誰もが、生き生きと自分らしく楽しみながら、やりたいことをかなえる場つくりを

【画像】希代 翔(きたい しょう)さん

多文化共生サークル smile 代表 JICAボランティアOBの社会還元のあり方調査研究委員
希代 翔(きたい しょう)さん

  中部地域の課題、多文化共生にみんなで気軽に取り組めるNGOを大学在学中に設立!「誰もが生き生きと自分らしく楽しみながら、やりたいことをかなえる場つくり」を目指し、卒業後もNGOなどに所属しながら、アクティヴにさまざまな活動を続ける希代さん。
 国籍を問わずみんなに愛される場「smile」をはじめたきっかけや新JICA中部への期待などをお聞きします。(聞き手:JICA中部 市民参加協力課 前納)

●希代さんの自己紹介をお願いします。

 名古屋市生まれ、名古屋市育ちの生粋の名古屋っ子・26歳です。
NPO法人での職員や大学院生活を経て、現在は旅行会社で営業として働いています。
 学生時代に、NGO活動に積極的に参加していたこともあり、社会人になった今でもプライベートの時間を活かして、関心のある市民活動に参加しています。「21世紀型の社会人はこれだ!」と思ってもらえるような存在になりたい願望の強い若造です(笑)。

●「21世紀型社会人」って素敵ですね。希代さんが主宰されている多文化共生サークルsmileについて教えてください。

 「国籍、世代、障がいの有無に関わらず、誰もが同じ視点を持てる社会=多文化共生社会作り」を目指して活動しているNGOです。具体的な内容は、異文化交流イベント(写真2参照:2008年12月 多国籍祭)の企画・運営、ひとつテーマについてゆるりと語る場の提供(写真3参照:たまり場)、ビルマ難民対象の日本語教室の主催、講師派遣(写真4参照:豊田市国際交流協会委託の小学生向け国際理解教室)、次世代リーダー(ファシリテーター)育成講座などと盛り沢山です。誰もが、生き生きと自分らしく、楽しみながら、やりたいことを叶える場として、活動内容にも深みを増して、成長を続けています。
 先日開催した多国籍祭では、外国籍の方だけでなく、中学生から高齢の方、車いすや目の見えない方など、私たちが目指す多文化共生に沿うような集まりとなりました。総勢100名弱の参加者の方々から、主催者の私たちが学ばせてもらうことの多い、ステキな会となりました。smileの活動自体は多文化共生を切り口にしていますが、究極のLOHASと考えもらえればと思います(笑)。

●smileで活動をはじめるきっかけは何だったんですか。

 大きく3つ理由があります。1つ目は、オーストラリアでのNPOインターン生活。アフリカを中心に、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の支援によって入国してくる難民をサポートするNPOで半年間インターンしました。オーストラリアの異文化の受け入れ体制や、世代を超えたボランティアへの関心度の高さに感化され、帰国後にすぐ団体を立ち上げようと、オーストラリアにいながらにして立ち上げ準備を進めました。感化されたのも、オーストラリアへ行く前から仲良かった中国人留学生が日本人の友達ができないという相談を聞いていたからということもあります。当時、流行っていた大学内の「留学生と仲良くなろうサークル」は、欧米系の英語が話せる留学生と仲良くなることが中心であったこともあり、彼女が機会を見いだせずにいました。それを解決したい思いは強かったですね。
 また私は、出国前からNGO/NPO活動に積極的に参加していたのですが、なかなかまわりの友人を連れ出すことができずにいました。そこで、サークルに参加するような感覚で、プライベートのひとつの楽しみとして、そういった活動に参加できる場を作りたいとの思いも高まっていました。サークルとうたっているのはそのためです。

●なるほど。多文化共生は中部地域の大きな課題ですよね。JICA中部は来年6月に市民参加の施設であるなごや地球ひろばがオープンし、多文化共生についても学べる機能を備えます。この新施設を利用して、どんなコラボレーションができると思いますか。

 多文化共生には、異なる背景を持った人と少しでも多くの話をすることが大切だと私は考えています。それは、さきほどお話ししたsmileの活動でも心がけているのですが、「出会い、ふれあい、理解し合う」プロセスです。JICAは、青年海外協力隊をはじめとしたJICAボランティアOBOGといった様々な文化に触れた方々を抱えています。また技術支援として派遣された特定分野の専門家とのつながりもあります。彼らとのつながりを求めている人は多くいると思います。少なからず、私のようなNGO出身の者はそうですね(笑)。
 学生には将来の展望を描くきっかけに。また社会人には、今の生活を見つめ直し、新しいステップを踏み出すきっかけ作りに。JICA側の方々には新たな活動の場の再発見となります。そういった場が、講座や、交流会といった形式張ったものではなく、日常的に作られるような仕掛けを一緒に築きあげていきたいですね。
 つまり、施設を最大限に活かす企画作りを、JICA内部だけで築くのではなく、外部から多くの者が関わるコラボレーションを生み出すことがまずは必要不可欠と考えます。そのスタンスが対外的に浸透することによって、JICA中部が本当の意味で地域に開かれ、多文化共生を目指す拠点へと発展するのではないでしょうか。
 現状では、JICA=国際協力のイメージが一般化しており、多文化共生とつなげるのは容易とは言えないかもしれないですよね。

