【3月号】「水道分野における海外支援について」

【写真】朝河 和則さん(海外支援チームADK代表) 東京都杉並区出身、愛知県豊橋市在住豊橋市上下水道局 浄水課
朝河 和則さん(海外支援チームADK代表) 東京都杉並区出身、愛知県豊橋市在住

今回は、豊橋市上下水道局の朝河和則さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)

はじめに、自己紹介と現在担当されている業務について教えてください

インドネシア共和国ソロク市 現地水道技術支援研修

インドネシア共和国ソロク市 現地浄水技術改善研修

みなさんこんにちは、豊橋市上下水道局で長年、水道施設の維持管理を行っている朝河と申します。業務上、いろいろな方々との繋がりの中で、本市多文化共生国際課からの提案もあり、水道分野での国際貢献・海外協力の企画立案・実施運営を担当しております。

昨年度は、世界10カ国11名の研修員を対象としたJICA課題別研修「上水道無収水量管理対策(漏水防止対策)A」を、名古屋市、三重県企業庁、浜松市の3自治体とともに開始したほか、自治体国際協力促進事業を活用したインドネシアの水道技術支援プロジェクトを実施いたしました。このプロジェクトは、本年度よりJICA草の根技術協力事業に移行し、インドネシア共和国「ソロク市における浄水技術改善事業」として実施しています。当該事業は現地浄水場で生産する水道水を、機材等を活用した技術研修を行うことで、運用及び維持管理技術の向上を図り、現地職員自らが「飲める水道水」に転換していく取組みを行っています。現地職員の努力もあり、前回プロジェクトから比較すると、かなりレベルアップができており、目標達成への手応えを感じているところです。

国際協力に携わったきっかけ、またこれまでのご経験についてお聞かせください。

インドネシア共和国ソロク市 豊橋市水道事業視察

日々、水道技術の継承に尽力するなか、災害時の他の水道事業体への支援活動は想定していたものの、国際協力は無縁のものと考えていました。ところが、海外の水道自治体の方々が視察に訪れて支援を要請され、現地調査を行ったところ、本市でできることに取組むことが国際貢献になり、同時に本市の水道事業に携わる人材育成や安全・安心・安価な水道水について市民の方々に知っていただく機会になると考えて実施しています。

国際協力活動の中で感じられたこと、モットーとされている国際協力に対する考え方や大切にされている視点、姿勢などがあれば教えてください。

海外支援チームADK一同

無収水量管理対策の研修1

昨年からの「上水道無収水量管理対策(漏水防止対策)A」研修では、それぞれの国を代表した研修員(水道技術者)に対して、関係した4つの自治体の特徴と強みを生かした研修を実施しました。豊橋では1週間と短い間でしたが、「チームADK」として全員体制で臨み、特に「討議(みんなで考える)と実践(みんなでやってみる)」をスローガンに掲げ、彼らの考え方に応じた対処方法などを見出すことに努めました。彼らの水道事業への熱意や思いは深く、国の事情が異なるなかで、みんなで考え、議論している姿に感銘を受けました。文化や言語が違っても意思の疎通は可能であると実感し、彼らが帰国後、活躍することを期待しているところです。

国際協力に対する考え方という大げさなものはありませんが、国内研修においても同様で、水道技術は基礎理論も重要ですが、実践対応が大切であり、実務経験の積み重ねが人を育てると考えております。また、個人の力量には限界がありますが、チームの結束力により大きな成果がでることから、みんなで考え、みんなで楽しく対応することを私の理念としております。

市民の皆様へのメッセージをお願いします。

無収水量管理対策の研修2

豊橋市の水道事業は本年度85周年を迎え、創設時からの浄水処理(緩速ろ池方式)による、おいしく廉価な水道水を供給し続け、災害時でも安定給水の確保が可能となるなど、高い技術水準を維持しております。豊橋の水道技術は決して目立つものではありませんが、様々な課題に対して臨機応変な対応が可能であることから、将来にわたって本市の安定給水の確保に繋がっていると自負しております。この水道技術は豊橋市の貴重な財産であり、いまだに深刻な問題を抱える途上国のインフラ改善に少しでも貢献できれば幸いであります。こうした取組を、いろいろな機会を使って市民の皆様方にご紹介できればと思います。
※A.D.K(新たな伝説を切り開く)