日本での経験を母国東ティモールの発展へ -長期研修員へのインタビュー(東ティモール編)-

【写真】PEREIRA Voscoさん, CABRAL Frederico Soaresさん, DA COSTA BonifacioさんJICA・元長期研修員(CADEFEST フェーズ2)
PEREIRA Voscoさん, CABRAL Frederico Soaresさん, DA COSTA Bonifacioさん

今回は、現在岐阜大学に在籍している東ティモールの長期研修員の皆さんにお話しを伺います。
皆さんは、東ティモール国立大学工学部の教員であり、2017年3月にJICAが実施する「東ティモール国立大学工学部能力向上プロジェクト」の研修員として来日、これまで岐阜大学の大学院生として学業に励んできました。
(聞き手・司会:JICA中部 研修業務課)

ボスコさん

司会:それぞれ自己紹介をお願いします。
ボスコさん:私の名前はVosco Pereira(以下ボスコさん)です。岐阜大学工学研究科で情報工学を学んでいます。
ボニさん:私の名前はDa Costa Bonifacio(以下ボニさん)です。同じく、岐阜大学工学研究科電気電子学科で電子回路について研究をしています。
フレディさん:私の名前はCABRAL Frederico Soares (以下フレディさん)です。同じく、岐阜大学工学研究科に在籍し、情報工学を学んでいます。

司会:まず、日本への留学することになったきっかけを教えてください。
ボスコさん:実は当初日本へ留学することは予想していませんでした。しかし、私の所属している東ティモール国立大学工学部(以下UNTL)においてJICAのプロジェクトが実施されていることから、岐阜大学の先生方が短期専門家として度々来て下さっており、先生方と話をする中でJICAプロジェクトでの留学の意思を強くしました。日本は非常に高い技術を持つ先進国ですから、そのような国で修士号が取得できるのはまたとないチャンスでした。
ボニさん:私もボスコさんと同じようにJICAプロジェクトがきっかけです。私の所属する電気電子学科の教員では私だけが修士学位を取得していなかったので、是非留学して修士学位を取得したいと思いました。日本は最先端の技術を持つ先進国ということは東ティモールでも良く知られているので、留学することができてとてもよかったです。

フレディさん

フレディさん:私も2人と同じ理由です。JICAプロジェクトにおいて、私の所属する情報工学科の提携校は岐阜大学であり、ボスコさんが言うように岐阜大学の先生方が短期専門家として来てくださっていたので、来日前から受入先の先生とは顔なじみでした。留学の機会が得られてとても幸運ですね。
司会:UNTLにおいてJICAのプロジェクトは影響を与えているようですね。
フレディさん:とても大きな影響があります。このような学位取得を目的とした長期研修だけでなく、研究を目的とした短期研修もありますしね。

司会:それでは、具体的な研究内容を教えてください。
フレディさん:私はスマートフォンセンサーと機械学習による、路面状況の自動評価システムの開発をテーマに研究しました。東ティモールの道路状況は必ずしもいいとは言えず、スマートフォンをデバイスとして道路状況を管理することで、物流や人の流れに及ぼす影響を最小限にすることが目的です。
ボニさん:私は電子回路設計の研究をしました。設備等の関係で東ティモールでの実装はすぐに行うことは難しいかもしれませんが、帰国しても研究を続けて、将来的に実装できればと思っています。
ボスコさん:私はフレディさんと似た研究分野ですが、ディープラーニング(深層学習)を活用した道路状況調査について研究しました。これは社会貢献度の高い研究なので、やりがいをもって研究を進めることができました。

ボニさん

司会:どの研究も東ティモールにとって非常に重要となる研究ですね。2年間の研究生活はいかがでしたか?
フレディさん:困難なこともありましたが、岐阜大学の素晴らしい環境、そして熱心に指導してくださる指導教員や親切な研究室の仲間に恵まれて研究をすることが出来てとても満足しています。
ボニさん:私は、学び、自ら考え、指導教員や他の学生と議論を重ね、試行錯誤することが「研究」だと分かったことが大きな学びでした。
ボスコさん:帰国後は、日本で学んだ知識や経験を自分の学生に伝え、UNTLの発展につなげていきたいと思っています。
フレディさん:そうですね。それに、幸いにも私たちの指導教員の先生方は短期専門家として定期的に東ティモールを訪れるので、今後も関係を継続させていきたいですし、様々なことを議論したいです。そのことがUNTLだけでなく東ティモールの発展につながっていけばと思います。

司会:素晴らしいですね。是非、帰国後も指導教員の先生方と連携し、東ティモールの発展に貢献していただけるとうれしいです。それでは学業から少し離れた質問をしましょう。日本での最も印象的な出来事は何でしたか?
フレディさん:日本人がきちんと列に並ぶことですね。例えば、夜遅くの駅でも、誰に指示されることなくきちんと列を作ってタクシーやバスを待っているのです。すごく驚いたので印象的な出来事です。

東ティモールの未来について熱く語ります

ボニさん:駅のホームでもトイレでもレストランでもどこでも列を作って待っているよね。
フレディさん:最初は驚いたけれど、列を作ってきちんと待つことが相手への敬意に繋がるということが分かりましたよ。
司会:それはとても興味深いですね。待つことが相手への敬意というのはその通りだと思います。この「列を作る文化」、東ティモールにおいても適用できると思いますか?
一同:難しいと思います(笑)。
ボスコさん:でも、多くのティモール人が日本に来て、行儀よく列を作ることの大切さを身をもって学べば可能じゃないかな。新しい環境によって身に付く習慣って多いと思います。私たちはもうすっかり身に付きましたよ。
ボニさん:そうだね。それに東ティモールの若者が世界に出ることは必要だと思う。日本のような先進国で法律や規律を学び、国を動かす若者が出てくれば、東ティモールは大きく変わるはずだよ。
フレディさん:私もそう思います。そして、そのための教育制度にはまだまだ改善の余地があると思う。
ボニさん:あと、日本の時間厳守の文化はとても素晴らしいですよね。時間前行動という習慣も日本に来て身に付くようになりました。東ティモールではそのような概念はありませんから・・・。
ボスコさん:そういえば来日前、JICA東ティモール事務所でのオリエンテーションで留学生活を送る上で大切なことは「健康管理・時間厳守・事前準備」だと教わったのを今でも覚えています。
フレディさん:修士論文の執筆とプレゼンテーションを成功させるには、まさにこの3つが大切だということ強く感じました。

司会:印象的な出来事の話から日本の生活において学んだこと、そして東ティモールの将来にまで話が展開しましたね。それでは最後に日本の皆さんにメッセージをお願いします。
フレディさん:恥ずかしがらずに積極的に英語で外国人とコミュニケーションを取ってほしいということです。私の経験上、日本人は英語の文法能力が高いと思います。つまり英語力は十分にあるということですから、恥ずかしからといって話さないのはもったいないです。今日日本への留学生が多く増えているので、私たちのような留学生にどんどん話しかけてくれると嬉しいです。

これからも頑張ってくださいね!

ボスコさん:私は日本人の振る舞いや考え方が本当に素晴らしいと思っています。その素晴らしさを色んな国の人に知ってほしいので、是非積極的に海外に出てほしいということを伝えたいです。そして、世界中それぞれの国の文化と日本人の品行方正さが融合した文化が生まれたら素敵だと思います。
一同:最後に、私たちの美しい東ティモールに是非来てください!

司会:本日はどうもありがとうございました。