ラパス北部小規模農家支援のための日伯パートナーシッププログラム(JBPP)の共同プロジェクト −ボリビアのラパス県北部におけるカカオの生産ネットワークに関する分析

2011年4月4日

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サンブエナベントゥーラ市のPANLAP事務所。グループによる計画のための会議

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コミュニティーの農家がCEPLACの専門家から技術指導を受けます

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アルト・サタリアプコミュニティーの農家とCAMTA、CEPLACの専門家の会談

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べラ・アルトゥーラのコミュニティーの農家が剪定作業に関する指導を受けます

ボリビアのラパス県北部は、貧困率が平均で87.13%(2001年、国立統計院)に達するほどの国内でも最貧困地域の1つです。そのことを考慮して、ボリビア政府は、農村開発・土地省を通じて、JICAブラジル事務所の協力の下、ラパス北部の小規模農家の生活水準を上げるために、付加価値型の森林農業プロジェクトを現在同国で展開しています。PANLAPとして知られる同プロジェクトは、プロジェクト対象農家の収入を増やす目的の下に、カカオの生産ネットワークを強化するほか、米の品質と生産能力の向上を保証する目的で、米生産者と技術指導者の能力の向上をその基本戦略としています。JICAボリビア事務所は、カカオ生産に関して多くの経験を蓄積してきたブラジルに、日伯パートナーシッププログラム(JBPP)への支援を要請しました。

PANLAPの対象地域はラパス県のアマゾン地方に位置するサンブエナベントゥーラ市とイクシマス市です。カカオ試験公社(CEPLAC−農務省)、トメアスー総合農業協同組合(CAMTA)、JICAブラジル事務所の代表者から構成される、日伯パートナーシッププログラム(JBPP)の共同プロジェクトが、2カ所の対象地域におけるカカオの生産ネットワークの現状を評価する目的で、2011年2月16日から26日まで実施されました。

第1グループは、PANLAPの対象地域であるアベル・イトゥラルデ郡を訪問し、サンブエナベントゥーラ市、トゥムパサ市、イクシマス市をつなぐ道路沿いに位置するコミュニティーの生産者達をインタビューしました。訪問した農家は、米・とうもろこし・バナナ・カカオの栽培で収入を得ています。世帯収入の向上のために、彼らはマディディ国立公園の果物の収穫、自然林の伐採といった仕事に従事したり、地元やブラジルの製材所で働いたりしています。女性たちは訪問した多くの地域でその指導力を発揮しており、カカオ栽培において重要な役割を果たしていました。

第2グループは、地域のカカオ生産ネットワークの仕組みを理解するために、アルト・ベニ地域を訪問しました。そこにはELCEIBOと命名された、カカオ生産者で構成された76の協同組合を統括する協同組合の本部があります。第2グループの報告によれば、ELCEIBOは会員の生産者に対して技術的・社会的支援をする非常に発達した組織で、カカオ生産の向上のための研究を奨励しています。アルト・ベニ地域の農家はアベル・イトゥラルデ郡と同様に、森林農業システムの技術を利用してカカオを生産しています。また、ELCEIBOは国内・海外市場向けの有機チョコレート、無機チョコレートの新商品を開発し、日本、ドイツ、フランスへ輸出しています。

2つのグループがサンブエナベントゥーラ市にあるPANLAPの事務所に戻ってきた後、プロジェクトに関わったブラジル人専門家、ボリビア人技術者達は、訪問した2つの地域における現状の比較分析を行うために討論を行いました。得られた情報をベースに描いた問題点の樹形図によれば、アベル・イトゥハルデ郡における生産ネットワークの主な問題は、カカオ栽培地域の低い生産性にあります。当地域に普及した種子の品質の低さ、栽培地域における種子普及のための計画の欠如といった様々な技術的要因が、現在の状況を引き起こした原因として特定され、授粉における欠陥や単為結果の果実(ほとんど種がない異常果実)の生産という結果をもたらしています。刈りこみ作業不足も確認されたほか、最も古い栽培地域には背丈の高い木のために、カカオへの日照時間が過度に少ないという条件も加わっていました。

これらの既得情報から、ブラジル人専門家はボリビア人技術者と一緒に、接ぎ木という方法と統合的な作業を通じて、まず既存の栽培地域の再建の方法論の確立を目指して、活動計画を立てました。同時に、チームは新規開拓地域においては、背丈の低いカカオ栽培のために、森林農業システムという最新技術を採用します。同実験プロジェクトは、将来的にアベル・イトゥハルデ郡の他のコミュニティーでも普及できる栽培方法を確立するために、実験農場で実施されます。

カカオ栽培に関する技術情報の移転は、専門家が訪問した全コミュニティーで行っており、日伯パートナーシッププログラムの他の共同プロジェクトと比較して、そのプロジェクトの性格において異なる特徴を強く印象付けました。カカオの栽培地域の非生産性、農家の情報不足、訪問したコミュニティーの高い貧困水準、及びその生活状態を踏まえ、ブラジル人専門家は生活向上に向けてプロジェクト実施を技術的に支援することを表明しました。PANLAPプロジェクトの中のカカオ栽培に対する日伯パートナーシッププログラムによる支援の具体的内容の正式決定に向けて、JICAブラジル事務所、ボリビア事務所、ブラジル国際協力庁(ABC)の間での話し合いが進行中で、同プロジェクトの開始に向けた協定が間もなく締結される事が期待されています。

JICAブラジル事務所
カチュッサ ベイガ