日本での経験を母国アフガニスタンの発展へ -長期研修員へのインタビュー(アフガニスタン編)-

【写真】Abdul Hanif QazikhaniさんJICA・元長期研修員(PEACE)
Abdul Hanif Qazikhaniさん

自己紹介をお願いします。

私の名前はアブドゥル ハニフ カジカニ(Abdul Hanif Qazikhani)です。私はアフガニスタンで育ち、2009年にカブール大学法学部を卒業しました。
ここでアフガニスタンについて紹介します。アフガニスタンは南アジアと中央アジアの結接点に位置する内陸国で、首都・カブールはアフガニスタン最大の都市です。アフガニスタンの大部分は、ヒンドゥークシュ山脈に覆われており、冬になると大変寒くなります。また、バーミヤン渓谷には有名な石仏群がありました。このバーミヤンはシルクロードが通る街としても有名です。このように、アフガニスタンは古くから「文明の十字路」として栄え、シルクロードの拠点として発展しました。紀元前3000年頃にはアフガニスタンにすでに文明があったと考えられています。
その一方で、これまで多くの戦争や紛争が勃発しているといった負の側面も持っており、残念なことにそれは現在でも継続しています。未だ課題は多くありますが、私たちはアフガニスタンの持続的な平和と発展のために日々取り組んでいます。

日本に留学を決めた理由を教えてください。

学生の頃から勉強を続けることが私の夢であり、留学する機会を常に探っていました。海外で学ぶことで物事を多角的に考える力を養うことができ、また多くの人と出会い、様々な文化や歴史に触れることができると考えたからです。
そんな中、2010年にJICAのPEACEプロジェクトについて知りました。アフガニスタンにおける日本の評判は非常に高く、中でも日本人の国民性の素晴らしさや日本製品の質の高さはとても有名です。また、アフガニスタンで国家の発展や安定、平和構築等について議論する時は、日本が手本として挙げられることがしばしばです。これらのことから、日本への留学はまたとない良い機会だと考え、留学を決めました。

名古屋大学で学んだことは何ですか?

共に学んだGSIDの仲間

留学のチャンスを得た時、是非トップクラスの大学で学びたいと思いました。アフガニスタンにおける汚職問題を研究テーマに取り上げたかったので、その分野において経験豊富で優秀な教授陣が揃っている名古屋大学大学院国際開発研究科(GSID)を志望しました。
私はそこで平和構築を専攻し、平和と紛争の多面的な性質、そして汚職の原因と影響を分析するための知識とスキルを身に付けることができました。また、講義を通して開発理論、不平等な権力関係、気候変動、援助、ジェンダー問題、意思決定プロセス、環境問題の因果関係、そして世界中に影響を及ぼす国際機関についての一般的な知識も得ることができました。
このように、GSIDでは非常に多くのことを学び、充実した学校生活でした。そのため名古屋大学を卒業するまでに、アフガニスタン政府職員として政策立案において必要な理論的知識と実践的スキルを得ることができました。

日本での印象的な出来事を教えてください。

卒業式の日、留学生仲間と

2年6か月にわたる日本での思い出は数え切れません。指導教員である西川教授が常に熱心に研究指導をしてくださったこと、GSIDの仲間と共に学び励ましあった日々、日本人の友人達の温かい心遣い、JICAや支援機関であるJICEのスタッフが支えてくれたこと、どれも忘れがたく、一つに絞ることはなかなかできません。
しかしながら、日本人の国民性を象徴する一つの出来事を紹介したいと思います。
ある日、私は鼻の手術を受けるため、入院することになりました。手術当日、JICAとJICEの担当者が私の世話をするために病院に駆けつけ、そのうちJICEの担当者は夕方まで付き添ってくれました。手術の後、麻酔のせいで口の動きをコントロールすることができなかったのですが、その担当者はまるで私を家族のように親身に介抱してくれたのです。
退院する日、私はこのように聞いてみました。
「なぜ看護師に代わって私の世話をしてくれたのですか?」
担当者は答えました。「あなたはそれが嬉しかったですか?」
私は「もちろんとても嬉しかったです。」と答えるとその担当者は、
「それであれば私も満足です!」と答えたのです。
私は、この短い会話に日本人の謙虚さ、寛容さ、そして丁寧さが象徴されていると思い、とても印象的な思い出として心に残っています。

カジカニさんの今の仕事内容を教えてください。

私は現在、アフガニスタン首都圏開発局(CRIDA)に勤務し、計画・政策部門の責任者の役割を担っています。CRIDAの主な役割は、首都圏における安全な都市環境を構築すること。そして、政治・経済活動が一極集中した首都圏において、急激な人口増加により引き起こされる課題を解決することです。そのため、主に以下のような都市開発事業を行っています。

1.清潔で環境に配慮し、活気溢れる産業や商業・スポーツ・観光の魅力を持つ首都圏の整備。
2.あらゆる民族・言語・人種・宗教に対して偏見のない、多様な価値を認めるコミュニティづくり。
3.首都圏全体を統一国家の象徴と位置付けるため、首都圏内各地域の独自性や歴史的価値を保護することに
よる首都圏の開発。

これらの目的を達成するため、方針や戦略、計画を立案し、実施プロセスを監督することで所属先に貢献しています。

最後に、将来の夢を教えてください。

恩師である西川先生と

先に述べた通り、今私はCRIDAの一員として都市開発に携わっています。日々の努力が実を結び、都市の様子や人々の生活が大きく変わっていく姿をこの目で見たいというのが私の一番の望みです。
その一方で、博士課程に進学し、さらに専門性を深めたいという思いもあります。来年頃に進学できればと思っているのですが、家族次第ですね。もし進学出来るのであれば、その時はまた日本に留学したいです。