「関わる全ての人の幸せを最大化し、社会や事前への負の影響を最小限にするエシカルジュエリー」

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HASUNA代表取締役
白木 夏子 さん

1981年生まれ。名古屋市の南山短期大学卒業後、2002年より英国ロンドン大学キングスカレッジにて発展途上国の開発を学ぶ。その後、国連人口基金ベトナム・ハノイ事務所とアジア開発銀行研究所にてインターンを経験し、投資ファンド事業会社勤務を経て2009年4月にエシカル・ジュエリービジネスを展開する株式会社HASUNAを設立。同社代表取締役。ジュエリービジネスを通じて貧困解決を目指している白木夏子さんにお話を伺います。
(聞き手:JICA愛知デスク国際協力推進員 佐藤江梨子)

白木さんが開発途上国に関心を持ち、ジュエリービジネスでの社会起業を始めることになったきっかけについて教えてください。

最初に開発途上国への関心を抱いたのは18歳の時でした。今からちょうど10年前位のことです。当時、南山短期大学に通っていた私は将来について色々と迷っていたのですが、とある講演会で社会派フォトジャーナリストの方の講演を聞く機会がありました。そこではエチオピアの飢餓、難民、インドネシアの環境破壊、この地球で起こっている様々な負の事象が次々と画面に映し出され、地球の危機的な状況に大変な衝撃を受け、私はこの問題に対して何か動かなければならない、そう思ったのがきっかけです。

ジュエリービジネスに関しては、私の母がファッションデザインの仕事をしていたのでクリエイティブな仕事は幼いころから身近で見てきましたから素地はあったのだと思います。洋服を作ったり、アクセサリーを作ったり、物心ついた頃から母親の傍でものづくりの楽しさを覚え、大学時代には途上国開発を勉強しつつ、お小遣い稼ぎでアクセサリーのウェブショップを開いたりとジュエリーやアクセサリーはいつも身近にありました。

大学在学中にインドの鉱山へ行った時に、途上国開発とジュエリーがリンクします。「不可触民」と呼ばれる被差別部落の人たちの村々を周っていた際、鉱山労働者の村へ訪れる機会があり、そこでは子供からお年寄りまでが大理石の採掘をしていました。生活は苦しくて、一日一食しか食べられないような生活。電気も水もなく、子供も学校に行けず鉱山でけがをしても病院へも行けません。
「君が今見ているこの村のような事態が、ルビーやサファイヤ、金など他の鉱山でも同じように起きている。インドだけでなく、アフリカや中南米でも同じこと。お金持ちが買い求めるものの裏に、こうして苦しむ貧困層の人たちがいるのさ」と、村を一緒に回ったNGOのインド人職員から聞かされました。
その一言で、はじめてジュエリーと途上国が結びつきました。

その後紆余曲折あるのですが、その経験からジュエリーで鉱山労働者や末端にいる素材制作者たちを支援できないかと考え始めたのがエシカルジュエリービジネスをはじめたきっかけです。

起業を決意された時の気持ちはいかがでしたか?

大学卒業後ベトナムの国連機関でインターンをし、その後ビジネスを勉強したいと思い東京都内にある投資ファンド事業会社に就職しました。起業を決意したのは会社勤めが始まって2年経った時のことです。一言で言うと「今しかない」と思いました。当時勤めていた会社の経営が金融恐慌の影響で傾きかけ、それと共にファッション業界では「エシカルファッション」という言葉や「フェアトレード」という言葉が聞こえるようになりました。会社を辞める時期と、「エシカルジュエリー」を世に出す時、流に乗るタイミングが来たと思いました。

起業までに準備されたことや起業までの道のりについて教えてください。

会社を辞めた後、私はすぐにジュエリーの学校に通ってプラチナや18金の扱いを学び、志を同じくする仲間を集めました。初めて本格的にジュエリーを学び、約1年かけて仲間たちと事業計画をたてて、2009年4月に株式会社として立ち上げました。

「エシカルジュエリー」とはどのようなジュエリーかご紹介いただけますか?

「人や社会・自然に優しいジュエリー」がエシカルジュエリーです。ジュエリーのデザイン・素材調達・生産・流通過程において、関わる全ての人の幸せを最大化し、社会や自然への負の影響を最小限にするのがHASUNAのエシカルジュエリーであると考えています。
たとえば私たちは、ウェディングリング(結婚指輪・婚約指輪)を作る際にはリサイクルのプラチナや金を使用したり、フェアトレードで金を仕入れたり、ダイヤモンドもなるべく環境に負担をかけない形で採掘がなされたものを選んで購入しています。
また、アフリカのルワンダや中米のベリーズ在住の現地パートナー達を通じて、貧困層にいる職人やストリートチルドレンたちへの技術指導をしながら素材を調達し雇用の創出・生産者たちの生活の維持に貢献できるよう配慮しています。

ルワンダにソーシャルワーカーとして派遣されていた元青年海外協力隊の加藤悦子さんや、悦子さんが現地の人と共に立ち上げたルワンダの工房ともつながりがあるそうですね。

はい。加藤悦子さんとは知人の紹介で出会いました。彼女がルワンダの工房「アトリエ・ウムリモ・ムブジマ」で作っている牛の角の独特の風合いが好きになり、即座にルワンダのジュエリーコレクションを作ることに決めました。
「青年海外協力隊」は年間千人も途上国に派遣され、素晴らしい活動をしていると思います。元協力隊の友人も多く、彼らの熱心な活動には大変共感しており応援しています。フェアトレードでの事業を立ちあげている方々も多く、社会的に意義のある面白い試みをされている方が多いのでもっとマスメディアに取り上げられるべきだと思っています。
HASUNAの役割は、彼らの途上国での活躍を日本で知らせることでもあります。加藤悦子さんの活躍も沢山の方々に知っていただきたくて、売場ではお買い上げいただいた方に悦子さんのストーリーを書いた冊子をお配りしています。

ジュエリービジネスを通じて開発途上国やその国に住む人々の暮らし、青年海外協力隊の活動などを知る機会にもつながっているのですね。白木さんが現在感じている課題、今後のHASUNAの目標について教えてください。

途上国からの素材調達が課題です。ジュエリーは色々な国から沢山の素材を集めてようやく一つの作品になるのですが、まだフェアトレードで取引できる素材が限られています。取引先はいつでも募集しておりますのでお心当たりのある方はぜひお声掛けください。

今後の目標はHASUNAで働く仲間たちをもっと増やして規模を拡大し、もっと多くのジュエリーをお客様に提供していくことです。ジュエリーを作れば作るほど、地球に笑顔が増えていく。身につける人だけでなく、作る人・磨く人・採掘する人皆が笑顔の連鎖を作っていくそんなジュエリーの会社でありたいです。

最後にホームページをご覧の方へメッセージをお願いします。

何をやるにしても、自分の好きな物を見つけることです。
「好きこそものの上手なれ」と言うように、好きなことなら続けられるし、辛い時でもがんばれます。私は大好きなジュエリーを通じて大好きな人たちを笑顔にしていけることが最上の喜びだと感じているので毎日がワクワクしています。
ぜひ皆さんにもこんなワクワクを見つけていただきたいです。

白木さん、本日はどうもありがとうございました。

HASUNAの詳しい情報は以下のサイトからご覧いただけます。↓

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ルワンダ現地パートナーの加藤悦子さんと工房で働く元ストリートチルドレンの青年

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ブライダルジュエリーも制作しています。