【2月号】「ビジネスパートナーとして共に成長する」

【写真】吉井 由美子さん 愛知県江南市出身愛知県名古屋市在住BASEY(ベイジー)
吉井 由美子さん 愛知県江南市出身愛知県名古屋市在住

■写真:吉井由美子さん(真珠貝を育てるパートナー)

今回は、開発途上国の生産者と共にアクセサリーの制作・販売を行う「BASEY(ベイジー)」代表の吉井由美子さんにお話を伺います。(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)

はじめに、自己紹介と現在のお仕事について教えてください。

BASEYの吉井と申します。私たちは、開発途上国の現地生産者とコラボレーションし、パートナーたちが自然素材から創り出す一期一会のパーツを取り入れて、日本でアクセサリーを制作しています。名古屋を拠点に、東京、大阪の百貨店などで販売いただいています。

現地パートナーが作るアクセサリーパーツとはどういうものでしょうか。

牛の角を研磨する工房のパートナー

東アフリカに位置するルワンダでは、廃棄される食用の牛の角を活用しています。タンザニアではダイナマイトを使って海で魚を乱獲する手法が問題になっていますが、BASEYのパートナーは漁業に過度に頼ることなく収入を得られるように真珠貝を養殖し、それらを研磨しアクセサリーパーツを制作しています。

BASEYを始めるきっかけを教えてください。

2001年に仕事中の交通事故で兄を亡くしました。兄は自動車が好きで車好きな友人たちと一緒に車のステッカーを作り、それを販売した売上で足の不自由な人たちに車椅子を贈る活動をしていました。そんなことをしていたとは私たち家族は全く知らず、兄が亡くなった後に初めて兄の友人から聞きました。好きなことを通して自分のできることをしていた兄を誇りに思い、私もまたいつか笑えるようになったら、自分の好きなことを通して誰かの笑顔に繋がる仕事がしたいと思いました。
月日は流れ、2009年から2011年までJICA中部に勤務し、研修業務課で長期研修に携わることになりました。長期研修というのは途上国から研修員を招聘し、日本の大学で高い技術を学び修士・博士学位を修得し、帰国後に母国に寄与する人材を育てる事業です。より良い国づくりに貢献する国の中枢的人材を育てる研修に高い意義を感じる一方、途上国には今日を生きるのに必死な人たちがいる。その人たちと一緒に仕事がしたいと思うようになり、BASEYを立ち上げました。現在は5カ国の生産者たちとパートナーシップを結んでいます。

吉井さんのモットーとされている国際協力に対する考えや姿勢などがあれば教えてください。

アフリカの布を使ったアイテムを作る女性たち

国際協力は、支援する側と支援を受ける側の立場がありますが、BASEYは対等な立場のビジネスパートナーとして、共に成長できる関係性を目指しています。
BASEYを始めた5年前は、現地から届く素材は不良が多く、心が折れそうになりながら1つ1つに不良の理由を書き、現地に返送していました。実際に不良品を見てもらい、何がいけないかを伝え続けた結果、今では見惚れるくらいの高品質な素材が届くようになりました。私の品質チェックはかなり厳しかったと思いますが、音を上げず応えてくれた彼らだからこそ、これからも大切なパートナーとして一緒に仕事をしていきたいと思っています。

現地との仕事を通して感じることを教えてください。

伝統工芸アガセチェを作る女性たち

パートナーが住む環境は日本と比べて物は不足していますが、人は優しさと笑顔に溢れ、彼らから幸せな気持ちをもらっています。また、パートナーが作る素材があるからこそ、BASEYはアクセサリーを作ることができています。飛行機でも24時間以上かかり頻繁には会いに行けませんが、心は近くに「ありがとう」を伝え合いながら共に仕事ができていることに感謝しています。

今後の展望を教えてください。

BASEYの名前は、野球の塁“BASE”から来ています。与えられたポジションに感謝し精一杯役割を果たし、塁を繋いでいくように笑顔を紡いでいきたいという願いを込めています。現地パートナーが心を込めて作る素材を大切に取り入れ、お客様にお喜びいただけるアクセサリーをお届けする。そして、彼らの生活を守るためにも安定的にオーダーを入れる。塁を繋ぐように、この良いサイクルを継続していくことがBASEYの役割です。「一隅を照らす」思いで、現地パートナーと共に歩んでいきたいと思います。