算数の授業 金井隊員の場合

2019年10月4日

小学校教育隊員の金井俊輔です。ツワナ語の名前は「ロアーピ」です。「ロアーピ」は「空」という意味です。
現職参加制度を利用し、東京都の小学校を休職して青年海外協力隊に参加しております。

私の任地は、ボツワナ西部の少数民族のサン族が近くに住んでいることで有名な町です。小さいですがとても平和で、のんびりとした素敵な町です。その町の中にある小学校で理数科教員として活動しております。小学校には1年生から7年生まで、全部で850人ほどの子供たちが通っています。サン族、カラハリ族、ヘレロ族など、様々な民族の子供たちが通っているという特徴があります。私は現在、4年生から6年生の算数の授業を担当しております。

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まだ赴任してから1ヶ月しか経っていないため、先輩隊員の方々のような成果は残せていないのですが、これまでに感じた課題や、今後行っていこうと考えている活動についてお伝えしたいと思います。

7年生の模擬テストの分析から見えてきたこと

ボツワナでは、10月に小学校の卒業試験があります。小学校ではそれに向けた模擬テストが9月に行われました。ボツワナの先生たちは試験の成績は出すものの、どの問題をよく間違えたのかといったことはあまり調べないということを、事前に先輩隊員から聞いていました。実際に模擬テストを行った際、そのような状況が見られたので、解答用紙を預かり、各問題の正答率を割り出してみました。さらに、問題を単元ごとに分け、各単元の正答率を求めてグラフに表し、先生方と共有しました。こちらがそのグラフになります。

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黄色くなっている部分は、正答率が50%以下だった単元を表しています。
このグラフを見ると、意外にも足し算、引き算、掛け算など、単純な計算問題は正答率が良いことが分かります。小田隊員の記事にもあるように、計算力は学年が上がるにつれて徐々に改善されてきているようです。その一方で、割合、分数、平均などの問題の正答率が低いことが分かります。なぜでしょうか。
これはおそらく、四則計算はある程度できるものの、それらをどういう場面で、どのように使ったらいいかということへの理解が不足しているためです。普段の授業で概念的なことに偏って学習しており、具体的な場面とつなげて考える活動が足りていないことが原因であると考えられます。
ドリル的な活動や算数遊びを通じた計算力の向上は必要不可欠ですが、それに加えて、普段の授業を改善し、教える内容を子供たちの生活に近づけ、具体的にイメージしたことを計算につなげていくという経験を多くさせてあげる必要があると考えます。

今後の活動について

そこで今後の活動予定を以下のように考えております。

子供たちへの直接的な学習指導

  1. ドリル的な活動や、算数遊びを使った計算力の向上
  2. 具体的な場面をイメージできるような授業の工夫
  3. 現地で手に入る器具や材料を使った、理科の実験授業

先生方へのアプローチ

  1. 算数の授業改善のためのワークショップの開催
  2. 理科の実験等で使えるアイデアの紹介
  3. 授業観察を通じた助言・提案

現在私の赴任先では、理科の実験がほとんど行われていないため、今後挑戦していきたいと考えております。理科の学力向上のためには、実験や観察を通した本質的な理解が欠かせません。
また、私が任地を離れた後も良い影響を残すためには、先生方へのアプローチが必要であると考えます。そのためにも、まずはたくさんコミュニケーションを取って信頼関係を築いていくとともに、日々の授業をしっかりと行っていきたいと思います。