地域の製作者を紹介します。

2020年3月6日

こんにちは。セトゥーニャこと梅村です。今日は私が支援している住民の一人をご紹介します。私が住んでいるレタカネから車で約1時間のところにあるモコバツァネ村のバサディ・カイヤさんです。モコバツァネ村は、住民の約半数がヘレロ族で、彼女もその一人です。彼女は私の配属先であるボテティ郡庁が実施する「貧困撲滅プロジェクト」に参加し、5年前から裁縫に取り組んでいます。

彼女は言います。「私はモコバツァネ村で生まれてから、ずっとこの村で暮らしてきました。この村には雇用機会はないので裁縫を始めるまで仕事は持っておらず、国の援助を受けながら、シングルマザーとして3人の子供を育ててきました。5年前、生活が苦しくて郡庁のソーシャルワーカーに相談したところ、貧困撲滅プロジェクトへの参加を勧められ、母が好きだった裁縫を始めることにしました。郡庁からミシンを支給してもらい、ドレス製作の訓練を受け、一生懸命練習してきましたが、私の住んでいる村ではなかなかドレスが売れません。時々近所の人から洋服の直しの仕事をもらいますが、収入は少ししか得られませんでした」

こうした彼女の状況をどうにかできないかと配属先の同僚から私に相談があったため、観光客向けのお土産品として、南部アフリカ伝統の布「マテイシ」を使った巾着を提案し、彼女とともに製作を開始しました。彼女の家には電気が通っていないため、手動のミシンを使って一つひとつ丁寧に製作していきます。いくつかサンプルを作って、観光地であるマウンのギフトショップのオーナーに見てもらったところ、ボツワナでは巾着が珍しいようで、「ユニークなデザインでとてもキュートだわ」と気に入ってくれました。

現在では複数のギフトショップからオーダーを受けるようになり、売上も徐々に増えています。最初の頃は、私のアドバイスどおりの布を使って製作していましたが、最近では、バサディさん自ら色の組み合わせを工夫して布を選ぶようになりました。また、新商品のバッグのサンプルを作って見せてくれたり、「他の商品も作ってみたいから教えてほしい」と私の住んでいるレタカネ村まで訪ねてきてくれたりと、ものづくりに対してとても意欲的です。「自分で作った商品をたくさんの人に買ってもらえて驚いています。以前よりたくさんのお金を得られるようになって、とても嬉しいです。これからもっとたくさん商品を売って、稼いだお金で家に電気を通したいです」と目標を語るバサディさん。彼女が目標を達成できるよう、今後も支援を継続していきたいです。

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少数民族であるヘレロ族出身のバサディさん。身にまとっているのは、自身で手作りしたヘレロ族伝統のドレス

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手動のミシンで巾着を製作している様子

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南部アフリカ伝統の布「マテイシ」を使った巾着

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モコバツァネ村にあるバサディさんの自宅