JICA技術協力が繋ぐ大陸を超えた知的創造(エピソード3)

2013年3月26日

これまでの2回のエピソードでは、バングラデシュとアフリカのケニアの保健セクターにおける協力関係をお伝えしました。今回はバングラデシュと同じ南アジアのスリランカ、そしてアフリカのタンザニアとの病院サービス改善に関する新たな協力関係について報告します。

バングラデシュでは近年保健指標の改善が進んでいますが、公立病院の現状は施設もサービス内容も課題が多いと指摘されています。SMPPフェーズ1では公立病院職員の意識改革を起こすべく、2010年に4つの病院で5S活動支援を開始しました。

バングラデシュ母性保護サービス強化プロジェクトフェーズ2(SMPP-2)は、2011年よりスリランカで5S/カイゼン/総合的品質管理(Total Quality Management:TQM)研修を実施しています。この病院管理手法は日本の製造業での取り組みを模範としており、病院職員の5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の段階的実践による職場環境改善、3M(ムリ、ムダ、ムラ)の排除といった業務内容の見直しによる業務の効率性、安全性を高めるカイゼンを経て、最終的な病院サービスの質の向上を目指しています。スリランカでは国の方針としてこの手法を病院に導入し、目に見える成果をあげています。

タンザニアにおいても5S/カイゼン/TQMは国家政策と位置づけられており、全国展開のための基盤整備を行うと共に、活動を担う人材の育成や対象病院の数を徐々に増やしています。

2月25日から3月2日にかけて、5S/カイゼン/TQM研修をスリランカ、タンザニア、日本、バングラデシュの4カ国を対象に合同で実施しました。各国政府の実施機関責任者や病院の実践者、リソースパーソンがスリランカのコロンボに集まり、これまでの活動成果や経験を共有、講義は主に3つの概念と関係性の整理、病院管理の核となるビジョン・ミッションの確認、5S/カイゼンのステップアップに必要なリーダーシップやチームワークの醸成、TQM活動を支える国の制度構築などバングラデシュの課題に沿った内容で構成されていました。また、この取り組みの難しさ(病院スタッフのやる気を維持する仕掛けや必要な活動資金の捻出など)や、人材不足、病院のサービスに影響を与える政府システムの問題とその対応策などに関し、意見交換を行いました。更に、コロンボや地方の公立・私立病院を訪れ、5Sの実践に触れたり、病院スタッフの創意工夫を直接聞いたり、地方行政や地域住民に支えられ信頼された僻地医療を支える病院に感化されるなど、今回の研修は非常に示唆に富んだ、かつ、有意義な学びの機会となりました。

SMPP-2では、多くの研修参加者から感謝の声と今後の抱負を熱く語るメッセージを受け取っています。アフリカの15カ国で展開される5S/カイゼン/TQMの普及を目的とした「きれいな病院プログラム」は、2012年、国連南南協力賞を受賞しました (JICAホームページ参照)。JICA技術協力が繋ぐ大陸を超えた知的創造は、世界的な認知を高めながら関係国における共通課題への協働の輪を広げ、より大きな成果に繋がる道筋を示しています。

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スリランカの5S/カイゼン/TQMの取組みの説明を聞くバングラデシュからの参加者

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日本から講師として参加した半田教授の指導のもと、ベンガル語によるPyramid of Managementを作成

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ランカ・ホスピタルの様子

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キャッスル・ストリート病院の5S/カイゼン/TQMに関するプレゼンテーションに聞き入るバングラデシュからの参加者

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キャッスル・ストリート病院を視察して、病院スタッフから説明を受ける様子

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各施設でのアクションプランを作成するバングラデシュからの参加者