子供の日の地域警察

2010年11月10日

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イベントの様子

ブラジルでは10月に子供の日があるのですが、サンパウロ州軍警察(PMESP)の交番のいくつかは、毎年、子供たちが楽しむためのイベントとプレゼントを準備します。そんな交番のひとつにサンパウロ市最東部のジャルジン・マイヤ交番があります。

今年のイベントは10月9日に実施されたのですが、交番内には多くの子供たちが入ることができません。そこで、交番の周辺にあるバチスタ教会にてイベントが実施されました。ジャルジン・マイヤ交番の責任者であるホベルト・アザリア・ジャッキス巡査部長が運営指揮をとり、イベント前日までに1,500人の子供たちの参加が予定されていました。しかし、当日は約2,000人の子供たちがイベントに参加しました。子供たちの多くは交番の近所あるいは周辺地域に住んでいるのですが、この地域は毎年夏に訪れる雨季には洪水が発生し、生活必需品等が不足します。このような活動内容は社会福祉的面を持っており、設立された交番と周辺住民の交流を図る良い方法のひとつとして、警察自身によって選ばれました。

PMESPは日本の地域警察の交番システム及び技術を導入するために、2005年にJICA及び日本の警察庁と共に技術協力プロジェクトを開始しました。2008年には後続の新たなプロジェクトが開始し、法務省国家公安局(SENASP)やブラジル外務省の機関であるブラジル協力庁(ABC)などの新しいパートナーを巻き込み2011年まで実施される予定です。

住宅への訪問や安全キャンペーンに、より力を入れている日本の警察ではこのような社会的活動は一般的ではないのですが、ブラジルの警察官はイベントやチャリティ活動にも積極的に参加しています。

プロジェクト活動の一環として、ジャルジン・マイヤ交番を含むサンパウロ市内の交番は日本の警察から短期専門家の訪問を受けました。当時この交番では雨季に洪水になった地域の住民のために、衣料の寄付活動を行っており、8月末に交番を訪問した曽野専門家からも、サンパウロで使用した衣類の寄付をしていただきました。同氏はこれらの衣料品を手洗いしたそうで、交番のイニシアティブに貢献したかったそうです。衣料品寄付キャンペーンや子供の日のイベントを通じて交番は地域コミュニティーと交流を持ち、住民に尊敬される良好な信頼関係を築いています。これは地域警察の理念の中で重要な要素でもあります。

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準備の様子

警察官たちは子供の日のイベントのために、何週間も前から準備を始めました。玩具の寄付、イベント当日に子供たちが遊ぶためのボールプールやトランポリンなどを提供してくれる協賛者探し、アイスクリームやポップコーン、サンドイッチの材料寄付集め、教会や安全委員会あるいは地域コミュニティーのボランティアの運営管理などです。当日に足りないものがないように、地域コミュニティーは寛大な寄付や参加をしてくれました。

地域警察ベースでは、警察の不正行為に関して疑問をもたれないよう、現金での寄付を決して受けとらなかったとジャッケス巡査部長は述べました。ある商店はイベントに巨額の現金を寄付したがったそうですが、ジャッケス巡査部長は、現金の代わりに寄付したい額の物資を買ってもらうよう依頼をしたそうです。

巡査部長はこどもの日の準備のためなら、週末などの時間外での作業も気にならなかったそうです。なぜなら、これらの子供たちはサンドイッチや、甘い物、アイスクリームなどを食べ、ボールプールやトランポリンで遊び、おもちゃをお土産に持って帰れるようなイベントに今まで参加する機会などなかったからです。「だからこそ、このようなイベントを実施する意味があるのです」と巡査部長はコメントをしました。

ジャッケス巡査部長の情熱は、ボランティアのメンバーの目にもはっきりと映っています。ボランティアの一人は「巡査部長は子供たちにとても注意を払ってくれるし、優しいです。子供たちの中に入るとまるでもう一人子供が増えたみたい。」とサンドイッチを作りながらそうコメントしました。

このようなイベントの実施には多くの人びとの協力が不可欠ですが、その満足感から準備の苦労が報われました。巡査部長は「疲れが取れるのに3日はかかるよ。」とイベントの成功後、子供たちへの対応で笑顔みせながらそう述べました。

JICAサンパウロ支所
川野 カルメン