JICA中国事務所ニュース 2004年2月号

1. JICA及びJICA事業に関する最近のトピック

  1. 回良玉副首相、リハビリテーション研究センターを訪問
    1月17日、回良玉副首相(兼国務院残疾人工作協調委員会主任)が北京市豊台区を訪れ、障害者を抱える貧困家庭を慰問すると共に、JICAリハビリテーション専門職養成プロジェクト(秋山チーフアドバイザー)が実施されている中国リハビリテーション研究センターを視察しました。

    回副首相は、同センターで治療を受けている患者や医療スタッフを労ったほか、秋山チーフアドバイザーら日本人専門家が技術指導している臨床科を見学しました。この見学の場においては、「リハビリテーションという崇高な事業に協力を頂き、大変ありがたい」(回副首相)、「リハビリテーション研究センターで活動できることは光栄」(秋山チーフアドバイザー)と言葉を交わす場面もありました。

  2. 現地国内研修「中小企業管理機構研修」実施迫る
    2月9日から29日まで天津企業管理研修センターにおいて、現地国内研修「中小企業管理機構研修」が実施されます。本研修は、一層の経済開発及び雇用創出が急務となっている西部地域において、中小企業を対象とする金融・信用保証、企業診断等の行政サービスの質の向上を図ることを目的とするもので、今年度と来年度の2回に亘り、主に同地域の中小企業管理指導員70名を対象に、中国及び日本の中小企業政策、中小企業金融、信用保証制度、企業診断制度等をテーマとして実施されることになっています。

    今年度の研修では、科学技術部の生産力促進センター、及び中小企業司の中小企業信用担保センターという2つの異なる系統に属する、異なる地域の中小企業管理機構から参加者が得られる予定です。研修参加者は、プレゼンテーションや江蘇省での実地研修等をつうじて、それぞれの機関・地域の中小企業支援事業の特色について学ぶとともに、日本から派遣される講師による講義をつうじて、中小企業金融と診断事業を相互補完的な政策ツールとして実施してきた日本の経験・ノウハウについて学ぶことになっています。

    日本からは、中小企業総合事業団、信用保証協会、中小企業金融公庫等において中小企業支援に長年従事した経験を有する有識者の方々が研修講師として派遣される予定です。講師の一人の寺下英明氏は、先月中国側と調査内容等について合意に達したJICA開発調査「中小企業金融制度調査」(中国側実施機関:中国人民銀行)において、中国における信用保証制度構築の方向性について調査中であることから、右調査において得られた情報やノウハウが、本件研修においても活かされるという形で、事業間の連携が図られることにもなっています。

  3. 国別特設研修 「中国西部地区農業技術普及制度」まもなく実施
    2月17日から3月27日までの期間、国別特設研修コース「中国西部地区農業技術普及制度」が実施されます。研修参加者は、中央政府の行政官に加え、多数の貧困人口を抱える西部地区を中心とする省、市及び県政府の中堅幹部合計12名です。研修参加者は、研修期間中、農業技術普及に携わる日本の官民の機関への訪問や農家視察等を通じて、日本における農業技術普及に関わる施策や手法について理解を深める予定です。この研修を通して、農業普及担当の実務責任者の企画・運営能力が向上することにより、中国西部における農業技術普及の推進、ひいては同地域における貧困問題の解消の一助となることが期待されます。

  4. 国別特設研修 「中国:独占禁止法と競争政策」まもなく実施
    2月23日から3月25日までの期間、国別特設研修コース「中国:独占禁止法と競争政策」が実施されます。

    中国では、WTO加盟後、独占禁止法の制定が急務となっており、現在、商務部が主管となって、中国国家工商行政管理総局も参画しつつ、同法草案の策定作業が進められています。これを背景に、2003年8月に企業法分野の本邦プロジェクト形成調査が実施された際にも、同法制定について中国側から協力実施が要望されました。

