大和ハウス工業株式会社
松下芽依さん 奈良県天理市出身愛知県豊田市在住
■写真:松下芽依さん(現地の小学生との写真)
今回は、国際協力レポーターとしてODAの現場を視察してこられた、大和ハウス工業株式会社の松下芽依さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)
大学で国際関係学を専門とし、卒業後は大和ハウス工業株式会社へ戸建建築営業として入社しました。現在は同社にて、集合住宅の建築営業として土地活用のご提案などをしています。
もともとは開発援助や国際協力に興味があって国際関係学科へ入学しました。そして仕事として、途上国のインフラ整備などの直接投資によって諸外国と相互共存が図れたら、と考え、海外拠点のある企業や今後海外進出をしていくであろう民間企業への就職を志望し、現在に至ります。
国際協力に関心を持ったきっかけは…漠然とですが、5歳ごろに母が買ってきてくれた絵本で、自分と同い歳くらいの子が祖父母の昔話でしか知らないような戦争で傷付いていることや、飢餓によって死と隣り合わせの生活を送っていることに衝撃を受けたことでしょうか。当時は「協力」なんて考えはなかったはずですが、外国への関心を持つようになったきっかけのひとつだと思います。本プログラムへ応募したのは、今の国際協力が、「どんな状況にあるか」、や、「何をどれだけ必要とされていて、日本が貢献できているのか」、また支援の原資である「税金がどのように使われているのか」を見ることが出来る、いい機会だと感じたからです。
セネガル日本職業訓練学校
色鮮やかな魚市場。鮮やかの服はみんな女性です。それほどに女性の就労人口が多いのです。
セネガルでは12名のレポーター、"team lac rose"として、5日間、9箇所の協力現場を訪問しました。レポーターのメンバーは、20〜60歳代の、学生や議員、公務員、自営業者など多岐にわたる分野の人が集まっていました。そのため、レポーターメンバーの視点や考え方は異なり、視察先への意見や疑問も多角的でしたので、幅広い視野で現場をみることができました。
視察先は母子保健プロジェクトで病院、職業訓練校や小学校、魚市場、稲作現場、建設現場などでした。どの現場でも、現地の方々はやる気と自信に満ち溢れていて、資金や技術力は日本が支援していても、日本が学べることもたくさんあると感じました。また、現地でサポートされている日本人の方々も、大変なことはありながらも、自身の活動が現地で感謝されたり、日々成長できているとおっしゃっていたりと、すごく輝いて見えました。
教職養成学校の建設地にて。日本人の専門家の指導の下、現地の方が建設に携わっています。
どちらかというとODA肯定派の私でしたが、今回の訪問を機に、果たしてODAが本当に必要なのかを考えるきっかけにもなりました。資金援助や技術協力は困っている人にとって、当然に有効なものだと考えていたからです。しかし、社会人となった今、費用対効果を求めたり、税金を納めたりする立場となり、税金の使途や成果を考えるようにもなりました。
今回の視察先ではどこでも、日本の援助がすごく感謝されているようでしたが、技術力を得た現地の方の中には、何よりも資金が必要だという方も多かったです。そんな日本は、現地で求められていることに応えているのか、と感じたこともありました。
しかしチームで話し合うなかで、お金じゃない援助が日本の強みであり、それによって生まれる信頼関係が今後の日本との関係をつくっていくのではないかと感じました。
稲作現場の視察先にて熱烈歓迎!即興の音楽とダンスでお迎えいただきました。
ODAについての意見は賛否両論あると思います。しかし、日本が戦後のみならず、近年の震災復興でも援助を受けていることも事実で、途上国も先進国も支援を必要とし、また、支援をする必要があるようです。ただ、その結果に見返りがあるものではないです。そして、見返りを求めてしまうと、それはまた信頼関係を結ぶ上での障壁となると感じました。
今回、このタイミングで"team lac rose"の一員として視察をさせていただいたことにより、多くの学びがありました。それが今後どのように活かせるかはわかりませんが、みなさんへ発信していくことが私たちレポーターの任務です。身近な人から、国際協力について気付きの場を提供していければと思います。