【1月号】「日本茶の品質管理技術を世界へ」

【写真】川崎 洋助さん 静岡県島田市出身・在住カワサキ機工株式会社 代表取締役社長
川崎 洋助さん 静岡県島田市出身・在住

■写真:川崎 洋助さん


今回は、カワサキ機工株式会社 代表取締役社長 川崎洋助さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 市民参加協力課)

はじめに、御社のご紹介と事業内容について教えてください。

当社は1905年の創業以来、緑茶加工設備を中心に、茶葉収穫機等の茶園管理機械や品質管理用の茶成分分析計など、茶生産全般に関わる設備を開発・販売し、製茶機械メーカーとして日本の茶業を生産現場から支えてきました。
日本国内で業界標準(国内シェア100%)となっている緑茶用成分分析計を紅茶向けに刷新し、日本と同じく品質重視傾向の強いスリランカ紅茶産業のバリューチェーンに組み込むことで、スリランカ紅茶の品質管理体制を整備し、ひいては紅茶の付加価値向上や産業全体の競争力強化に繋げていけるよう取り組んでいます。

JICAの中小企業海外展開支援事業に応募した動機をお聞かせください。

茶成分分析計(紅茶)

日本の緑茶消費市場では嗜好や消費形態の多様化が進み、それに伴い生産現場で従来のリーフ緑茶以外の茶生産ニーズ(抹茶やティーバッグ、紅茶などの発酵茶等)が高まりを見せています。しかし、特に紅茶などは製造ノウハウに乏しいため、加工技術の向上に向けて紅茶生産国の品質重要項目や基準といった情報が必要でした。
そのため、当社の持つ知識や技術を最大限活用できる紅茶生産国への進出を検討していましたが、その中で日本と同じように品質を重視する傾向が強く、品質管理や付加価値の向上に強いニーズが見込めるスリランカが候補として浮上しました。スリランカにおいて紅茶は生産量の9割以上が輸出される基幹作物であり、その品質向上はすなわち経済的な発展に直結するため、JICAの中小企業海外展開支援事業の理念にも合致すると判断し、応募した次第です。

今回の案件化調査および普及・実証事業は静岡県内の産官学連携による「オール静岡」体制で取り組まれています。その狙いや強みなどがあれば教えてください。

テイスティングの様子

事業の目的の一つに、紅茶生産国の紅茶製造に関するノウハウを日本の生産現場に落とし込むことがありますが、当社単独では非常に困難です。そこで、静岡県立大学 茶学総合研究センターの中村順行特任教授、静岡県農林技術研究所 茶業研究センターの後藤正博士、そして静岡県内の茶業関連企業と連携させて頂きました。事業中に得た情報をパートナーにフィードバックし、体系化し、そして発信してもらうことによって、多様化を模索する静岡県茶業の活性化に少しでも貢献したいと考えています。

プロジェクトにあたり心がけたこと、課題等あればお聞かせください。

普及実証第1回協議メンバー

スリランカの紅茶産業は発祥から150年が経過しており、上位機関が強い影響力を持つトップダウン型の産業構造として厳格に体系付けられています。そのため、新たな技術の普及にはそういった上位機関との信頼関係構築が重要となりますが、彼らの意思を尊重し、現地のルールに従いながら互いの主張を擦り合わせるのは、とても困難な作業です。日本との文化の違い、歴史の違いを痛感します。
しかし、彼らと接する中で感じる自国の紅茶産業への自信と誇りは、日本の茶生産者となんら変わるものではありません。そこはやはり同じ業界に携わる者として共感する部分があります。彼らの期待に応え、スリランカの紅茶産業を発展させるとともに、少しでも茶生産者の所得向上につながるよう、常に心掛けています。

最後に市民(茶業者)の皆様へメッセージをお願いします。

お茶は、嗜好性と機能性に優れたとても魅力的な飲み物です。本事業を通じて両国の茶産業活性化に貢献できることに、やりがいと喜びを感じています。まだまだ先は長い事業ですが、引き続き少しでも両国の、ひいては世界の茶産業発展につながるように取り組んでいきたいと考えておりますので、ご支援のほど宜しくお願いします。