    本研修では、中国国家工商行政管理総局及び商務部において独占禁止法草案の策定、競争政策の立案等に従事している立法担当者10人が、公正取引委員会、日本広告審査機構(JARO)や中小企業等日本側関係機関の協力のもと、日本の競争法・政策、消費者保護関連の法律・政策について講義を受講したり、見学したりする予定です。この研修により、中国における独占禁止法の制定や競争政策の立案・実施の一助となることが期待されます。

  5. 「オマチマン」幼稚園教師バックアッププログラムに参加
    新年明け早々の1月3日から13日まで、中国に派遣中の幼稚園教諭隊員4名を対象としたバックアッププログラムが実施されました。バックアッププログラムは、青年海外協力隊員が海外で活動を展開する中で、短期間の支援要員が必要となった場合に、自発的に支援活動に参加しようとする個人又は団体に対して、JICAが経費負担や事務手続きについて支援を行う事業で、隊員の活動支援や一般の方々の青年海外協力隊事業への理解促進等を目的としています。

    このプログラムに、日本全国で保育者向けのセミナーや幼児向けのコンサートを展開している幼児教育専門家の小町正(おまちただし)さん(通称「オマチマン」)と、平成13年度1次隊の幼稚園教師として湖南省株州の幼稚園で活動していた協力隊OGの久保恭子さんという強力なメンバーの参加を得ることができました。両名は、4人の隊員とともにそれぞれの任地(開封、黄岡、桂林、重慶)を巡回して、隊員の配属先及びその周辺の幼稚園の教諭や子供たちに対して、楽しい遊びや歌・体操などを紹介することにより、隊員が今後の活動を進めるうえで非常に参考になるアプローチを示されました。

    なお、このプログラムの様子は、小町さんのHPでも詳しく紹介されていますので、どうぞご覧ください(http://www.omachiman.com/ 困ったときのオマチマン-->ニッキ-->オマチマン中国道中記)。

  6. 中国初のパートナー型・草の根技術協力事業がスタート
    NGOなどによる技術協力をJICAが支援する「草の根技術協力事業」のうち、中国初のパートナー型の案件がこのほどスタートしました。

    この案件は、日本の金沢医科大学と遼寧省瀋陽市にある中国医科大学との協力により、低所得者農民層の失明実態究明と対策のための人材育成を行うもので、今後3年間にわたり、遼寧省、雲南省、海南省の農村地域における白内障などの失明実態を調査するとともに、これらの地域の農村部医療に貢献する意思を持つ若手眼科医の育成を目指すことになっています。

    金沢医科大学の関係者は、既に日本での国内作業に着手しており、3月には同大学からの専門家の到着を待って、中国医科大学において開始式典が挙行される予定です。

    なお、草の根技術協力事業は、NGOや自治体、大学などがこれまでに培ってきた経験や技術を生かして企画した、途上国の地域住民の生活向上に直接裨益すると考えられる協力活動をJICAが支援し、共同で実施する事業で、このうち、今回始まったパートナー型とは、国際協力の経験が豊富なNGO等を対象とするものです。

  7. プロジェクト調整員会議開催
    1月16日に当事務所において、中国において実施中の技術協力プロジェクトに派遣中のプロジェクト調整員及び個別派遣長期専門家が出席して、2003年度第2回プロジェクト調整員会議が開催されました。同会議においては、当事務所から、本部の組織改変や事業の在外主導化の検討状況に係る説明や、SARS対策等の確認等を行った後、「今後の対中技術協力のあり方」及び「効果的な広報活動に資するホームページ(HP)の作成」をテーマとする座談会や「機材調達」、「事務所及び本部とのコミュニケーション」、及び「プロジェクト運営のあり方等」をテーマとする分科会が実施されました。

    このうち、「今後の対中技術協力のあり方」の中では、中国の経済・社会の発展レベルは地域差が大きいので、技術協力の要不要やその内容については、地域ごとに考える必要がある、貧困対策や相互理解に資する協力は引き続き必要である、わが国の国益にも資する協力が必要である、等の意見が出されました。

