楠根隊員の進路

2020年1月23日

こんにちは。コミュニティ開発隊員としてボツワナ地方部で活動していた楠根です。
ボツワナの皆さまご無沙汰しております。
2019年3月に帰国して市役所の国際交流部門に復職したのち、今はフランス南部の大学院でビジネスを通じた開発を研究しています。
なぜ、地方公務員を辞めて大学院生になっているのか不思議に思われる方もいらっしゃると思うので、将来的に海外協力隊参加を考えている方にも参考となるよう書いてみようと思います。

ボツワナでの活動と進路の選択

ボツワナでの主な活動は、地方の村の女性グループの収入向上のための商品開発や販売を現地の方とともに行っていました。休職前に姉妹都市に派遣された中学生たちに定期的に国際交流イベント情報を送付していたので、ボツワナにいる間、ボツワナでの生活を紹介したメールマガジンを作成し、市役所を通じて中学生たちにも送付してもらっていました。

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任地でのワークショップでの一コマ

活動を通じて市場のニーズにあった商品を製作し、販売することによって収入を得て生活にゆとりが生まれることを目の当たりにして、国際協力とビジネスの関係に興味を持ちました。同時に以前から関心があった国際協力の仕事に従事したいという気持ちが強くなり、そのためにはビジネスの基礎を学びつつ国際協力と企業の関わり合いを研究しようと考えました。また語学力を向上させたいという思いもあり、1年間で修士課程を修了できるという観点から欧州の大学院への留学を決めました。1年間であっても授業を受けつつ研究やインターンシップを行うため、スケジュールは結構詰まっています。

協力隊終了後の進路について考えている皆さんへ

私は大学での専攻はビジネスではなかったので、ビジネスの知識を学ぶために大学院に進学しましたが、国際協力の仕事に就くには、必ずしも修士号が必要なわけではないことを最初にお伝えしたいです。
また、今では大学院で学ぶにあたり多くのメニューがあり、海外留学のほかにも海外大学院のオンラインコース、働きながら日本の大学院で学ぶ等があります。職場によっては、大学院進学のために休職制度を利用できるところもありますので、そちらも検討する余地があると思います。

いずれ将来に留学を考えている方には日本での留学フェアへの参加をお勧めします。私はボツワナから帰国後に日本での留学フェアに参加しましたが(既に1つ大学院を受けた後でした)、非常に有益な情報を効率よく得られました。協力隊に参加する前に留学フェアに行っておけば、もっと選択肢があったかもしれません。

なお、近年日本では地方の国際化が著しく進んでいます。私は地方中核都市の市役所勤務でしたが、いわゆる国際交流部門だけではなくスポーツ、戸籍、市民参画、環境対策など様々な部署で、外国人向け施策やプロジェクトが活発になっています。地方公務員は基本的には数年ごとに部署が変わりますが、今やどの部署に配属されても外国人や国際関係の仕事に携わるチャンスは大いにあります。
2年間の協力隊活動を終えて復職すると、市役所の職場環境は大きく変わっていました。残業や休日出勤がかなり軽減され、「持続可能な開発目標(SDGs)」関連のプロジェクトが立ち上がり、私が協力隊参加前に提案して却下されたフェアトレードをテーマにした市民ミーティングが開催されるなど、率直に申し上げて協力隊参加前に不満に思っていたことが解消され、むしろ新たな仕事の可能性が増えていました。従って、海外協力隊に休職して参加している、あるいは今後現職参加制度を活用して海外協力隊への応募を考えている皆様には、他に挑戦したい具体的なものがない場合には、安易に転退職をすべきではないことをお伝えしたいと思います。

終わりに

私の場合、公務員を辞めることや留学に反対をする人も少なからず周囲にいましたが、国際協力にビジネス分野で関わっていきたいという思いをあきらめきれませんでした。海外協力隊に参加させてもらうために休職を認めてくれた職場には申し訳なかったのですが、協力隊に参加したからこそ新たな人生の方向性が見つかったので、休職と退職を快く認めてくれた職場には感謝をしてもしきれません。
もちろん留学は非常に楽しいことは間違いありません。研究に集中できるこの環境が、今はすごく気に入っています。将来の進路に不安がないといったら嘘になりますが、一度きりの人生、自分の本当にしたいことを仕事にしたいですし、夢への過程も楽しみたいです。ボツワナでの生活と同じくらい、留学生活も一生記念に残る良き想い出となりそうなので、私はこの留学という過程に後悔はしないでしょう。
これを読んでくださった皆さまが、叶えたいことを実現できる進路を選ばれることを、心よりお祈り申し上げます。

2017年度1次隊 楠根 恵理佳

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キャンパス外観

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大学院の授業の様子