ブラジルとの国際協力の新しい社会背景

2011年8月1日

6月9日、6つの国際協力機関の代表とブラジルとの三角協力の活動を行っている国々の大使館からの代表者がJICAブラジル事務所を訪問しました。「ブラジルとの三角協力:経験の共有、将来の展望と挑戦」というタイトルの下、会議では協力の枠組み、ビジョン及び戦略を共有するとともに、まだ新しく、ここ数年成長著しいこの分野において、直面している課題について議論しました。同会議の目的は、各機関間の交流のための意見交換の場を提供することです。会議には、JICAのほか、ブラジル国際協力庁(ABC)、ドイツ国際協力公社(GIZ)、スペイン国際開発協力機構(AECID)、米国国際開発庁(USAID)、英国国際開発省(DFID)、フランス大使館が参加しました。

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各機関の三角協力の活動に関する発表の後、フリーディスカッションが開始されました。討論のテーマは、以下の通りです。

  • 1)三角協力を促進する二国間協力の実施戦略
  • 2)三角協力と他事業との連携戦略
  • 3)他の協力機関との三角協力の実施状況

三角協力の概念が、二国間協力、南南協力、南北協力と比較される形式で議論されました。三角協力は最も経験豊富な実施国であっても常にその改善、相手国との対話が要求される外交的挑戦でもあります。幅広く受け入れられ普及した定義がないため、各国が三角協力の特性と基準を規定することが必要です。ブラジルとの三角協力の目標は、各国の協力に関する政策、運営組織、第三国の要望に応える能力と財政資源の有無だけでなく、ブラジルと各国の間に確立された両国の関係によっても変わります。討議では、以下の点にも議論が及びました。

  • 二国間の代わりに三国間で協力を実施することの付加価値
  • この新しい協力の枠組みを支援する関係機関における既存の組織と政策
  • 受益国としてだけでなく、協力の援助国としての新興国ブラジルの認知

三角協力のための法制度の未整備は、いくつかの機関にとっては最大の課題の1つとなっています。従って、ブラジルが各協力機関と持った個別の関係と各事業の特殊性を無視することなく、ブラジルとの三角協力の取り組み方を体系化するためには、過去の成功例を活用すべきです。

日本の国際協力の歴史は、被援助国が援助国になりうることを実践しています。第2次世界大戦から復興中の1958年に他国への技術援助を始めたことで、日本は技術協力のパイオニアとして認知されています。従って、協力の効率と効果を上げるために、1975年に三角協力を開始した時、日本は技術協力の一部として南南協力を取り入れました。開発援助における先進国の経験に加え、被援助国と類似した状況の援助国の経験を活用することで、柔軟性のある三角協力が実施できるとJICAは認識しています。すなわち国際協力とは、他の発展途上国の発展に貢献しようとする中進国からも、起きるものなのです。

日本はブラジルを国際協力の重要なパートナーとしてみなしています。農業・保健・医療サービス・環境・職業訓練といった分野における国際開発のための強力なパートナーシップは、50年間の両国の歴史に由来しています。日本とブラジル政府が2000年に「日伯パートナーシッププログラム(JBPP)」の協定に署名して以来、JICAとABCは共同実施のための協力政策を規定することになりました。同協定は、共同プロジェクト、第三国研修(TCTP)、共同セミナーという協力の枠組みを促進する要因となっています。共同プロジェクトの中では、「三角協力によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発プロジェクト(ProSAVANA)」、「アンゴラ保健システム強化プログラム(ProFORSA)」、「アンゴラ建築業における職業訓練プログラム(ProMOCC)」等のプロジェクトを実施しています。JICAブラジル事務所は、プロジェクトの全段階において各協力機関の積極的な関与と合意を得るべく、横断的な三角協力の枠組みを常に提案しています。

ABCは各協力機関と似通った手順に直面していることから、各機関の間のその主導的役割に対し、感謝の意を表明しています。ABCのウォフシ・ユリ・デ・ソウザ課長は、ブラジルの三角協力の規模の拡大に対応するため、その手順の体系化に向けた対話を、すべての機関が継続して行っていくことが必要と述べました。

三角協力が今後も更に発展する潜在能力を有していることは参加者の大多数が認識するところです。芳賀克彦JICAブラジル所長は、全参加者に感謝の意を表するとともに、将来の活動計画を準備するに際し、JICAブラジル事務所が常に協力することを表明し、有益な対話を今後も継続していく重要性を強調した上で、会議を閉会しました。

JICAブラジル事務所三角協力班
カリナ・アレンカール