調査団が「交番システムに基づく地域警察活動普及」プロジェクトを評価する

2011年8月1日

2011年7月、最終段階にある「交番システムに基づく地域警察活動普及」プロジェクトを、JICAの調査団が評価しました。

本プロジェクトは2008年11月に3年間の予定で開始されました。日本の警視庁の協力の下に、2005年から2008年にサンパウロ州軍警察(PMESP)が実施した「地域警察活動」プロジェクトの後継プロジェクトです。当時、交番としても知られたサンパウロ州軍警察の地域の治安施設に、日本の交番システムを適応させるよう努めました。具体的には、住宅・商店への巡回、住人の登録、治安に関するお知らせとアドバイスが掲載された小冊子の定期的な配布、治安施設のレポートと資料の準備・作成といった日本の警察の標準的な手順や特徴的な活動を、サンパウロ州で実施しました。それらすべては、警察官が活動地域に関してより知識を深め、住人の身近にいることで、住人と一緒に治安問題に取り組むための取り組みでした。

今年11月に終了する予定の当プロジェクトは、ブラジル国内の他の12州に対して、サンパウロ州軍警察の経験を普及・共有するだけでなく、サンパウロ州における地域警察活動の交番システムを強化・普及することを目的としています。その目的を達成するために実施した活動の1つが、同プロジェクトに参加している州の軍警察官向けにサンパウロで行われた交番システムに関する国際研修コースの実施です。同コースには、中南米の国々からの警察官も参加しており、国際色豊かな研修となりました。国家公共保安局(SENASP)、法務省、ブラジル国際協力庁(ABC)、外務省が、同プロジェクトの主要なカウンターパート機関です。

その他、同プロジェクトの活動としては、日本の警察署からの短期専門家が派遣され、国際研修コースの講演で意見を述べたほか、同プロジェクトに参加する12州のうち既に8州で指導しました。さらに、サンパウロ州の警察官も含めて、合計56名のブラジル人軍警察官が日本に派遣され、日本の地域警察活動に関する研修に参加しました。

調査団は、上述の活動のほかにも、他の活動や同プロジェクトの成果を評価したほか、証拠資料を検討したり、地域の治安施設やモジ・ダス・クルーゼス市ピンドラマ地区の駐在所(職場であると同時に、担当の警察官が家族と居住する地域の治安維持施設)を視察したり、プロジェクトのコーディネーター、関係当局、治安施設の隊長、地域のリーダー達と話し合いを持ちました。

評価の過程を通じて、治安施設がある地域の住民と絶大な信頼関係を築いた警察官たちの努力、熱意、協力体制と、サンパウロ州軍警察の指揮に関する強い責任感のおかげで、サンパウロ州において同プロジェクトが大きな成果をあげたことを確認することができました。日本の警察から派遣された専門家達が他州へ訪問した際には、マスコミに取り上げられて地域警察活動がより多くの市民に周知されたほか、現地の警察官の疑問を解消し、おおいに刺激になったため、非常に有意義なものとなりました。また、日本での本邦研修は参加した警察官達にとって、やる気を起こさせる要因となっていることが認識されています。本邦研修の参加者は日本の交番システムの現場の活動状況を視察した後、地元の州に戻ってから、その経験を同僚に伝えています。

サンパウロ州の犯罪件数が70%減少したことに貢献した要因の1つとして、本プロジェクトによる交番システムの導入・定着をあげることもできます。その他、ブラジルの経験を踏まえて、中央アメリカの国々(最初はコスタリカ、エルサルバトル、グアテマラ)に今後交番システムを普及する計画が進んでいることも成果の一つです。このように、JICAとブラジルのカウンターパート機関は、地域警察活動の交番システムの導入を通じ、国内外の治安改善に向けて取り組んでいます。

JICAブラジル事務所
川野カルメン