世界一悪条件の都市、ごみ問題への挑戦 〜10年にわたるダッカ廃棄物管理プロジェクトの執念が結実〜

2013年3月6日

2013年2月13日ダッカ廃棄物管理事業のファイナルセミナーが開催され、10年以上にわたる事業による成果や今後の問題点等が話し合われました。

約1500万人が居住するバングラデシュの首都ダッカ市では、急激な人口増加に伴い、都市環境の悪化は著しく、長年にわたり、廃棄物管理が大きな課題となっていました。ダッカ都市圏は1平方Kmあたり44,400人と世界で一番人口密度が高く(東京—横浜都市圏の約10倍)、かつ一番貧しい都市圏です。そのような中での廃棄物管理は大きな挑戦であり、取組み甲斐のある事業です。

JICAは2000年からこの問題に取り組み、形成に関与した「Clean Dhaka Master Plan 2005」に基づき、技術協力を中心としたゴミの収集から最終処理場の建設に至るまで、支援してきました。この事業では南北ダッカ市内を92区に分け、各区に事務所を作り分権化して担当職員の強い意欲と自覚を促し、廃棄物管理を行っています。清掃職員(CO,CI)、現場清掃職員の教育(現在8,000人のうち5,000人に実施)、及びトレーニングによる意識改革と自覚により、現場主体の清掃事業の推進を図りました。また、青年海外協力隊員(以下、隊員)も地域住民と共同で廃棄物処理にあたり、現状の収集方法が効率的で衛生的、かつ現実的な収集へと改善されました。2010年には無償資金協力により低公害のゴミ収集車100台も供与され活躍しています。これら取組みの結果、収集運搬量が約80%増と向上し、また福岡方式衛生埋立地(注)の導入による廃棄物処分場管理の改善といった成果があげられ、廃棄物管理が大幅に改善しました。他にも隊員やシニア・ボランティアが小学校での環境教育や収集車の整備等で活躍し、関係者から大きな評価を得ています。

本事業のプロジェクトリーダーである石井専門家によると、「この事業では、担当職員にお仕着せの業務をしてもらうのではなく、セクションごとの基本方針の設定、マニュアル作成、トレーニングを通して自主性を養っている。最終セミナーでの発表に関してもプロジェクト側による指導や修正は行なわず、職員が自由に意見交換できるものとなっていた。」とのこと。事実、セミナーでは上下関係の厳しい国柄なのにもかかわらず、実務者側から積極的に問題点を指摘し、改善案が提示されている等、関係者の強い意欲が感じられました。

本事業により、廃棄物収集量が大幅に改善されたとはいえ、市内で適切に処理されていない廃棄物は現在も1日あたり1,000トンを超えるといわれており、更なる改善が必要とされています。プロジェクト終了後のダッカ市による廃棄物管理運営は大いなる挑戦となります。隊員による環境教育は継続されるものの、更なる収集車配備の充実や十分な人材確保、また数年後には容量が満杯になる見込みの最終処分場の拡張と、取組むべき課題は山積みで、JICAによる次期マスタープラン支援も検討されており、今後のダッカ市の取組みから目が離せません。

(注)福岡方式衛生埋立地:1970年代に福岡市と福岡大学が共同で開発した低コストで簡易な埋立改善技術で、国内の多くの処分場で用いられている。埋立廃棄物の分解促進と埋立地の早期安定化を図り、浸出水を速やかに排除できることで、最終処分場の周辺環境に与える影響を低減、また、メタンガス排出量を抑えることで地球温暖化防止にも寄与する。

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3月12日に開催されたセミナーで事業の成果や課題を話す石井専門家

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無償資金協力で提供された低公害のゴミ収集車により収集運搬量を大幅に向上

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清掃人への研修風景

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大きな改善が見られた最終処分場

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隊員による環境教育

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啓発用ポスター