「地域有識者懇談会」(第12回会合)開催概要

1. 日時

2018年3月9日(火)16:00~17:40

2. 場所

JICA中部セミナールームB1-2

3. 出席者

委員出席者(50音順):

  • 空木マイカ委員
  • 小笠原剛委員
  • 鈴木孝昌委員
  • 西井和裕委員
  • 原田さとみ委員
  • 山田雅雄委員
  • 渡辺芳人委員

JICA中部側出席者:所長 阪倉章治、次長 木下康光、連携推進課長 内島光孝、同課 青木信彦、研修業務課長 岩瀬誠、同課 糸山大志、総務課 實川真理子

4.議事概要

次の各テーマに関する最近の動向、取り組みの状況につき報告され、引き続き意見交換が行われた。主な報告、意見は以下のとおり。(【 】内発表者)

(1)JICA中部の市民参加協力・民間連携事業の動き【JICA阪倉、木下】

  • 平成29年度の市民参加協力事業のうち中部管内採択の草の根技術協力事業の紹介、及び民間連携事業の採択案件について実績報告を行った。
  • 2017年7月、著名人派遣スキームによる原田委員のキルギス訪問について報告した。(詳細は原田委員より報告)
  • 2018年1月末から2月にかけ、メディア派遣スキームによる中日新聞社及び中京テレビ放送によるメキシコ訪問について報告した。同国における名古屋市上下水道局の草の根技術協力の成果、日墨研修の研修員が日本で学んだ技術の自国での活用状況、中部地域と関係の深い自動車産業に対するJICAの技術協力等について取材が行われ、その結果は2月23日中京テレビ「キャッチ」にて約15分間放映され、中日新聞では3月4日から6日にかけて3日連続掲載された旨を報告した。
  • 2017年10月のささしまライブまちびらきについて報告。まちびらき以降の来街者数は9,000人/日から20,000人超/日へ急増しており、なごや地球ひろばへの来場者も増えている。まちの発展・来街者の安定的な増加が、JICA中部の周知、地球ひろばへの来場者増に直結することから、JICA中部として引き続きまちづくりへ関与・協力していくことが重要。

(2)JICA中部の研修事業(長期研修)の動き【JICA岩瀬】

  • 国内で学ぶ研修員は近年、右肩上がりで増加傾向にあり、なかでも大学院(修士・博士課程)で学ぶ長期研修については、JICA全体でも中部でも大幅に増加傾向にある。
  • 2000年度以降、様々な長期研修のプログラムが立ち上がっており、大学での研究に併せ、民間企業・地方自治体等でのインターンシップ、帰国研修員に対するフォローアップなどを組み合わせた取り組みを実施している。
  • 留学プログラムの強化に向けて、戦略性(他JICA事業との連携、大学・地域社会にも魅力のある制度設計)、日本の経験の体系化、JICA研修員としての付加価値・魅力の向上が必要。JICA中部でも様々な取り組みを実施しているが、その深化に努めたい。

質疑応答

【委員】

中部圏の受け入れ大学が限定されているようだが、長期研修員の受入大学は決定プロセス如何。

【JICA中部】

受け入れ大学は公募しており、要件としては大学にて提供されるプログラムが英語での指導、単位修得が出来ること等がある。

【委員】

指導教官の研究のフィールド等が開発途上国にある方が指導しやすい。名古屋大学は、農学国際教育協力センターを有しているが、開発途上国において研究の現場を有している。

【委員】

日本国内でのプログラムに併せ、日本で学び帰国した長期研修員へのフォローアップ等も重要。

【JICA中部】

在外事務所で帰国研修員のフォローアップを実施している。長期研修の戦略性強化の観点から、修士課程を修了した研修員が博士課程に進学できるなどの取り組みを始めている。

(3)キルギス出張報告「キルギスからの贈り物」【原田委員、JICA内島】

(原田委員)

  • JICA中部の派遣によりキルギス共和国へ出張した。現地のJICAプロジェクト(一村一品)が生産を支援するフェルト製品に出逢い、名古屋市立東山動植物園でのお土産商品(フェルト製ぬいぐるみ)の開発のお手伝いをする機会に恵まれた。このぬいぐるみ(ライオン、象)が、「フェアトレードタウンなごや応援ロゴマーク」使用承認第1号となり、JICAの途上国での協力とフェアトレードタウンの名古屋がつながった成果として挙げられると思う。
  • 3月18日に名古屋市が市内で開催する「フェアトレードタウン名古屋のススメ」等、様々な機会をとらえて、今回のキルギスでの体験について出張報告を行っていきたい。

(JICA内島)

  • JICAの一村一品運動は途上国でのローカルな取り組みであり、必ずしも貿易(フェアトレード)に直結する事業ではないが、今回は愛知県内の民間企業の力と、キルギス住民側の熱意と技術により製品化が実現されただけでなく、名古屋市のフェアトレード製品としての認定にも繋がった。JICAとしては「地球とのフェアトレード」を合言葉に今後も途上国の製品発掘を行っていきたい。

質疑応答

【委員】

縫わずに針で突いていくだけで成形を完成させる完全手作業の製作過程が非常に興味深い。

【JICA中部】

東山動物園は、販売時に、製作過程の説明とJICAの一村一品運動の支援について説明を記載したチラシを購入者に渡しており、JICA事業の広報の一助となっている点に感謝。

(4)名古屋の伝統芸能/御園座リニューアル【小笠原委員】

  • JICAの活動と直接の関係があるか分からないが、外国人にも名古屋の伝統芸能を知って貰う意味で御園座のリニューアルについて紹介したい。
  • 1897年(明治30年)に開場した御園座は、2013年(平成25年)に、御園座とマンションの複合再開発のため一旦閉館したが、2018年4月、新装開場する運びとなった。
  • 新装御園座の館内は、伝統と格式を受け継ぐ朱色・木調・市松模様が随所に踏襲されている。
  • 幕末から明治初期に外交官として日本に滞在し、明治末期、コンノート殿下(ヴィクトリア女王第三王子)と来日したA.B.ミットフォード氏の著書によれば、御園座を「今まで日本で見た中で一番きれいな劇場」と評し、また、名古屋の観客の観劇マナーの素晴らしさに感銘を受けたとされる。

質疑応答

【JICA中部】

  • JICA中部に来る研修員も名古屋に滞在中、日本の文化・伝統芸能に触れる機会を作りたいと考えている。英語のパンフレット等、研修員等海外の人のためのインフラが整備されることを期待。

(5)資料配布/名大ウォッチ「ノーベル賞の大学のいま」【渡辺委員】

  • 今世紀に入ってからノーベル賞受賞者6人(日本の大学ではトップ)を出している名古屋大学所属の渡辺委員から標記小冊子のご紹介があった。

以上