【10月号】「JICAボランティア経験者による国際理解教育の取り組み」

【写真】星野 百合子(ほしの ゆりこ) さん 愛知県 一宮市出身、愛知県 一宮市在住愛知県立みあい特別支援学校教諭
星野 百合子(ほしの ゆりこ) さん 愛知県 一宮市出身、愛知県 一宮市在住

■写真:星野 百合子さん
(学校現場での多文化共生「フィリピンのお米」授業の様子)

今回は星野 百合子さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)

はじめに、自己紹介および現在研究なさっている分野等について教えてください。

あいち国際理解教育勉強会AIUEOの仲間達

2013年4月から2015年3月まで青年海外協力隊員としてフィリピンのパナイ島に位置するマアシン中央小学校の特別支援学級でボランティア活動をしていました。現職参加制度を利用して参加したため、渡航前も特別支援学校の教諭をしており、現在も同じ学校の教諭として、高等部3年生の担任をしています。
研究分野は、帰国後の協力隊員が、学校現場で国際理解教育•開発教育を指導するためにはどのような取り組みが必要かを考察しています。国内とは異なる環境において教育協力活動に従事し、コミュニケーション能力や異文化理解の能力を身につけた教員、途上国の困難な状況下で問題解決的な対応能力を身につけた教員、他国の教育活動に照らして日本の教育のあり方を再認識する機会をもった教員は、グローバル化社会が進展する中で、貴重な人材といえます。この経験を教育現場で有効に活用するためにも、同じ経験をしたJICAボランティア経験者が集まり、海外の教育現場での経験を語り合うことや、日本の教育現場でどのように国際理解教育を推進していくかを話し合う機会が求められています。そこで、そのような学校現場での教師の戸惑いと、JICAボランティア活動の帰国後の社会貢献の在り方を共に考える仲間を集めたいという思いで、「あいち国際理解教育勉強会AIUEO」という教員が中心となったコミュニティーを設立しました。

国際協力に関心を持ったきっかけ、またこれまでのご経験についてお聞かせください。

学生時代にオーストラリアで語学留学へ行き、その時に地球課題や環境問題と向き合う経験をしました。当初は「どうにかしたいけど、どうにもできない問題」と思っていたのですが、教師になり、JICA中部主催の「開発教育指導者研修」や「教師海外研修」に参加し、地球課題へ関わるかどうかは自分次第であることが分かりました。日本で起こっている事や、海外で起こっている環境や貧困などの課題を自分がどのように捉えるべきか、実際に途上国で生活して感じたことを伝えたいという使命感を持って2年間のボランティア活動に参加しました。

星野さんがモットーとされている国際協力に対する考えや姿勢などがあれば教えてください。

市民講座「第28回あいちサマーセミナー」の様子

国の違い、文化の違い、障害の有無、どれも同じで、自分と「ちがう」と感じたときに、その「ちがい」をどのように受け入れて行動できるかで世の中は大きく変わってくると思います。外国文化の中で生活する外国人と、世の中の都合で障害者というカテゴリーで認識される子供たちは同じ不便さを味わっているのかもしれません。障害のある人たち自身からノーマライゼーションの理念が浸透した社会の形成を呼びかけることで、自分たちを取り巻く環境が少しずつ変化するのではないかと考えています。授業を通し生徒が「ちがい」を肯定的に受けとり友達の意見にも「そうだね。」と共感できる生徒が増えました。生徒が多様性を受け入れる心を育めるように、今後も国際理解教育に関する授業を展開したいと考えます。

市民の皆さんへのメッセージをお願いします。

地球課題と捉えると、問題が大きく複雑で自分の関われるような内容ではないと思っていました。しかし、自分は地球で生きている地球市民の一人に違いありません。ここに生きる全ての人が、課題を自分事と捉えることで、社会は底から変化します。政府や各国の首脳陣で話し合って決めることでは無いのです。自分が受けた自然や社会の素晴らしい恵みを、次世代の子ども達に伝える責任と、思い描く理想の未来を培っていく権利が私たちにはあるのです。
今、ここに生きていることに感謝して、周りの人と手を取り合いながら考えることで、自分たちを取り巻く環境が少しずつ変化するのではないかと考えます。一人一人の他を受け入れる心が、世界の「和」をより大きく強いものにしてくれると信じています。