JICAとブラジルのKOBAN

2014年9月10日

ブラジルにも交番(KOBAN)があるのをご存知ですか?

「ブラジル・コスト」の一つといわれる治安問題。サッカーW杯でも、各国からの旅行者がスリや置き引き、強盗の被害に遭ったことが世界中に報道され、試合の勝敗だけでなく治安問題にも焦点が当たっていました。

サンパウロ州の10万人当たり年間殺人件数は、1990年代に50人を超えていましたが、2000年代に入り急減し、2013年には11人まで下がっています。また、サンパウロ市内だけでみると、1999年の10万人当たり殺人件数53人が、2013年には10人まで減少しました。(日本は0.3人)

なぜ、こんなにも殺人件数が減少したのでしょうか。それは、サンパウロ州が進めてきた「地域警察活動」と、その拠点となる「交番(KOBAN)」の効果も理由の1つと言えます。

かつてブラジルの警察は住民から怖がられる存在でした。当時の警察は過度な取り締まりを行い、警察官による暴力や殺人が発生しており、住民は警察に恐怖心を抱き、警察は市民の味方ではなかったのです。このような状況を変えるためにサンパウロ州警察が目を付けたのが日本の交番に代表される「地域警察活動」でした。

地域警察活動とは、地区ごとに設けられた交番に常駐する警察官が、住民と対話協力して信頼関係を築き安全なコミュニティーを築き上げるものです。日本では1874年に最初の交番が設置されました。交番を拠点に地域の商店や家庭を日々巡回する警察官が「お巡りさん」と呼ばれ、100年以上続く制度です。

【画像】

サンパウロの交番で日本の警察官が指導

サンパウロ州警察が導入した交番制度を強化するために、ブラジル政府の要請に基づきJICAは2000年、日本の警察官をサンパウロ州警察に派遣しました。欧米諸国の制度と比較しても、日本の地域警察制度は経験豊富で、ブラジルに最も適しているとサンパウロ州警察が判断したからです。

JICAは、2005年からより規模の大きいプロジェクト(日本人警察官のブラジル派遣、ブラジル人警察官の日本での研修、機材供与を組み合わせる)を6年間実施しました。その結果、サンパウロ州に加えミナスジェライス州など12州に交番を拠点とした地域警察活動が導入されました。210箇所で設置された交番の中には、警官が柔道やカポエラの講師となり青少年の非行を防止したり、サッカーW杯の試合のパブリックビューイングをする交番もあります。

【画像】

ミナスジェライス州にある交番(住民向け広報掲示板も設置)

また、ブラジル政府は日本の協力で得た「地域警察活動」のノウハウを、治安が悪化しているホンジュラスやエルサルバドルなど中米諸国に普及する研修をJICAとともに行っています。

さらに、ブラジル政府は、いまだ犯罪発生率が高い北東部やアマゾン地域など全国的に交番制度を拡充する新たなプロジェクトを日本の支援を受けて2014年に開始します。

ご関心を持たれた方はJICAサンパウロ民間連携班まで(brsp_oso_rep@jica.go.jp