看護人材育成プロジェクト、本格始動!

2016年5月10日

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南裕子先生

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ローンチングイベント参加者

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ローンチングイベントディスカッション時の様子

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政策対話でモデレーターをされている片田先生

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政策対話で発表される南先生

公的医療サービスの質の低さ、保健医療人材不足と不均等な配置など多くの課題のあるバングラデシュ。ハシナ首相は2009年に看護職増員を公約し、実際に2013年には約4千人の看護師が新規雇用されたほか、2014年には1万人の看護師を公的病院に雇用することが宣言される等、バングラデシュ政府としての取り組みも強化しています。また、バングラデシュ政府は、看護師の質の向上を目指し、2008年に看護教育制度の改正も行いました(看護ディプロマ課程を4年から3年制に変更、大学教育としての看護学士課程制度(4年制)を導入)。

しかし、この看護学士課程の卒業生は2012年に輩出されたばかりであり、学士課程教育における教育の水準の向上、看護実践を学ぶ実習現場において学生のロールモデルとなる看護師の能力向上が必要です。また、看護セクターではまだ多くの課題が残されているため、バングラデシュ政府からJICAに対し、看護サービス人材育成プロジェクトが要請されました。そして、2016年4月、本プロジェクトが本格的に始動しました。

4月11日から13日にかけて、本プロジェクトの国内支援委員長である南裕子先生(高知県立大学 学長)、看護教育国内支援委員の片田範子先生(兵庫県立大学 副学長/大学院看護学研究科教授)がバングラデシュを訪問。プロジェクトのローンチングイベントが開催されました。

初日である11日にはダッカ看護大学、および私立看護大学の学長、教員、一部学生との意見交換会を行い、続く12日には保健省次官補および政府関係者、看護教員、看護師長、看護分野を支援する他ドナーを含めた政策対話を行いました。

両日とも、JICA関係者からバングラデシュにおける保健セクターでの協力や本プロジェクトおける看護行政、看護教育、看護実習の3本柱と枠組みについて説明し、南先生からは、南先生の看護師としての経験、日本を含む世界の看護分野の発展についてご発表いただきました。その後の議論では、南先生、片田先生がモデレイターとなり、参加者から溢れ出る意見や要望を拾い上げ、活発な議論に導いていただきました。

最終日の13日にはハシナ首相を表敬し、本プロジェクトの開始を報告しました。あわせて、本プロジェクトと並行して実施する円借款事業の中で、国立看護大学の学舎増築と、看護学生寮の修繕を行う予定であることを説明しました。軽視されがちであった看護師という職業を更に魅力的にし、多くの人材が育成されることを望んでいるハシナ首相からは、JICAの包括的な支援に対する深い謝意が示されました。

今後、本プロジェクトでは看護行政、看護教育、看護臨地実習の三方向からアプローチし、看護学士課程に関する行政機能の強化、対象大学における看護学士課程の教育環境の改善、看護臨地実習の環境の改善を目指していきます。

看護人材育成プロジェクト:

 

*南裕子
看護学者、高知県立大学学長。

1965年横浜市民病院で看護師としてキャリアをスタートし、1982年に米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)看護学部博士課程を修了。1999年日本看護協会の設立及び会長(〜2005年)、2004年兵庫県立大学副学長、2005年国際看護師協会会長(日本人初)を経て、2011年より高知県立大学学長を務める(〜現在)。

専門・認定看護師制度の創設や、看護大学に日本初の精神看護学博士課程を開設するなど、日本における看護師の専門性の確立に努めた。自らも被災した阪神・淡路大震災の経験から、看護ボランティアの派遣体制を整備し、1998年に日本災害看護学会、2008年に世界災害看護学会を発足するなど、数々の業績を残す。2011年度フローレンス・ナイチンゲール記章受賞。

*片田範子
看護学者、兵庫県立大学 副学長/大学院看護学研究科教授。

米国および聖路加国際病院、聖路加看護大学にて勤務後、1990年に米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)看護学部博士課程を修了。1993年より兵庫県立看護大学にて教鞭を執り、2016年4月より同学副学長に就任。

小児看護の実践の質の向上を目的とした研究活動を実践。最近では、災害発生時に子どもたちを守るための看護ケア方法開発に関する研究を行うなど、多くの研究実績をもつ。2016年1月、日本看護系大学協議会功労賞を受賞。