水資源の適切な確保に向けて/JICAによる上下水道セクターへの支援

2010年8月18日

JICAがこれまでブラジルにおいて支援してきた主要分野には上下水道セクターがあります。私たちは非常に多くの水資源を必要としており、私たちが消費する食料品が生産されるまでに必要とされる水を試算した仮想水(バーチャルウォーター)の考えによれば、例えばハンバーガーの材料となる小麦や肉の生産に、ハンバーガー1個あたり1000リットル、ビール大ジョッキには100リットルの水が必要となっています。ブラジルは豊富な水資源を有していますが、持続低な経済成長を支える上で、生活用水のみならず、工業及び農業用水の適切な確保も必要となります。

経済成長と水使用量には強い正の相関関係があります。今後、世界の人口増加、経済発展による生活様式の変化により、世界の水使用量は1995年比で2025年には農業用水は27%、工業用水は55%、生活用水は82%増加すると予測されています。

【グラフ】

特に成長著しい開発途上国の経済成長は、生活様式や食生活の変化も促し、水ストレス比(水資源腑存量に対する取水量)を高め、2025年までに40億以上の人々が水不足に直面すると考えられています。こうしたことから、今後、上水供給、海水淡水化などの造水、下水処理、再生水利用などの必要性が高まるとともに、これら水ビジネスへの関心が高まっています。

日本政府の試算によれば、世界の水ビジネス市場は、2007年の36兆円(3600億ドル)から2025年には87兆円(8700億ドル)に拡大すると見られています。上水や下水処理は市場規模が大きく、海水淡水化や工業用水、再利用水は市場の成長率が高い分野です。

しかしながら、これら水市場への投資を促進する上で開発途上国では様々なボトルネックが存在しています。一般に開発途上国の水道事業では、インフラの不足、貧弱な供給サービス、経営能力の不足が、相関する悪循環となっています。これらのボトルネックを解消することが、持続性のある水道事業を達成し、民間投資等の水ビジネスを支える上で不可欠となります。水道事業は公社の財務改革の取り組みも含めて持続的となりますが、他方、初期投資には市場からの資金調達だけでは十分にフィージブルではない場合が多いのも事実です。JICAは譲許的な条件で円借款を供与し、持続的な上下水道サービスを支援しています。

JICA全体では、2009財政年度で60件のプロジェクトに対する総額96.8億ドルの借款を承諾し、そのうち20%が上下水道セクターに向けられました。ブラジルにおいても、サンパウロ州、リオデジャネイロ州、パラナ州、バイア州を初め、多数の資金協力とともに、日本人専門家の派遣や日本における招聘研修事業を通じて、水道事業体の組織能力の強化も支援し、開発効果の向上を図っています。

JICAブラジル事務所
江口 雅之