JICA技術協力が繋ぐ大陸を超えた知的創造(エピソード2)

2012年11月29日

2012年10月28日(日)から11月2日(金)、ケニアの保健省事務次官を団長とする視察団がバングラデシュを訪問しました。これは、2012年5月28日(月)から6月1日(金)の3日間に渡り、バングラデシュのJICA母性保護サービス強化プロジェクト専門家および保健家族福祉省カウンターパートがナイロビを訪問し、ケニアで実施中のJICAプロジェクトのニャンザ州保健マネージメント強化プロジェクトの視察と意見交換を通じて、相互の技術経験交流を行いましたが、その第2弾です。前回の交流の場では、双方が今後の保健行政マネージメント、母子保健、コミュニティ保健、地方分権化への取り組みを学び合う機会となりました。今回の訪問はこの経験を更に深めるために実現しました。

(1回目の交流に関しては「ケニアとバングラデシュ:保健プロジェクトの学び合い交流」(2012年6月19日に掲載。下記アドレスをご参照ください。)
http://www.jica.go.jp/kenya/office/information/event/120619.html

バングラデシュとケニアはいずれも地域の母子保健の改善が国家の優先課題です。バングラデシュでは「2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する」という保健ミレニアム開発目標の達成に近づいており、また、ケニアは地方保健行政官の能力強化を通して保健行政のシステムの強化を目指すというように、両者の課題解決へのアプローチは異なります。

今回の交流は、コミュニティレベルでの母子保健改善が進み、乳児死亡率、妊産婦死亡率といった指標が順調に改善しているバングラデシュの経験をケニアの国家コミュニティ保健戦略の改訂に生かすことを目的としたものです。

視察団は、保健省関係者との意見交換のほか、JICAが実施している「母性保護サービス強化プロジェクト」(ノルシンディ県)を訪問しました。このプロジェクトサイトでは、住民のグループ化による妊産婦・新生児に対するコミュニティでの支援体制を確立することにより、一定の母子保健改善が達成されました。この住民グループとそれを支える行政(地方自治体)の役割は保健行政機能強化が進んでいるケニアでも活用できるのではないか、と現場への訪問後、視察団内でさっそく議論が始まっています。

最終日にはBangladesh-Kenyaフォーラムを開催しました。バングラデシュ側は「母子保健を改善した要因について」の分析が発表され、ケニア側からは「保健改革の経験とコミュニティ保健戦略の概要」について説明が行なわれるなど、活発な意見交換の場となりました。地域の母子保健の改善が国家の優先課題であり、保健人材や財政の制約など共通の課題を抱える両国も、地理的条件、疾病構造などは大きく異なっています。それぞれの成功要因、弱点をふまえ、今後の取組みについて検討するよい機会となりました。

5月に続くJICAが橋渡しをした二国間の交流は大陸間のグッドプラクティス学びあいの序章です。今後、ケニア、バングラデシュ両国で、この交流から得たあらたな可能性、知見をもとに母と子の健康改善という保健ミレニアム開発目標の達成への新たな取り組みが始まります。今後も大陸を越えた知的創造について、このHPで継続的に報告していきたいと思いますので、ご期待ください。

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保健セクターの説明を受ける視察団:バングラデシュ保健省次官も出席

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コミュニティクリニックにて赤ちゃんを抱えるケニア保健省次官

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母子保健に関するコミュニティサポートグループ(CmSS)の活動を視察

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母子福祉センターにて予防接種カードの説明を受ける様子