●そうですね。国際協力と多文化共生は、一見すると国外と国内、それぞれの問題のように見えますが、途上国での経験を持ったJICAボランティアOB/OGや専門家、職員などが活躍するJICA中部は、なんらかの形でこうした課題に貢献できるのではないかと考えています。途上国と出会い、国際協力に興味を持って、関わっていただける場つくりを、地域のみなさんと一緒に考えていけたらと思います。さて、現在、希代さんは「JICAボランティアOBの社会還元のあり方調査研究会(※1、写真5)」に地域の団体の代表として参加していらっしゃいます。JICAボランティアOBの方たちと調査研究を進めていらっしゃいますが、どんな感想をお持ちですか。

とても貴重な体験をさせて頂いています。この読者の多くも、JICAボランティアの方々が帰国後にどのような生活をされているかご存知ないですよね。私もそのひとりです。この研究会に参加されている方は、薬剤師、花の卸売り、JICA職員、NPO職員、主婦など本当に多種多様な活躍をされています。また研究会に参加するだけあって、帰国後も何かしら活動されている方々です。この研究会は、こういった活動に参加しない方と自らの相違点を見いだし、ご自身の活動の現状や今後を見つめ直す機会になっているようです。あくまで私は、彼らと深く知り合い、新たな提案をすることや、第三者としてこの研究会の目指す指針がぶれていないかを考える存在と期待されていると思います。そこで、外部の者は理解しがたい彼らの共通語を指摘することや、NGOとの関係構築のパイプ役になろうと心がけています。ホームページ読者の皆さん、成果物として出される報告書を楽しみにしていてくださいね。

 ●愛知県だけでも1500人を突破しているJICAボランティアのOBOGですが、ここ中部地域では社会還元の活動もさかんに行われています。前述の研究会に参加されている江口由希子さんも、多文化共生のために「外国人親子の子育てサロン」を主宰されています。こうしたOBの社会還元と地域のNGOやNPOなどの団体とうまくつながっていければ、大きなムーブメントを作り出すことも可能なのではないでしょうか。

 その可能性は大きいと思います。江口さんのように積極的につながりを構築する方が、どんどんNGO/NPOにアプローチしてほしいですね。以前、職員として勤めていたNPO(特定非営利活動法人 外国人医療センター)では、多言語の通訳ボランティアを常時募っていました。そのため、JICAボランティアOBOGの力を借りようと声がけの御願いをしたこともありましたが、集まりは良くありませんでした。JICAボランティアOBOGの横のつながりが全員まで浸透していることもない等、前述の研究会に参加する中で、声がけへの反応が良くなかった理由も理解できるようになりました。ただ、厳しいことを申し上げてしまいますが、現状ではご質問のような「大きなムーブメントを作り出せる」に行き着くのは極めて厳しいですね。しかし、中部地区においては新JICA中部への移転、また同研究会の成果を踏まえて、その可能性を追求できるプロセス作りを構築できるのではないでしょうか。
 それを強く望みます。そしてそういった流れに継続して関わっていきたいですね。

●最後に、一言お願いします。

新JICA中部には、大きな期待を抱いています。名古屋駅から10分強という立地条件の良さや開けたフロア設計、海外経験豊富なJICAボランティアのOBOGの方々との憩いの場作りや、地域のNGOをはじめとした市民活動団体が利用可能なスペースの提供など、すでに構想段階にある企画も魅力に満ちあふれています。ぜひ利用者としても、積極的に国際協力を身近に感じていきたいですね。
 また、これはとても個人的な意見ではありますが、JICAは地域のNGOよりも相当のブランド力があることは間違いないと思います。数年前に「国際協力カレッジ」(※2)にコーディネーターとして参加させて頂いた時の話です。それまでに(自分に)講師依頼があったのは学校やNGO関連がもっぱらでしたが、「国際協力カレッジ」後は県の研修の講師や、全国的なフォーラムでのスピーカーとしての参加依頼が来るなど、依頼元が変わったことは否めません。
 一利用者としてだけでなく、多くのNGOとの協働がこういう場から生み出されるといいですよね。
 意見だけでなく、恐縮ですが、ぜひ前向きにご検討頂き、まずは私にもそのお声がけ下さいね(笑)。あれ、最後に宣伝になっちゃいましたね。

●(笑)。ぜひ今後とも協働・連携のほど、宜しくお願いします! どうもありがとうございました。

 注※1 JICAボランティアOBの社会還元のあり方調査研究会:平成20年10月にスタートしたJICAボランティアOB/OGや地域のNGO等活動に関わる方々を委員とした調査研究会。ボランティアが「現場で感じたこと、経験したことを帰国後いかに活かしていくか(社会還元するか)」をテーマに、新JICA中部なごや地球ひろばを活用した社会還元活動、地域NGO、自治体連携などを模索します。報告書完成は2009年3月末の予定。
 ※2 国際協力カレッジ:国際的な課題に関心を持つ人びとが、国際協力の現場の声に触れ、考え、動き始める「学び」と「きっかけ」の場。名古屋NGOセンターとJICA中部との協働により、2006年にスタートしました。

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(2)多国籍祭

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(3)たまり場

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(4)豊田市国際交流協会委託の小学生向け国際理解教室

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(5)社会還元のあり方研究会風景