不毛の大地を緑に、「日中協力の成果を全土に広めよう」

プロジェクト名:寧夏回族自治区植林植草事業
2001年度承諾 プロジェクト総額:10,683百万円、うち円借款利用限度額:7,977百万円

砂漠化が深刻化している中国。1990年代後半には毎年東京都の面積の1.5倍にも相当する約3,400平方キロメートルが砂漠化し、また、首都北京の郊外約70キロメートルの地点まで既に砂漠化の波は押し寄せているという。砂漠化・乾燥化した表土は風に舞い上げられ、日本を含む東アジアに降り注ぐ黄砂の一因とも考えられており、中国の砂漠化問題は中国だけでなく、東アジア全体ひいては日本に直接影響する問題ともいえる。

そんな砂漠化が進む中国−シルクロードに位置する「寧夏回族自治区」では、砂漠化を食い止めるため、日本政府のODA(円借款)が活躍している。

プロジェクト実施の背景

中国西部地域に位置する寧夏回族自治区(人口約7,800万人)は中国全土で最も降雨量が少ない地域の一つだ。プロジェクトが計画された2001年当時の同自治区では、過酷な自然条件に森林伐採、過放牧、過開拓等の人為的要因が加わり、森林率は約8%(中国平均の約半分。尚、日本は64%)にまで減少し、砂漠化が民家に押し寄せ、地域住民の生活を脅かしていた。

【写真】

円借款植林サイト
(植林・植草実施前の写真)

そこで、特に砂漠化被害が著しい同自治区の北部(14県・市)にて、植林・植草により、荒地の緑化及び砂漠化被害防止を図る「寧夏回族自治区植林植草事業」が、日本政府の円借款及び中国政府の資金を利用して、2002年5月から開始された。

このプロジェクトでは、「円借款」という返済期間が40年、金利が年間0.75%という非常に緩やかな条件ではあるが返済義務がある資金等を原資として、現地農家の人々が苗木を購入し、植林・植草活動を行う。その後、成長した木から得られる果樹や薬草を販売することにより収入を得、そこから苗木の購入資金の返済を行なうという方法をとっている。日本政府からお金を借りた中国政府にとっても、また、中国政府からお金を借りた農家の人々にとっても、返済義務のある資金ということで、プロジェクトを成功させるための自助努力が図られる。

−2007年11月6日、中国のインターネットに以下のような記事が掲載された。この記事は中央政府の国家発展改革委員会のホームページを含む数十を超えるネット・メディアに転載された。

『温家宝総理が寧夏植林事業の成果を中国全土に広めるよう指示を出した』

2002年から始まった円借款プロジェクトの実施では、既に5万ヘクタールの地域の植林・植草を終え、同自治区の森林覆蓋率は従来の8%から10.5%まで上昇した。また、約80万人の住民の生活環境改善に貢献すると共に、農民一人当たりの収入は年間200元(注:約3,000円)上昇した。円借款資金は返済期間が長く、また利息も低く、外国政府の他の借款と比較してもなかなか利用することができない優遇借款である。
2007年9月6日、温家宝総理は円借款寧夏砂漠化防止生態環境総合整備プロジェクトに関する会議において「寧夏プロジェクトで得た成果を広く中国全土に広めるように」との指示を出した。

【写真】

写真:寧夏新聞網

−また、この記事の最後は以下の文章で締めくくられている。

賀蘭県洪広鎮金山村に住んでいる(農民)李来宝氏は、「日本政府の円借款は私達の命を助けてくれました。今年植えたクコの実のお陰で苗木を購入するために借りた資金も何とか返済できそうです。」と述べた。
李来宝氏らは、この得がたい円借款資金を利用して、賀蘭山東部の麓を緑色に染めた。そして、今、「賀蘭山を下ると果樹園が見える」という古代詩の境地を一歩一歩現実に変えようとしている。

−いま、褐色の不毛の大地が、日中両国の協力により生まれ変わろうとしている。