JICA・プノンペン都・地域住民が協力 −第三次プノンペン市洪水防御・排水改善計画プロジェクト

2013年10月28日

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雨季にはいまだに多くの場所が水びたしになるプノンペン都内
(2013年10月撮影)

毎年5月〜10月末頃まで続く、カンボジアの雨季。

雨季の降雨量に加え、カンボジアの首都・プノンペンでは、都市人口の増加に伴い排水量も増加しています。しかし、プノンペン都内の排水路や下水道の殆どは内戦直後には老朽化・荒廃化が進み、定期的な清掃も殆どされていないため、雨季には25万〜30万人の都民が家屋の浸水や道路の水没などの被害を受けています。

プノンペン市洪水防御・排水改善計画 フェーズ1・2

このようなプノンペンの洪水防御・排水システムを改善すべく、JICAは1999年に「プノンペン市都市排水・洪水対策計画調査」を実施し、マスタープランを作成。これに基づき、2001年より無償資金協力事業「プノンペン市洪水防御・排水改善計画」が開始されました。

フェーズ1・2では、主にプノンペン南西・北東地域での、堤防強化・市内幹線排水路の改修、ポンプ排水施設などの更新、大型貯水槽の建設などを支援し、対象地域の洪水被害が大幅に軽減されました。

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フェーズII対象地域

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リバーサイドの遊歩道沿いのレクリエーション広場の下に建設された大型貯水槽(フェーズII)

フェーズ3:プノンペン南東部を中心に 排水管の新設と維持管理の強化

2012年から開始されたフェーズ3では、南東部を中心に、20キロメートルにも及ぶ排水管の新設や、50年以上昔に建設されたチャンバー(貯留槽)の改修、排水システム維持管理機材の提供、そして配水管路の維持管理体制を強化するための技術指導を、プノンペン都公共事業運輸局と共に実施しています。

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プロジェクト終了時(2015年10月予定)には、対象地域に在住する約23万人の住民、市街地の約2,600の店舗や地元市場、そして60の公共施設等が、洪水の大きな被害を免れることができると期待される。

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プロジェクト実施前は、2年確率以下の降雨量に対して、プロジェクト対象地域内の最大浸水深は1メートル、浸水継続時間は7時間。この事業完成3年後には、最大浸水深20センチメートル、最大浸水継続時間は2時間にまで軽減される。

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新しく供与された高圧洗浄車によるマンホール清掃。

フェーズ3では、排水路の維持管理強化にも力を入れ、汚泥吸引車と高圧洗浄車などの洗浄機材を供与するのみならず、維持管理強化に向けた技術指導も実施しています。これまでは、直径60センチ程度の下水管に作業員が裸で潜り込み、排水管の掃除をしていました。しかし、今回供与された高圧洗浄車を使用することにより、作業員の危険で不衛生な洗浄作業が大幅に改善されることになります。

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下水管に作業員が潜り込み清掃していたが、汚水吸引車と高圧洗浄車を使用することにより、安全に下水管の洗浄作業をすることができるようになる。

洪水防御・排水システムの改善に向けて、住民も協力

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降雨後ゴミが散乱してしまっている状況。これでは排水の効果が十分に発揮されない。

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部分引き渡し式典に集まる地域住民

排水状態を良好に保つには、JICAや自治体の努力だけでなく、地域住民の理解・協力が不可欠です。そこで、8月下旬には、プノンペン都知事のパー・ソチアットボン(Pa Socheatevong)氏の呼びかけにより、「クリーンアップキャンペーン」が開始されました。これは、排水管網を詰まらせる最大の原因である「ポイ捨て」の禁止を呼びかけ、JICAが供与した汚泥吸引車や高圧洗浄車を使用して、年末までに都内の全てのマンホールを洗浄するという意欲的な試みです。

そして、8月30日(金)には、地域住民約100名が見守る中、修復が完工した都内南部の工事現場にて、排水管の部分引き渡し式典が開催されました。式典にてプノンペン都知事は、修復工事への理解と協力を求めると同時に、キャンペーン参加を呼びかけました。今後も、住民の理解と協力を促すための啓発活動が課題とされています。今後も、JICAはプノンペンの洪水防御・排水システム改善に向けて支援を続けていきます。