ブラジルにおける和太鼓の今とこれから

2011年9月14日

《2008年6月21日、ブラジル国サンパウロ市において、「ブラジル日本移民100周年記念式典」が開催された。式典会場には皇太子殿下を始め、日本・ブラジル両政府関係者、日系人ら約3万7千人が参加した。また式典では、法被を着た1200人余りの子どもたちによる迫力あるブラジル和太鼓「千人太鼓」が盛大に披露されたが、取り仕切ったのは、蓑輪敏泰日系社会シニア・ボランティア(平成19年度派遣)であった。》

前回の派遣から2年、ブラジル日系社会からの熱い要望を受け、平成23年度派遣日系社会シニア・ボランティアとして、蓑輪敏泰氏が再びブラジルで和太鼓の指導をすることになりました。

蓑輪氏が審査委員長を務めた「第8回ブラジル太鼓選手権大会」では、震災復興を祈り作曲した「槌音(つちおと)」が課題曲として演奏され、聴衆の感動を呼びました。

シニアから、ブラジルにおける和太鼓の状況についてご寄稿頂きましたので、ここに紹介させていただきます。

「一系乱れぬド追力の1000人太鼓」2008年6月、ブラジルの邦字新聞が、ブラジル・日本移民100周年記念行事での1000人打ち(実際は1187人)太鼓を、このような見出しで書きたてました。

それから3年、また、ブラジルに和太鼓が導入されて9年。

現況とこれからを先日(7月31日)行われた、チャンピオン大会から拾ってみます。

ジュニア、リブレ(フリー)、マスター(45才以上)、大太鼓の4部門で競われましたが、特にジュニアは優勝すると、来年3月群馬県で開催される「第14回日本太鼓ジュニアコンクール」に出場できるとあって、演奏、応援ともにすごい熱気を感じました。ただ、勝ちたい、優勝したい、の気持ちが先行し、チャンピオン大会に相応しくない演奏もいくつか見られました。

1)和太鼓は「音」と「振り」つまり「耳」と「目」で感じとる芸能ですが、いくつかのチームは「振り」を重視する余り、自分の太鼓を離れてアクロバット的パフォーマンズを入れたり、バチ投げ(2者間で)があったり、踊りに凝ったり「ソロ」打ちの音を周りの音や動きで際立たせなくさせたり、といった演奏が見られた。

2)笛、腰鼓(肩からかけ腰の位置で打つ)、ほら貝、ドラなど楽器の種類が増えることはいいとして、残念ながら、十分な練習を積まず目新しさだけで曲の中にとり入れているのは評価を下げてしまう。

3)かけ声、気合は曲想に応じて適所に入れる分には効果的だが、寄声に近い声、意味の伝わらない日本語、多過ぎるかけ声、気合いは雑音にしか聞こえない時もある。

4)竹バチや早いリズムの多用で2枚皮の和太鼓の持つ音の良さを出せていない演奏がみられた。

5)一人や二人のレベルの高い者のソロが長時間続くのは好ましくない。全員で力を合わせた演奏を作りあげてほしい。

課題曲「槌音」は曲にテンポの変化があり難しかったが、途中で「がんばれ!日本!」の声は大きく、強く、うれしく感じられました。

このようにまだまだ「和太鼓道」の入口に立ったばかりのような、ブラジルの和太鼓を感じ、日本から指導者が途絶えた場合、早いリズムのサンバ調へと流れ、2枚皮の和太鼓の持つ「響き」「轟き」「残響」「余韻」といった良さが失われないかと危惧されます。

和太鼓の「和」の定着には「時間がかかるな!」と感じた大会でした。

2011年度派遣 日系社会シニア・ボランティア
文化/和太鼓指導
蓑輪 敏泰