より早く人々にインフラを届けるために−円借款ポートフォリオ会合開催−

2013年5月17日

バングラデシュは、政治抗争・イスラム政治運動等の激化、シャバール地区におけるビル倒壊事故などを踏まえ、現在急速に不安定化しつつあります。こうした厳しい状況の中で、JICAはバングラデシュに寄添いながら開発の歩みを停滞させぬよう、様々な支援促進の働きかけを行っています。円借款は、相手国政府の公共事業に融資するスキームであり、ときとして政府の遅い対応が事業を遅らせます。通常のインフラ案件では新規承諾から完成までに約5〜7年かかりますが(コンサル雇用→詳細設計→コントラクター調達→工事という流れ)、どうすればネジを巻いて電力・水・道路などを人々にいち早く届けられるか。バングラデシュ事務所は日々バングラデシュ政府・実施機関とともに悩み、尽力しているところです。

5月11日(土)、財務省(経済関係局:ERD)アザド次官をチェアとする円借款事業ポートフォリオレビュー会合が実施されました(ホルタルで8日(水)の当初予定が延期されため休日に決行)。目的は、1)円借款事業の全体レビュー・2013年度の貸付目標合意、2)事業実施のボトルネック洗い出し・解決策検討、の二点です。

会合冒頭、ERDアザド次官からは、最大の二国間ドナーであることに加え、「他のドナーは『あれが出来ていない、これが遅れている』と言うばかりだが、日本は『あなたの国民が電気を必要としている、だから早くこれをやろう』とアドバイスしてくれる」として、日本の協力の在り方についても大きな感謝が示されました。全体レビューに関しては、2000年以降を振り返り、バングラデシュ経済の力強い成長に伴い、バングラデシュの円借款規模が過去5年で大きく飛躍していること、とりわけ2012年度は新規承諾(1664億円、2008年度比4倍)、貸付実行(337億円、2008年度比8倍)ともに未曾有の規模であることを捉え、バングラデシュに対する円借款の「ターニングポイント」であったことを改めて確認。2013年度も更なる貸付実行規模の増大について合意したうえで、バングラデシュ政府が適切かつ迅速な事業実施を推進しなければ、今後日本の支援は(取りも直さずバングラデシュ経済発展そのものも)「Uターン」する可能性があることを強調しました。これを踏まえ、事業の迅速化のためには、事業準備段階において適切な対応を取ることが事業の早期立ち上がりに大きく資すること(人員配置、バングラデシュ政府内の事業計画策定・承認、十分な予算配賦など)、調達の質・スピード向上や契約管理を含む事業管理向上が不可欠であることを訴えました。いずれも、バングラデシュ政府内部で根の深い問題として認識されているものですが、個別事業の事例を丹念に積み重ねながら、改めて次官級に認識を共有しつつ粘り強く改善を唱え続けていきます。

会議の中では、個別の話に入るたびに各次官からの檄が飛び、関係者はピリッと引き締まった様子。こうした一つ一つが事業実施にはね返ってきます。また、会議の最後には、課題に対する定期的なモニタリング体制、プロジェクトディレクターに対する集中的な研修などがバングラデシュ側から提示され、今後JICAとともに実施する予定です。

バングラデシュ政府側からは、計画省ブイヤン次官、運輸省(道路局)シディーク次官、電力エネルギー鉱物資源省(電力局)モノワール次官、鉄道省アザド次官ほか省庁関係者、実施機関総裁・プロジェクトディレクター等が集い、日本側からも大使館からの参加があり、約60名が活発な議論を闘わせました。

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