関東地区 ABEイニシアティブ企業説明会 実施のご報告

平成28年2月22日(月)の午後2時より、東京都大田区の大田区産業プラザPiO小展示ホールにて、「関東地区「ABEイニシアティブ」企業説明会」が行われ、関東地区を中心とした企業/団体計58社が参加した。主催は独立行政法人国際協力機構(JICA)、共催は国際連合工業開発機関(UNIDO)東京投資・技術移転促進事務所、アフリカ開発銀行アジア代表事務所。

冒頭、主催のJICA人間開発部・梅宮直樹課長が挨拶に立ち、参加企業への感謝の意を述べた。また、「まだまだアフリカは日本にとって、物理的にも、そして心理的にも遠いと理解している。その一方で、アフリカは54カ国で10億人の人口を抱え、2050年にはそれが倍になると予想されているほか、石油、レアメタルはじめ、貴重な資源を有する国が多く、世界各国からのアフリカへの注目度は高まっている。本事業にご登録頂いている企業様も、現在は200社を越える規模となっており、ここからも注目度の高さを感じている。

さて、アフリカ側からみると、日本の技術力に対する期待は非常に大きく、今後さらなる日本からの投資も期待されている。次のABEイニシアティブ第3期(2016年9月来日の第3バッチ生)は、約300名の枠に対し約2000名の応募と、日本に対する高い関心が感じ取れる。すでに学生を受け入れて頂いている大学院、そして企業様にも好評を頂いており、本プログラムには、各国の大変優秀な人材がそろっている。アフリカ各国からこれだけの数の人材が長期に亘り日本に滞在するこの機会に企業様にはABEイニシアティブをご活用頂きたい」と述べた。

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主催者挨拶をするJICA人間開発部・梅宮課長

続いて共催/後援を代表し、UNIDO東京事務所・国吉浩所長が、「UNIDOは国連機関の中で、唯一"Industrial"という言葉が組織名に入っている機関である。我々は、日本の産業界と途上国の産業界の懸け橋となるべく日々働いている。ABEイニシアティブと同様に大きな意味で日本の産業界とアフリカを繋ぎ、アフリカへの投資促進、技術移転を進めていきたいという志を同じくするものとして、この度共催させて頂く運びとなった。」と挨拶し、UNIDOの事業内容については、「1966年に国連の一部局として発足して以来、今年で50周年と、半世紀に渡りアフリカを含む途上国の開発支援を行っている。アフリカの50年を振り返ると、最初の35年間はそれなりの成果を得られたものの、マクロ経済指標で見ると、あまり目覚ましい結果には繋がっていなかった。しかしながら、2000年以降、急激にアフリカ各国が経済成長を遂げ、現在に至っている。昨年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」にて、「2030アジェンダ」が採択された。この「2030アジェンダ」の大きな特徴として、従来の"援助"に加え、途上国の産業化を促進することで「持続可能な開発」が進むのでは、という考えで進められている点が挙げられる。そして、TICAD Vもやはり、"援助から投資へ"、"官民協力の推進"、そして"産業人材育成"といった方向性を打ち出している。つまり、「2030アジェンダ」とTICAD Vから生まれた「ABEイニシアティブ」の目指しているところは同じ方向だといえる。日本の技術がアフリカをはじめとする途上国に根付いて、アフリカの開発、経済成長を進めるということを、政府だけでなく、民間こそが主力となり、民間ベースでやっていく必要がある。

UNIDOは現在、アフリカに25の拠点があり、50年間途上国支援を行ってきた蓄積、ネットワークが構築されている。アフリカは、10億人を超える規模の市場として、大きなビジネスチャンスが期待できる。そこに日本の企業が投資を進めることが、日本の産業界の為にもなるし、国連の立場からいえば、アフリカの開発に効果的ではないかと考えている。」と語った。

そして、UNIDOの具体的な事業として、フラッグシッププログラムとなる、"デレゲート・プログラム"(各国の投資誘致機関から、日本との投資、誘致の話を具体的に進めることのできる人材として、担当官(デレゲート)を日本に招聘するもの。現地工場設立に繋がるなど、具体例も多数)に関する説明や、アフリカアドバイザー事業(UNIDO東京の職員をアドバイザーとして現地に常駐させ、日本からの問い合わせ対応などを行っており、多くの実績がある)を紹介。また、途上国に移転可能な環境・エネルギー関連技術をウェブサイトで提供するデータベースの運営などについて説明があった。

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挨拶をするUNIDO東京事務所・国吉所長

続いて、JICA人間開発部・梅宮課長より、改めてABEイニシアティブの事業概要、そして、企業の活用メリットについて説明がなされた。そして、JICA・ABEイニシアティブの運営支援団体であるJICEの留学生事業部より、2015年夏期インターンシップの実施報告が発表された。実施報告冒頭のPR映像では、2015年夏期インターンシップの様子が流れ、各企業でのインターンシップのもようと、受入担当者の声が紹介された。

その後、昨年、夏期インターンシップを実施した企業による活用事例が紹介された。

まず、株式会社リコーのビジネスソリューションズ事業本部新興国事業センター事業推進室事業企画グループリーダー・藤江陽成氏より、画像&ソリューション分野を中心に、産業分野やそのほかデジタルカメラなど、全世界約200の国/地域において販売・サービスを展開する自社の事業に関する紹介や、留学生受入に至った経緯などについて説明があり、インターンシップでは、情報収集や人的ネットワークの構築、また自社社員への刺激といった成果を得られたことが報告された。

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活用事例を発表する株式会社リコー・藤江リーダー

続いて、映像/WEB制作、映画配給・宣伝などを行うサンクレイオ翼株式会社のクリエイティブ事業部映像チームディレクター・本間裕人氏より、青年海外協力隊として視聴覚教育を担当した経験を持つ本間氏が中心となり、ABEイニシアティブに関わることになったことや、自社の事業内容、研修内容が語られ、実際のインターンシップの様子を切り取った映像を上映。街頭インタビューや日本文化の体験、ラマポーザ南アフリカ共和国副大統領との懇談の様子など、充実したプログラムであったことが報告された。

実際に受け入れた企業による報告に、同説明会に参加した、今後受入を検討している企業担当者の関心が集まった。

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発表した本間氏は、青年海外協力隊の元ブルキナファソ隊員

企業担当者からの報告の後は、ABEイニシアティブ第1バッチ生から、インターンの体験談が語られた。

オドゥオール・リチャード・オティエノ氏(東洋大学国際地域学研究科・ケニア出身)が、大豆加工食品会社での大豆産地訪問や豆腐作り体験といったインターンシップ体験を語り、続いてマキャオ・レイモンド・エリアブ氏(横浜市立大学国際マネジメント研究科・タンザニア出身)が、世界最大のガラスメーカーでのインターンシップ経験とともに、日本の企業文化に触れ、多くを学んだことが語られた。

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冒頭、日本語で挨拶をしたオティエノ氏

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エリアブ氏は企業での経験がいかに興味深かったかを語った

留学生による体験談の後は、3月24日(木)に東京で開催される「アフリカビジネス・ネットワーキングフェア2016」について、具体的な出展に向けた流れが説明され、続いてインターンシップの実施要領・概要について紹介された。

全てのプレゼンテーション終了後の質疑応答では、活発な意見交換が行われ、説明会は盛況のうちに終了した。

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アフリカに関心を持つ多くの企業担当者が集まった