「峠の茶屋」をめざして!!

【画像】脇田 智恵さん

「在ソロモン日本大使館」勤務:前JICA中部市民参加協力調整員
脇田 智恵さん

 みなさん、ご無沙汰しています。その後お変わりありませんか。3月末まで3年間、JICA中部で市民参加協力調整員としてお世話になりました脇田智恵です。桜の花に見送られ名古屋を離れ、南太平洋の常夏の国ソロモン諸島へ来てもうすぐ一ヶ月が経ちます。9年前、青年海外協力隊としてこの地を訪れたのも同じ季節でした。久しぶりに里帰りしたソロモン諸島は今雨季。日中の気温は毎日35度を超えますが、時折降るスコールのあとは、さわやかな空気に包まれます。

 今、私は、在ソロモン諸島日本大使館で、Grassroots Project Coordinator として外務省が行う「草の根・人間の安全保障無償資金協力事業(以下『草の根無償』)」の窓口を担当しています。この草の根無償は日本のODA(政府開発援助)で、途上国に学校や診療所の建設、水供給設備の敷設など、まさに「草の根レベル」で支援をするスキームです。昨年4月に、ソロモン諸島沖でマグニチュード8を超える大きな地震があったことはまだ記憶に新しいかと思います。津波がソロモン諸島を襲い、多くの人々が家屋をはじめとする生活基盤を失いました。現在はその復興支援なども一部、この草の根無償で実施しています。ソロモン諸島ではこの10年間の実績は約100件。その成果は口コミで国内に広がり、多くの人の関心を集めるようになりました。毎日毎日、多いときは一日に10人以上のソロモン人が草の根無償の相談に訪れ、その対応に追われる毎日です。

 この草の根無償は、対象国のNGOやコミュニティがその地域のニーズにあった、主に公共施設の建設を日本大使館に申請するものです。一件あたりの予算は日本円で上限1000万円/年。日本大使館ではその公共施設が完成後何人くらいの人たちに利用されるのか、誰がどのようにメンテナンスを行うのか、土地問題はないかなどの事前調査を踏まえ、事業の実施を検討します。その際、申請するNGOやコミュニティがただ「資金」を求めるだけでなく、彼ら自身が建設にあたって何をどれくらい負担するかが審査のポイントにもなります。「建設に必要な木材は、共有地の木を切って・・・。チェーンソーは隣の村に借りるよう依頼をしました。労働者は村の若い衆を集めますから大丈夫。でもそのほかに必要な釘、ワイヤー、セメントなどを支援してもらうため、まずはその見積もりをとってきました」。このように「自分たちの施設」として建設するという積極的な姿勢が必要なのです。また、さまざまなドナーがこの国で援助に携わっていますが、この草の根無償ほど丁寧に時間をかけてコンサルテーションをし、また実施後も進捗状況をモニタリングするスキームは他にありません。みなさんからの税金がこのように丁寧なプロセスを経て実施され、確実に直接現地の人々の元に届き、彼らの手で維持されていることを、もっともっと多くの人に知っていただけたらと願うばかりです。

 JICA中部ではJICAが実施する草の根技術協力事業の窓口を担当し、「ODA」と「NGO」とのパイプ役を担うことで、両者が互いの強みを持ち寄り、弱みを補いあうことで生まれる大きな成果を目の当たりにしました。「ODA」と「NGO」。体制やポリシーは違っても、人々の幸せを願う目的は同じです。しかも「ODA」と「NGO」を仲良く並べて書くと「ODANGO(オダンゴ)」。甘党の私にとって、なんと魅力的な響きでしょう!昔、峠の茶屋は、東奔西走する旅人の大切な情報交換の場でした。お団子と熱いお茶を片手に、彼らは四方山話に花を咲かせ、それぞれの目的地に向かって再び旅を続けたと言います。私は草の根無償の窓口として、まさにこの峠の茶屋のような役割を担いたいと思っています。そしてソロモン諸島の人々と協力して事業を実施する「ODANGO」づくりのお手伝いをしたい。

 今、こうしてお便りを書いている外では、月明かりに椰子の木が揺れ、空には南十字星がまたたき、再びソロモンの地にいることを改めて実感しています。こちらでの仕事はまだまだスタートしたばかり。協力隊のときとは違う不安もありますが、底抜けに明るい人々の笑顔を励みに、ODANGOづくりに努めたいと思います。みなさんお身体を大切に。太平洋最後の秘境ソロモン諸島より、愛をこめて。Lukim iu(ルッキム イウ)!(ピジン語で「またお会いしましょう!」)

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草の根無償で建設した学校の引き渡し式 

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職場の仲間と

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村の子どもたち

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首都ホニアラからみた朝焼け