バングラデシュで医療従事者のための個人保護具製造を支援

2020年7月22日

7月22日、JICAは日本の検品会社であるK2社と共同で製作した医療用ガウンの第一バッチ約3000枚を、バングラデシュの医療従事者に向けて送り出しました。

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JICAガウン製造中

バングラデシュでは毎日3000人超のコロナ感染者が増え続けています。その中で、医療従事者は患者の対応に奔走しています。その一方で、ガウン、マスク、ゴーグルなどの個人保護具は不足しており、粗悪品も流通しており、バングラデシュ保健省は対応に追われています。

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目視による検品

その様な状況下、JICAはコロナ感染症立ち向かう最前線の医療従事者を保護するため、2020年4月からバングラデシュ保健省に対して、国内で医療用ガウンを生産する仕組みづくりの支援を開始しました。ガウンの品質を確保するためには、使用する生地の性能・品質を確保する過程(検査)、穴やほつれが無いかを精査する過程(検品)をクリアする必要があります。JICAは、バングラデシュで長年操業しているK2社と共同で、WHO、保健省薬務局、米国開発庁(USAID)、バングラデシュ工科大学関係者で組織される技術委員会で協議を重ね、WHOおよびバングラデシュ保健省の規格に適合したガウンを製作するための品質管理システムを提案しました。

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ガウンの品質管理に関する検討会

このガウン製作のための品質管理システムに沿って、K2社は地元の衣料品メーカーであるSnowtex Groupに実地訓練を行いました。K2社の湯田氏は、「この困難な時期にバングラデシュの人たちに何か貢献できることをしたいと思っていました。安全な個人保護具の開発は、保健医療従事者だけでなく、バングラデシュにおける新しいビジネス機会を創出します。実際、サンプルを開発している間に、海外のバイヤーからポジティブな問い合わせを受けました。」と語ってくれました。

この取り組みは、バングラデシュの経済振興の観点からも注目されています。バングラデシュの衣料産業は有名ですが、コロナ感染症の流行により、バイヤーからの発注キャンセルや生地の輸入停滞により縫製工場で働く多くの労働者が解雇されています。今回、ガウンの製造に取り組んだSnowtex社は、この困難な状況でも工場労働者を保護することに真剣に取り組んでいる企業の1つです。Snowtex社長のSMハリド氏は、「このプロジェクトを通して従業員の雇用を確保することが出来てとてもうれしく思っています。私たちは常に国のため、世界のために役立つことを考えて行動しています。コロナ感染症との戦いに参加できることを誇りに思います。」と語ってくれています。

JICAは、今回の取り組みが保健医療従事者や衣料工場労働者だけでなく、バングラデシュのすべての人々に恩恵をもたらし、コロナ感染症の拡大阻止につながることを願っています。また、輸出市場のための道がさらに開かれ、バングラデシュにさらなる恩恵がもたらされることを期待しています。

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K2とSnowtex社のプロジェクトメンバー(右から4番目が湯田氏)