子どもたちの学びを深めるために-小学校教育隊員の取り組み-

2020年2月7日

今日はボツワナの各地で活動している青年海外協力隊参加者が、首都のJICA事務所に集まる隊員総会の日です。こうした機会をとらえて、普段は国内各地で算数や理科を教えている小学校教育隊員がボツワナ基礎教育省の担当官に対する活動報告会を開催しました。

ボツワナの小学校教育隊員の多くは日本の小学校を休職して活動していることもあり、授業の質を高めて子どもたちの授業への関心を引き出すプロです。6人の隊員が異なる小学校で異なるアプローチ -掛け算ソングの作曲、そのビデオ制作、計算式のフラッシュカード、チームティーチングなど- の紹介や、これまでの1年前後の活動の経験を担当官らと共有しました。

そのうちのひとり、カニエ村で活動している井上隊員(福岡県教育委員会)の同僚教員であるトメレツォ先生も出席されていたので、お話しをうかがいました。井上隊員は毎日各クラスで30分ほど集中的に児童の掛け算の九九の暗記を確認、記憶力を高めるためにフラッシュカードや手作りの教材を使って九九を覚えられるように指導しているそうです。今では生徒の計算能力が劇的に向上し、学校全体の成績も向上したというのです。

さらにトメレッツォ先生は、井上隊員が活動している絶好の機会を無駄にすることなく、同僚の先生たちにも井上先生の教授法とクラスコントロールの手法を学ぶように勧めています。それは井上隊員のボツワナでの任期がもう間もなく終了し日本に帰国するからです。

普段なかなか小学校の現場での授業を知ることのない基礎教育省担当官からは、今日の報告会を通じて知った青年海外協力隊員の活動に深い感謝の意が示され、今後も持続的な海外協力隊員の派遣に期待が寄せられました。それはボツワナの各県にひとりずつ全員で10人の小学校教育隊員が配置されれば、全国755校の小学校児童の成績が向上することが期待できるからです。

井上隊員が帰国する前に県内の教員を集めた研究授業を実施することと、井上隊員が開発した掛け算ソングをテレビやラジオを通じて普及することも検討されています。カニエ村で子どもたちに愛されている井上隊員を、番組を通じて全国の子どもたちにも届けようとカニエ村の先生たちは考えています。

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