三角協力は、我が国の長年の協力により相手国に蓄積されたノウハウや人的資源、人材ネットワーク等を有効に活用した協力として、国際社会からも高い評価を得ているところ、引き続きこの取組を継続していく」、と明示しています。

JICAは、このような政府の方針を受け、JICA第4期中期計画(2017年~2022年度)において、「新興ドナーとの連携(三角協力を含む)や経験共有を強化する」という方針を定め、三角協力に積極的に取り組んでいます。