モザンビーク国におけるフォローアップ協力 −「消防・救助技術」研修

2010年12月23日

日本・ブラジル・パートナーシップ・プログラム(JBPP)の枠組みにおいて、日伯合同フォローアップ(FU)協力「対モザンビーク消防・救助技術研修」が実施されました。

当FU協力は、2005年から2009年の間に実施された第三国研修に参加したモザンビーク人帰国研修員より要請があったもので、JICA、リオ・グランデ・ド・スール州消防隊(BMRS)とブラジル国際協力庁(ABC)の協力のもと、JICAのFU協力事業として実施されることとなりました。研修の主な目的は、ブラジルの消防・救助技術と知識をモザンビーク全国公共救助サービス(SENSAP(注))を通じモザンビークの消防隊に移転することで、BMRSの専門家が講師となり、2010年10月から12月にかけてSENSAPに対する研修を実施しました。併せて、消防・救助のための機材供与や緊急時における機材の正しい使い方に関する指導などが行われました。

(注)モザンビーク消防隊を前身とするSENSAPは、モザンビークの消防・防災活動を統合的に実施し、安全及び公共福祉の保障を提供することを目的とし2009年に設立されました。

FU研修要請の背景と成果

モザンビークではサイクロンや洪水といった自然災害を起因とした被害がしばしば発生します。また、火災や交通事故等の人災も近年数多く発生していますが、これらは首都マプトの経済成長や人口増加に起因するものであると考えられています。モザンビーク政府は、これらの状況を改善させるため、ブラジル政府及び日本政府に対し、自国の消防隊の技術やオペレーションを向上させるための研修を申請しました。研修の実施により、住民に効率的にサービスを提供できるようになることも期待されました。

BMRSからは2名の大尉 —クラウディオ・モライス・ソアレス・ジューニオル(Cláudio Morais Soares Júnior)大尉とジョアゥン・バチスタ・ダ・ホーザ・ヌーネス(João Batista da Rosa Nunes)大尉— がモザンビークに派遣され、モザンビーク人消防士に対して講義と実習を行いました。

ブラジルに帰国後、大尉はモザンビークにおける消防・救助活動について報告しました。

ジョアゥン・バチスタ・ダ・ホーザ・ヌーネス大尉は、「モザンビークの消防士は、理論的・実践的な研修の他、救助技術と機材の使い方に関する知識を深める必要があります。また、住民は、救助の効率的な技術とグッド・プラクティスを知る必要があります。住民の理解は、結果としてモザンビークの消防隊強化に寄与することになるでしょう」と報告しました。

クラウディオ・モライス・ソアレス・ジューニオル大尉は、「SENSAPの人材養成に、より強いモチベーションがあれば、サービスは効果的になり、救急・救助時に住民は信頼感を持ち、結果的には被害者を救助する確立が高くなるはずです」と報告しました。

JICAは、人材育成と組織強化が、消防・救助活動の向上に不可欠であると確信しています。

今後の活動

研修実施期間に行なわれたBMRSの専門家の提言を受け、SENSAPの理事会は水難救助に係る研修を実現するためJICAモザンビーク事務所と在マプトブラジル国大使館と交渉を始めました。モザンビークには長い海岸線があるにも関わらず、水難事故時の人命救助を専門とする消防士が不足しています。JICA・ABC・BMRSは当該分野における研修を2011年に実現すべく、関係者間で調整を進め、2月上旬よりモザンビーク初の海難救助研修が開始されることになりました。

リオ・グランデ・ド・スール州消防隊の歴史

BMRSとJICAとの関係は、1990年代に日本で実施されたJICA集団研修「消防・救助技術コース」にBMRSの消防士が参加したことから始まりました。BMRSの消防士14名が研修を受けたことにより、リオ・グランデ・ド・スール州における救急、救助、救援サービス提供に非常に良い影響があったといいます。BMRSは、「ボランティア・システム」(消防団)と「研修モジュール」といった日本のモデルを採用しました。BMRSは、総司令官のリーダーシップの下、標準技術を確立、新たな訓練を取り入れ、習得した技術を通常業務で実行することで地域社会によりよいサービスを提供できるようになりました。

2005年に、JICA、ABCとBMRSは、第三国研修「消防・救助技術コース」を実施するための合意書を締結しました。コースは救出・救助分野における能力を向上させるための技術的知識を提供する目的で、中南米アメリカ・カリブ地域及びポルトガル語圏アジア・アフリカ諸国の約60名の人材を育成しました。

そして当該研修に参加したモザンビーク人帰国研修員の申請により、上記のフォローアッププロジェクトが実施されました。