ブルキナ空手家への最後のエール

2016年6月14日

ブルキナファソでは、スポーツ活動を通して心身ともに健全な青少年を育成することを目標に、JICAはこれまで野球、バレーボール、柔道、空手といった活動を支援するボランティアを派遣してきています。2014年7月に空手活動のためにクドゥグ市役所に配属された谷中俊平隊員(H26-1青少年活動)もその一人。6月に任期満了を控えた同隊員は、大会の開催により、2年間の活動成果をアピールすると同時に、自分が関わってきた空手家たちの今後の活躍を祈念しました。以下、同隊員からの報告記事です。

きっかけは、4月に私の任地であるクドゥグの隣町レオで開催した空手の大会後、クドゥグ市内でも大会を行ってはどうかと言うクドゥグ知事(当時市長代理を兼務)からの打診でした。クドゥグとレオ市内の空手道場に伝えたところ、参加・協力に快諾が得られ、5月14日に私の配属先であるクドゥグ市役所で空手大会を開催することが決まりました。

【画像】

初心者の形を見守る甲斐隊員

当国では初心者が出場できる大会がないため、大会前は初心者(白、黄帯等)そっちのけで練習が行われ、それで辞めていく者が後を絶たないと聞きます。また、昨年末からブルキナファソ空手道連盟は活動停止中で、毎年二、三回開催されていた国内大会も今年は開催されていないことから、今は有段者までもモチベーションを失くして道場を離れていっているとのことです。これらの話を聞いて、今回の大会の競技者は初心者のみとし、有段者には審判と形のデモンストレーションをお願いすることに決めました。

【画像】

有段者のデモンストレーションを観る谷中隊員

大会当日は、知事や市役所関係者の協力によりテント二張りと椅子約百脚、武道用のマットが用意され、会場となる市役所前のスペースに並べられました。ところが、道行く人々は遠くから何が行われるのか好奇の目でこちらを観察しているのですが、なかなか近くに寄ってくれません。しかし、余興のためにと呼んだクドゥグのコメディアン三人のアトラクティブな演技の結果、たちまちテントや通りの反対側に多くの観客(400人強)が詰めかけ、これにより出場選手たちの緊張も高まりました。その影響か、形でミスをしたり、組手で力が入りすぎて反則を連発する選手たちもいましたが、初心者も有段者も一貫して真剣なパフォーマンスを繰り広げ、怪我人を出さずに競技プログラムを終えることが出来ました。

【画像】

隊員同士の一騎打ち

今大会には、首都ワガドゥグで活動をするもう一人の空手隊員、甲斐義弘隊員(H26-1青少年活動)が教え子と共に参加したことから、プログラム最後には隊員同士の対戦を組みました。初めて目にする本場日本の空手家の一騎打ちにその場は一層盛り上がり、白熱した勝負は延長戦まで続きました。

大会後、「初心者の大会で参加者も多くなかったけど、自分もメダルを取ることが出来た」と話す生徒たちの表情から、メダルと一緒に手に入れた自信や達成感を垣間見ることができました。当日の様子が国内の主要新聞三社の紙面で大きく取り上げられたことも、きっと彼らの誇りとなったでしょう。私はもうすぐ離任しますが、彼らにとって今回の経験が日々の練習を続ける励みになることを祈ります。また、2020年の東京オリンピックでブルキナの空手家と再会を果たすため、私自身もこれまで以上に精進していく所存です。