本当によいことであれば、周りが後押ししてくれる、よい行動には必ずよい人々が集まる

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静岡県富士市立吉原商業高等学校 教諭
若園 耕平さん

JICA中部が実施する教師海外研修(マラウイ)をきっかけに、生徒たちと一緒にフェアトレードで途上国支援!本年度、外務省「グローバル教育コンクール」で外務大臣賞を受賞された若園耕平先生にお話を伺います。
(聞き手:静岡県国際協力推進員 鈴木 知恵)

静岡県は富士市にある吉原商業高等学校の先生であり、生徒たちが部活動の一環で運営する「吉商本舗」の担当教諭としても大活躍の若園さんですが、国際協力に関心を持ったきっかけは何だったんですか。

海外には興味がありましたが、もともと国際協力には興味も関心もありませんでした。強いて言えば、吉商本舗の商品を仕入れるため、生徒を連れて中国に買い付けに行った時に、現地の子ども達の安い賃金と労働時間の長さに驚いたことがありました。「ただ安ければよい」という考えに疑問を持ちました。  
その後、当時の静岡県の国際協力推進員からJICA中部の教師海外研修の参加を勧められ、何気なく応募してマラウイに行くことになりました。これがきっかけとなり、国際協力にどっぷりはまっていきました。

なるほど。平成18年度の教師海外研修が、国際協力への第一歩だったんですね。マラウイに行ってみてどんな印象を受けましたか?

アフリカはとても魅力的でした。物質的に恵まれている日本人が忘れてしまったものがたくさんありました。若い青年海外協力隊の皆さんや、アフリカのために働いている方々にお会いして、とても刺激を受けました。また、1泊だけのホームステイでしたが、涙を流して別れを悲しむ子どもたちの姿に、アフリカの温かさを感じました。

JICA中部の教師海外研修は、年間を通して実施される「開発教育指導者研修上級編」の一部に組み込まれているわけですが、この指導者研修では、開発教育の基本的な手法であるワークショップなどのやり方を学ぶものですよね。若園先生は、この長期にわたる本格的な研修に参加してみて、どんなことを感じましたか?

ワークショップそのものが初めてだったので戸惑いました。様々な活動を通して、自分や相手の考えを引き出すやり方に感動しました。もっと早く知っていれば良かったです。

この研修修了後、現地で活動する青年海外協力隊と協力しながらマラウイを支援されているそうですが、具体的にはどんな取り組みなのでしょうか?

マラウイ北部のルウェレジという村の中等学校でお会いした協力隊員(尾崎瞳さん)が、エイズで親を失い学校をやめなくてはならない孤児の学費とするため、生徒達とブレスレットを作って販売している、という話を聞きました。それでその活動を日本から応援しようと考えたんです。すでに高校生の店を運営していたので、その店でフェアトレード部門を立ち上げ販売したんですね。
そこで得た販売利益と、(活動に共感してくれる)多くの方々から寄せられた寄付金を現地に送り、HTCセンター(HIV/エイズの検査・カウンセリング施設)を建設することができました。現在、協力隊員は(尾崎さんから数えて)3人目の方が活動中ですが、いまだに支援の活動は続いています。

生徒たちとのフェアトレード活動を通して、苦労されたこと、嬉しかったことをそれぞれ教えてください。

苦労したのは、欲しい商品を欲しい時に仕入れられなかったことですね。商品が日本の消費者のニーズに合わず、売れないものもありました。品質に関しては、現地とやりとりをして少しずつ改善されていきました。
逆に嬉しかったことは、HTCセンターが出来上がったことで、多くの現地の人たちの役に立てたことですね。また、フェアトレードで得た売上げ利益が、現地の中等学校の生徒の学費として使われ、生徒たちが学校をやめずに通学し続けられたこともあります。
またこの活動を続ける吉商本舗の生徒たちに、協力隊員・JICA職員・教師海外研修で一緒にマラウイに行った先生方など、多くの人たちが協力してくれたことが何よりも嬉しかったですね。

今までの取り組みから学んだことを教えてください。

自分がよいと思ったことは、信じて何事もやってみることだと思います。本当によいことであれば、周りがその方向に進むよう後押ししてくれる、よい行動には必ずよい人が集まるということを学びました。

本年度の「グローバル教育コンクール(注1)」の活動報告部門にて、外務大臣賞を受賞されましたね。おめでとうございます。どんなお気持ちですか?

吉商本舗の活動は、知っている人は評価をしてくれていましたが、まだまだ知らない人がたくさんいました。この受賞により、生徒達のすばらしい活動を全国の人に知ってもらえることがとても嬉しいです。

JICA中部で2月に実施した「開発教育指導者研修 実践報告フォーラム」では、吉原商業の生徒たちや卒業生から吉商本舗の取り組みについてご紹介いただき、会場が大変盛り上がりましたね。学校での取り組みを通じて、生徒たちにどんな影響がありましたか?

吉商本舗の国際協力活動については、生徒達の意識は様々です。多くの人との出会いで、素晴らしい活動だと感じている生徒もいます。海外に行きたいと考えている生徒もいます。まだそこまで感じられない生徒もいますが、意識の差はあっても、活動自体が人の役に立っているということは間違いない、ということを伝えていきたいと思っています。

今後の展望について教えてください。

次は東南アジアの国へ一緒に行くことを、生徒達には伝えています。そこからまた、吉商本舗の国際協力の活動が広がっていけばよいと思います。支援する国をもっと増やしていきたいです。

国際協力に携わってみたい、と考えている方にメッセージをお願いします。

人の役に立ちたいと思うことはとても大切なことです。自分に関わる人は全て大切な人。国際協力はその関わりを少し広げるだけです。

ありがとうございました!



注1:将来の「国際協力の担い手」世代を育むことを目的として、学校におけるグローバル教育の学習に役立つ教育ツールの募集と、教育現場でのグローバル教育に関係する活動の報告を募集し、優秀作品/活動に対して、外務省が表彰を行うもの。

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マラウイと吉原商業とを結んでTV会議

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マラウイ共和国

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完成したHTCセンター

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ビーズアクセサリーを作るマラウイの子どもたち

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吉商本舗で販売しているブレスレット