国籍や文化に関係なく、みんなが安心して楽しく暮らせる社会にしたい

【画像】土井佳彦さん

NPO法人多文化共生リソースセンター東海 代表理事 
土井佳彦さん

「国籍や文化に関係なく、みんなが安心して楽しく暮らせる社会にしたい。」
そんな思いを持つ地域の多文化共生事業に関わるメンバーを中心に2008年ある団体が立ち上がりました。日々地域の多文化共生に向けて奮闘中の団体「特定非営利活動法人多文化共生リソースセンター東海」の代表理事をされている土井佳彦さんに活動の様子や地域の現状についてお話を伺いました。(聞き手:JICA愛知デスク佐藤江梨子)

まずNPO法人多文化共生リソースセンター東海を立ち上げようと思われたきっかけについて教えて頂けますか?

仕事や地域での日本語ボランティア活動を通じて、多文化共生社会の実現には、外国人への日本語教育だけでなく、学校教育、医療・福祉、情報提供などさまざまな取組みが必要だということに気がつきました。それらの多くは、現在も熱意ある人のボランティア活動が中心ですが、今後の取組みの持続性・発展性を考えると、それをプロフェッショナルな人材が仕事として担っていく必要があると感じました。そんなとき、同じような考えをもつ仲間と出会い、周囲の後押しやサポートがあって、団体設立に至りました。
 

現在、多文化共生リソースセンター東海はどんな活動をされているのですか?

大きくは、(1)東海地域の多文化共生社会の実現につながるリソース(人材、情報、資金等)を収集・整理・発信すること、(2)多文化共生に関するモデルをつくり世界に発信することの二つです。具体的には、一般市民を対象に多文化共生への理解を広めるための講座や研修会等の企画・運営、外国人の子どもたちの健全育成に携わっている方々の活動や外国人住民の社会参画へのサポート(情報提供、人材育成、ネットワークづくり等)、そしてそれらに関する調査研究、相談、情報発信などを行っています。
 

多文化共生社会の実現に向けて沢山の課題があるかと思いますが、土井さんは多文化共生社会の実現に必要なものは何とお考えですか?

いろいろありますが、いちばん大切なのはきちんとコミュニケーションをとることだと思います。それには“相手を理解する気持ち”が欠かせません。相手の言動を非難する前にひと呼吸おいて、「どうして〜なんだろう?」と相手の立場に立って考えてみるだけで、ほんの少し人に優しくなれるんですよ。もちろん、自分の気持ちや考えを相手にわかるように伝えることも大事です。<コミュニケーション>の語源はラテン語の“communis(=共有)”ですからね。お互いの理解があってはじめてコミュニケーションがとれていることになります。でもこれって、言葉が通じる日本人同士でもなかなか難しいですよね。
 

土井さんが団体の活動の中で苦労されたこと、嬉しかったことをそれぞれ教えて下さい。

個人的には、直接支援から間接的/中間支援への頭の切り替えと、団体の代表として役割を担っていくことの責任や認識を高めていくことは、今でも苦労しています。そんな中でも、当団体の活動を通じて知り合った方々が自分たちの取組みや方向性に共感し応援してくださったとき、また一緒に活動しているメンバーがお互いに信頼し合って仕事が進められていると感じるときは本当に嬉しいですね。
 

元JICAボランティア青年海外協力隊員の加藤恭子さん(エクアドル・小学校教諭)が多文化共生に関する調査メンバーとして活動に関わっていましたね。彼女の仕事の様子を教えて頂けますか?

今年度、当団体は愛知県より「多文化共生実践モデル支援事業」を受託しました。本事業では県内3地域での多文化共生に関する現状と課題等を調査していますが、その調査員の一人として、加藤恭子さんが活躍してくれています(※1)。彼女は持ち前の明るさと協調性、高いスペイン語力を発揮して、ブラジル人やペルー人など他の調査員とうまくコミュニケーションをとりながら、調査地域の日本人・外国人住民へのアンケートやインタビュー調査を実施しています。責任感が強く、積極的で周囲への配慮も怠らない彼女の働きぶりには、わたし自身学ぶところが多いですね。個人的な資質に加え、海外での経験が十分に生かされているのを感じます。
 

JICA中部も2009年6月に名古屋駅ささしま地区に移転し、市民の方に気軽にきていただける施設、市民活動団体の方に活用していただける施設へとリニューアルしましたが、今後新しくなったJICA中部へ期待することはありますか?

移転に伴う施設の充実ぶりや行政等さまざまな団体とのネットワークを生かし、わたしたちNPOとも今まで以上のパートナーシップを築いてくださることを期待しています。その中で、ニーズはあってもJICA中部として単独ではやれないこと/やらないことを、他の組織・団体とどう協働していくかを示し、提案していただきたいと思います。
 

土井さんにとって「多文化共生」とは何ですか?

定義ではありませんが、文化的・社会的背景から生じる“ちがい”が、地域やそこに暮らす人々にとっての豊かさとしてプラスに捉えられ大切にされる社会の状態であり、人々の関係性だと思って取り組んでいます。また、国境を越えた人の移動と少子高齢社会からなる「人口変動」というグローバルかつ喫緊の課題への対応策のひとつとして認識しています。
 

今後の活動の抱負についてお聞かせ下さい。

これからのわたしたちが暮らす社会を、そして次の世代が担う未来をどういうものにしていくのかといったことを、上述の理念と具体策の両面から、今後の活動を通じて一人でも多くの方と語り合い、共有していきたいと思っています。また当団体としては、若い世代が多文化共生分野のスペシャリストとして働ける環境づくりに取り組んでいきます。どちらも大変なことですが、一生かけてやるだけの価値があると思っています。
 

最後にホームページをご覧の方へメッセージをお願いします。

目をつぶって想像してみてください。ある場所に、いろいろな国の人が集まって、歌や踊り、食事やおしゃべりを楽しんでいる、その中に自分や家族、仲の良い友達もいるという場面を。それが「なんか楽しそうでいいなぁ」と思えたら、ぜひわたしたちの活動に参加してみてください。きっと、そのイメージを現実に共有できるはずです。
 

多文化共生社会を実現するためには様々なリソースと地域の課題やニーズをとつなげていくという役割が本当に大切なんだなと思いました。また、加藤さんのように途上国で活動してきたJICAボランティアOB・OGが元気な社会づくりの一助を担ってくれるよう、今後もJICAボランティアOB・OGを応援していきたいと思います。本日は大変貴重なお話をありがとうございました!

※1.2009年9月〜12月末まで勤務。

土井佳彦さんプロフィール
1979年 広島市生まれ
中学生の頃、世界遺産にハマって、「将来は、いろんな国で生活してみたい!」と思うようになる。大学で日本語教育を学び、卒業後は学校や地域のボランティア教室で、留学や研修、ビジネス、国際結婚などさまざまな理由で日本に暮らす外国人に日本語を教える。
2008年10月より多文化共生リソースセンター東海の代表に就任。

関連リンク
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スタッフ集合写真(「愛フェス2009」にて)

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初主催事業「連続セミナー多文化共生“最前線”2008!!」初回(2008年11月)

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「岐阜県外国人コミュニティサポーター研修」土井さんがファシリテーター(2009年5,6月)

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ブラジルにて(2008年9月)

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加藤恭子OG(写真中央)調査中

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当団体法人設立お披露目会