所長あいさつ

「ブルキナファソ」という個性的な国名は、現地の言語で「高潔な人々の国」を意味します。この国に住む人々はその名前のとおり、真面目で勤勉な人々が多く、チャンスを掴めば大きく飛躍する可能性を秘めた魅力ある国です。

しかし、サハラ砂漠の「周縁」を意味するサヘル地域に位置するブルキナファソは厳しい自然環境に晒されており、そこから派生する数々の脆弱性に直面しています。第1に、食糧供給の脆弱性です。旱魃と洪水が交互に生じる不安定な自然環境の下、食糧生産も不安定とならざるを得ません。

第2に、マクロ経済の脆弱性です。ブルキナファソ経済では、金、綿花といった第一次産品が輸出の80%近くを占めるとともに、輸入全体の30%を石油が占めるなど、国際市場の動向に影響を受けやすい不安定なマクロ経済構造となっています。また、ブルキナファソはすべての国境が陸続きの内陸国です。海外で生産された製品の多くは沿岸国から陸路で輸送されるためにコストが高く、逆にブルキナファソで生産した輸出産品は輸送コストが上乗せされるため価格競争に負けてしまいます。内陸国であることは貿易振興を図る上で大きな制約なのです。

第3に、民主主義の脆弱性です。近隣国の中には、厳しい自然環境に起因する貧困や貧富の格差のために、政治的に不安定な国が少なくありません。隣国マリ共和国やコートジボワール共和国などで発生した民主主義の危機に対し、ブルキナファソ政府は関係者の対話促進のために外交努力を重ねてきましたが、これも隣国の安定がブルキナファソの安定につながるという地政学的な配慮が働いた結果ともいえましょう。

これら様々な脆弱性に直面するブルキナファソに対し、JICAは、2000年に開始した青年海外協力隊の派遣を契機とし、2006年には事務所を開設するなど本格的な支援を開始しました。現在は、1)国民経済の基盤となる農業生産の振興・多様化、2)地域安定化、貿易活性化を図るための地域統合の推進、3)あらゆる経済社会活動の基盤となる人材の育成、を重点分野とし、ブルキナファソ政府と協力しながら様々な支援を行っています。

JICAとしては、ブルキナファソの置かれた厳しい環境に深い共感を示しつつ、ブルキナファソ国民1人1人が直面する困難を乗り越え、長期的な繁栄の基盤を築いていく力を身につけられるような長期的な視点に立った支援の実施を心掛けています。

JICAが行うこれらの支援は、「平和で安定した国際社会の形成」という日本が今後も豊かさを享受する上で不可欠な国際公共財を形成するものであり、能動的に取り組みうる国際社会への重要な貢献のひとつであると確信しています。

JICAブルキナファソ事務所は、関係者一丸となって、日本から遠く離れたブルキナファソという国で、日本国民とブルキナファソ国民が共感し合い、ともに未来を築いていくというチャレンジングなミッションに、引き続き誇りを持って取り組んでまいりたいと思います。

JICAブルキナファソ事務所長
小林 丈通