チャイハネ

第13話「カブール再生への挑戦(1)−カブールの春−」

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無彩色の街カブール

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豊かな水は風景を彩る

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ヘリコプターとクルー

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北へまっすぐ延びる一本道(デシャブ地区)

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春を彩る杏とアーモンドの木

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緩やかな川の流れ、そして時間の流れ

1990年代、アメリカは対ソ連の戦いを続けていたムジャヒディングループに対して携帯型赤外線追尾ロケット砲(スティンガーミサイル)を供与しました。この武器によって、多くの戦闘機やヘリコプターが打ち落とされた映像を見た方も多いかもしれません。

今年の3月から始まったJICAの協力「カブール首都圏マスタープラン策定調査」は、人口が300万人を超えて、もう、水供給も道路混雑もごみ処理も立ち行かなくなった現在の首都カブールの今後をどうするか?について夢を描き、それを現実のものとする調査です。

今回は、その調査の一環としてヘリコプターで空から街を巡ることができました。しかし、冒頭で書いたような記憶は、ヘリでの旅を少し不安にさせます。「スティンガーミサイルの部品はもう無いだろうし、たまに飛んでくる普通のロケット弾には狙って当たるような性能は無いですよ」と聞いても。

金曜朝9:15、休日の飛行場からヘリは優しく飛び立ちました。茶色に彩られた家々が軒を連ねる見慣れたカブール市内を一回りした後、ヘリは新しい街の建設を待つカブール北東部のデシャブ地区へ向かいます。雨季だけ流れる川(ワジ)、春になってパキスタンから移動してきた遊牧民と羊たち、そして北へ向かう一本道。この荒野に新しい街を造ることへの不安と希望が交差します。

機体はさらに北へ。突然、川に流れる水の反射と緑色が開け、そこには懐かしい風景がありました。季節は春。杏やアーモンドの花が咲き始めた大地では、人々が種蒔きに備えて農作業を行い、あるいはモスクでの金曜礼拝に集まっています。かつて緑溢れる街であったというカブールの面影が近郊地域には残っていました。

ムガール王朝の初代国王バーブルが愛し、シルクロードの交差点として多くの人々を魅了したこのカブールを、かつてのように緩やかな時間が流れ、人々が集う街に再生できるように、そして、ヘリでなくても、直に豊穣な大地とそこに息づく人々の生活に触れられる日々が来ることを願いながら、これから長く壮大な努力が始まります。

【アフガニスタン事務所 嶋田晴行】