算数の授業研究を行いました。

2020年3月17日

今日は首都から80キロメートルほど南西にあるサウス県カニエ村にカニエ教育センターで、小学校教育を担う青年海外協力隊参加者7人が算数の授業研究を行う日です。
サウス県モデル校のロハバ小学校には井上隊員が配属されており、彼女による日本的教授法やクラスコントロールの有効性が、この小学校における学力の伸びにより実証されています。このことから、青年海外協力隊員たちによる日本的教授法やクラスコントロールの経験を現地教員に共有することを目的として、授業研究を行いました。ボツワナの小学生の算数の成績が特に低いため、算数の成績を上げる、教師の指導能力を上げることを目的として、井上隊員は青年海外協力隊員として、ロハバ小学校へ派遣されました。

カニエを中心とした近隣の小学校教員合計30人が集まり、授業研究が始まりました。まずは、井上隊員による3年生と6年生の算数の授業の参観です。今回の授業研究の目的は、現地ボツワナの先生方が井上隊員の日本式授業を見学し、そこから良い点・改善点を学びとり、より多くの先生方に共有しようというものです。
ロハバ小学校3年生の生徒たちに対し、井上隊員は生徒全員の姿勢を正し、集中力を高めてから、授業を始めます。3年生の課題は、掛け算の九九をきちんと覚えること、時計の読み方や、図形の読み方を正確に覚えることです。生徒たちが覚えやすいように掛け算の歌を歌ったり、時計の読み方を書いたわかりやすい教材を見せたりして、井上隊員のアイデアがたくさん盛り込まれた授業を行いました。また、毎回の授業で、生徒たちは掛け算や時計の練習をしています。井上隊員は自作のチェックシートを使って、生徒たちの習熟度も測ります。こうして、生徒たちの算数の成績は実際に上がっています。参加している先生方は、井上隊員の授業の写真を撮ったり、メモを取ったりして、熱心に教え方を見学していました。3年生の授業が終わると、続いて6年生の授業です。6年生の授業も同様に姿勢を正すことから始まり、井上隊員が作成したたくさんの教材を使って、掛け算や分数など、授業がリズムよく進められました。分数では一人ひとりの生徒が練習できるように分数の成り立ちを説明し、問題を解かせていました。解き方がわからない生徒にも丁寧に説明していきます。先生方も歩き回り生徒たちのノートをチェックしたり、授業の様子をメモしたり、熱心に見学していました。

2つの授業が終わると、参観していた先生方は5グループに分かれ、協力隊員が各一人グループに入り、進行役として各授業の良い点・改善点を話し合いました。グループでの話し合いの後、代表者が授業の良かった点・改善点を発表し共有していきます。良かった点には、生徒が楽しみながら覚えられるよう授業が工夫されている、時計や図形の説明がわかりやすいなどでした。また、改善点として、算数の教材をより実生活に結び付けた方がよいことと、既習事項をもう一度確認して授業を進めることなどの意見もあり、各グループの発表内容はどれも鋭く参加した先生たちにとっても多くの気づきがあったようです。また、昔のボツワナも良い授業を行っていたときがあったことなど、現在の教育方法を振り返る良いきっかけになったようです。さらに、改善点の指摘については、各隊員も今後授業を行う上で参考にするべき点でもありました。

最後に、カニエ教育センター代表の方から井上隊員及び他小学校教育隊員によるワークショップが現地教員にとって貴重な機会であったこと、研究授業で学んだことのクラスでの実践を求められました。

今日はボツワナの教員、青年海外協力隊員ともにボツワナの算数教授法について考えを共有し、改善点を話し合うことでこれから何が必要か、改善点及び課題が明確化されたものになりました。

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海外協力隊員による授業研究

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グループ討議でまとめたコメントを記入

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グループ討議の結果を発表

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修了証書を手にした先生たちと海外協力隊員たち