    また、「効果的な広報活動に資するHPの作成」に係る座談会では、既にホームページが開設されている六つのプロジェクトの調整員が、それぞれのプロジェクトのHPを実際にスクリーンに映し出して、その特徴や立ち上げの際に苦労した点、データの更新等維持管理面での問題点等を紹介し、それぞれのプロジェクトにおけるホームページの開設や内容の見直しに役立てるべく、意見交換等を行いました。

    プロジェクト調整員会議は1年に2回開催しており、次回会議は今年6月頃開催する予定です。

2. 調査団等の動き

主な調査団(派遣中・派遣予定)(2月)

  1. 西部中等都市発展戦略調査(開発調査・本格調査、1/6-3/13)
  2. 貴陽市大気汚染対策計画調査(開発調査・本格調査、2/1-3/1)
  3. 日中友好環境保全センタープロジェクトフェーズ3運営指導調査(POPs関係)(2/3-2/7)
  4. 安徽省プライマリー・ヘルスケアー技術訓練センタープロジェクト終了時評価調査(2/6-20)
  5. 貴陽市大気汚染対策計画調査(開発調査・作業監理、2/15-20)
  6. 大型灌漑区節水灌漑モデル計画プロジェクト 中間評価 (2/16-28)
  7. 日中友好環境保全センタープロジェクトフェーズ3 中間評価 (2/22-28)
  8. 太湖水環境修復モデル計画プロジェクト 運営指導調査 (2/28-3/6)
  9. 黒竜江省酪農乳業発展計画プロジェクト 中間評価 (3/8-3/20)

3. 今月の行事等

  1. 2月16日 国特研修「犯罪防止」現地オリエンテーション
  2. 2月16日 国特研修「中国西部地区農業技術普及制度」現地オリエンテーション
  3. 2月18日 水利人材養成プロジェクト 合同調整委員会
  4. 2月23日 国特研修「中国:独占禁止法と競争政策」現地オリエンテーション
  5. 2月27日 国別特設研修「技術協力促進」現地オリエンテーション
  6. 2月27日 留学生支援無償(第2期/2004入学者)春入学生 壮行会

各協力現場で計画されている行事等(セミナー、ワークショップ、カウンターパート機関主催のセレモニー、その他)がありましたら、是非事務所担当まで情報をお寄せください。

4. 中国の動き

  1. 中国国民一人当たりのGDPが1000ドルを突破
    中国国家統計局は、1月20日に、国務院新聞弁公室の20日の記者会見において、中国の2003年の国内総生産(GDP)は名目値で1兆4100億ドルに達し、国民一人あたりのGDPが初めて1000ドルを突破して、1090ドルとなったと発表しました。また、同じ発表によれば、2003年のGDPの経済成長率は、前年比9.1%増でした。
  2. 中国が2004年に世界第2位の石油消費国へ
    国際エネルギー機関は、最近の「石油市場レポート」(Oil Market Report)において、中国の石油の需要量は2004年に年間約3億トンに達し、日本を抜いて世界第2位の石油消費大国になるとの見通しを明らかにしました。この予想年間需要量は、中国石油天然ガス公司の関係者によれば、サウジアラビアの年間産油量の3分の2、イランとクウェートの年間産油量の合計に相当します(2004年1月13日版 人民網日本語版を元に記述)。
  3. 「求真務実」と「反腐敗」
    昨年来、汚職などの腐敗現象による政府高官逮捕の記事が、しばしば中国の新聞紙上を賑わしています。中国共産党幹部の規律維持のための機関として存在するのが、「中共中央規律検査委員会」ですが、この第3回全体会議が1月12日に開催されました。

    その会議の席上の講話において、胡錦涛総書記は、「大力弘揚求真務実精神、大興求真務実之風」と「求真務実」を繰り返し強調しました。汚職一掃を目指す「反腐敗闘争」とともに、胡錦涛・温家宝政権にとって、規律を正し、実務を遂行していく姿勢を改めて内外に示したものと思われます。

以上